年金新ルールで受給額減!社労士FPが解説「夫婦2人の受取額はいくら?」

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現在国会で審議されている、国民年金法改正案。「年金カット法案」と批判する意見もある中、厚生労働省は2016年10月17日、この新法案が10年前から適用されていた場合、基礎年金の給付は3%減額されるという試算結果を公表しました。

もしもこの法案が可決されれば、今後の賃金の変動によっては、実際に年金の給付額が減額されることも考えられます。

■新ルールと現行ルールの違いは?

2021年度より実施予定の新ルールは、物価水準と賃金水準に連動するものです。現在は物価の水準のみに連動しており、物価が上がれば年金も増え、下がると減ります。しかし新ルールでは物価だけでなく、賃金の変動水準も加味したものとなります。具体的には、賃金のみが下がった場合は賃金の減額率を、物価も賃金も下がった場合は、減額率の低い率分の減額になるというものです。

年金受給者にとって賃金の上下は関係ないだろうという考えだったのが、賃金が下がれば現役世代の負担が減るので、それに伴って給付額も減らす必要があるという意見が出てきたことによるのが、今回の改正ポイントです。

■もしも年金が3%減額になったら、受け取る額はいくら?

次のモデルケースで試算してみましょう。
夫35歳 20歳から60歳まで40年間厚生年金加入、平均年収500万円
妻35歳 20歳から60歳まで40年間国民年金加入、専業主婦

65歳からの年金額(加給年金・振替加算を除く概算)

【現行ルール】平成28年度の基準
 夫、厚生年金 109万円 + 国民年金 78万円 = 187万円
 妻、国民年金 78万円
 夫婦の合計 187万円 + 78万円 = 265万円
 65歳から20年間受け取った場合の合計 265万円 × 20年 = 5,300万円

【新ルール】平成28年度基準より3%減額
 夫、厚生年金 106万円 + 国民年金 75万円 = 181万円
 妻、国民年金 75万円
 夫婦の合計 181万円 + 75万円 = 256万円
 65歳から20年間受け取った場合の額合計 256万円 × 20年 = 5,120万円

【新ルールと現行ルールの差額】
差額 5,300万円 - 5,120万円 = 180万円
20年間トータルで、夫婦二人の世帯で180万円の減額となります。

■減った年金の穴埋めはどうする?

この減った180万円を埋め、お金に困らない老後の生活を送るためには、少しでも早くから、「老後資金」という目的で貯蓄を始める必要があります。そのためには老後まで簡単に引き出すことができない資産形成の手段を選ぶのがいいでしょう。

一番有効な方法は、60歳まで引き出せない上に積立時・運用時・受取時に税金の優遇がある「確定拠出年金」です。また、給料から天引きされて知らない間に貯金ができ、一定額まで利息が非課税となる「財形年金」や、個人年金保険料控除を受けることができ毎年の税金が安くなる「個人年金」なども老後資金の準備に適しています。

今回の試算は、過去10年間の賃金の動きとしてなので、今後の賃金動向によっては必ずしも3%の減額となるわけではありません。しかし、年金額はますます減っていくことは間違いないでしょう。

今回のニュースや国を挙げての確定拠出年金の推進などは、国が国民の老後の面倒を見られないというメッセージではないでしょうか? 自助努力で老後のお金を準備する必要性が増しています。ぜひ早めに対策を講じてください。

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執筆者

小野みゆき (おのみゆき) 中高年女性のお金のホームドクター

社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー 企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。FP Cafe登録FP。

小野みゆき

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年金受給資格期間短縮へ!「10年で何万円もらえる?」FPが徹底解説

年金が受給できるための受給資格期間が、現在の25年(300ヶ月)から10年(120ヶ月)に短縮される法案が9月26日、閣議決定されました。臨時国会でこの法案が成立すれば、2017年9月分からの支給となり、10月受取分から年金が支給されることになります。

この改正によって、新しく年金を受け取ることができる人は、基礎(国民)年金で約40万人、厚生年金も含めると約64万人と見込まれています。

■今回の改正の概要

年金の受給資格期間とは、保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間を合計した期間をいいます。現在、基本的に受給資格期間が25年以上ないと、老齢年金は受給できません。24年と11ヶ月(299ヶ月)以下では、受給年齢に達していても1円ももらえていなかったということです。

しかしこの法案が成立することによって、10年以上の受給資格期間がある受給年齢到達者は老齢年金をもらうことができるようになります。来年春ごろから該当者に順次、請求書(対象者が請求をする用紙)が送られてきて、それを提出し受理されることによって年金支給の開始となるようです。

■年金受給額の計算方法

年金額の計算式は以下の通りです。

⚫️老齢年金額=老齢基礎年金額 (※1)+ 老齢厚生年金額 (※2)

(※1) 老齢基礎年金額
 =780,100円(平成28年度) ×20歳~60歳までの保険料納付済月数/480

(※2) 老齢厚生年金額
 =厚生年金加入期間中の平均標準報酬額× (5.481/1000) ×厚生年金加入月数

■加入期間が25年と10年における受給額は?

では、年収500万円の会社員を例に、年金の加入期間によって受け取れる年金額がどのくらい変わってくるか確認していきましょう。20歳以降の厚生年金加入期間による、65歳からの概算年金額は、次の通りとなります。

(1)加入期間10年の場合
 老齢基礎年金:195,000円 + 老齢厚生年金:270,000円 = 465,000円/年
 受給額は一月あたり 38,750円

(2)加入期間25年の場合
 老齢基礎年金:488,000円 + 老齢厚生年金:674,000円 = 1,162,000円/年
 受給額は一月あたり 96,833円

(3)加入期間40年の場合
 老齢基礎年金:780,000円 + 老齢厚生年金:1,079,000円 = 1,859,000円/年
 受給額は一月あたり 154,916円

(基礎年金満額は年度毎に改正あり。本来の年金額は1円単位まで支給され、要件に該当すれば加給年金などが付きます。)

■「10年間の年金額なんて…」と侮れない

老齢基礎年金のみで見てみれば、10年に短縮され年金がもらえるようになったところで、年195,000円で、ひと月にすれば1万6000円じゃないかという声も聞きます。

しかし、老後になって生活苦に陥る「老後破産」なんて言葉も生まれているように、定年退職後に優雅な暮らしを送れている人は限られているのかもしれません。65歳以上になって毎月1万6000円の収入を増やそうとするのは、かなり困難なことだというのは容易に想像できます。そして、生きている限り何歳でももらえるお金があるということは、どれほど安心できることでしょう。

「自分の老後は自分で守る」ための第一歩の公的年金。何より国民年金に加入し、保険料を払うのは紛れもない「義務」なのです。10年年金の実施が、年金の重要性を多くの人が再認識できる機会になればと願っています。

旦那さんが急死…家族が受取れる遺族年金はいくら?40歳男性の試算例

もし、一家の大黒柱のご主人にもしものことがあったら?

考えたくはないことですが、万が一のことがあった時、残された家族の生活はどうなってしまうのでしょうか。実は残された家族の生活を守るための制度として、遺族年金があります。いざという時慌てないために、自分の家庭の場合はどうなのかしっかりと確認してみましょう。

■遺族年金は2種類ある

一言で遺族年金と言っても、働き方によってもらえる年金の種類も金額も違います。会社員の方の家族に残されるのは「遺族厚生年金」と「遺族基礎年金」。自営業の方の家族に残されるのは「遺族基礎年金」です。また子供がいるかいないかや家族構成によっても、もらえる金額は違います。

■自営業の場合の遺族年金

40歳男性の場合で比較してみましょう。東京都在住40歳のAさんは、大学卒業後社会人となって今年で18年になります。家族は専業主婦の奥さん35歳と、小学6年生と小学2年生の2人のお子さんがいます。もしAさんに万が一のことがあった時、残された家族はいくら遺族年金が受けとれるのでしょうか。

まずAさんが個人事業主の場合の遺族基礎年金からみてみましょう。遺族基礎年金は18歳未満の子供を持つ配偶者とその子供に支給されます。

Aさんの場合、配偶者に対して平成28年度は780,100円と、18歳未満の子供それぞれの加算として224,500円が支給されます。子供の加算は18歳に到達すると支給が終わりますので、Aさん家族は6年間122万9100円、その後4年間は100万4600円受け取ることになります。末のお子さんが18歳に到達した年度末で遺族基礎年金の支給は終了となります。その後配偶者が老齢基礎年金を受け取るまでの間支給はありません。

■会社員の場合の遺族年金

会社員の遺族年金は、「遺族厚生年金」と「遺族基礎年金」の合計になります。遺族基礎年金については、個人事業主の場合と同じですので、割愛しますが、遺族厚生年金でもらえる金額は生前の「平均標準報酬月額」によって決まります。決して手取り金額ではありませんので、ご注意ください。

平均標準報酬月額が45万円だとすると、遺族厚生年金は58万8242円となり、上のお子さんが18歳になるまで6年間は遺族基礎年金と合わせて181万7342円、その後、末のお子さんが18歳に達するまで159万2842円が支給されます。遺族厚生年金は子供が18歳に達した後も、配偶者が64歳になるまでの間「中高齢寡婦加算」58万5100円が加算され117万3342円支給されます。中高齢寡婦加算は遺族厚生年金だけの制度です。

大好きな家族に万が一のことがあった場合の保障として、収入保障などの保険を最初に思い浮かべる方が多いと思いますが、まずは国からもらえるお金がいくらあるのか、そして会社からの死亡退職金、弔意金などの制度があるのかしっかりと確認しましょう。民間保険への加入はその次です。

※本文で紹介した年金額はすべて1年あたりの金額です。

また家計に打撃!9月から厚生年金引上げ「手取り収入」はどうなる?

ペーパーレス化によりWEBで確認が進む給与明細。しかし、口座に振り込まれる金額だけを確認しているという方も多くなっているのではないでしょうか?

そんな方に警告です。10月(会社によっては9月)の給与明細はぜひ確認しましょう。なぜなら、9月から厚生年金保険料が引き上げになっているからです。どのくらいの影響があるのでしょうか?

■額面と手取り収入の考え方

保険料引き上げの影響を知るために、まずは、手取り収入の考え方を確認しておきます。一般的に月給といわれる額面給与は、基本給に交通費や各種手当を合計したものです。そこから税金と社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険、40歳以上の人は介護保険)を引いたものが手取り収入となります。

厚生年金保険料が上がる=引かれる金額が増える=手取り収入が減るということです。

■厚生年金保険料引き上げの影響はどれくらい?

では、実際にどの程度手取り収入に影響があるのでしょうか? 厚生年金の保険料は、通常4月~6月給与の平均額を元にした「標準報酬月額」に保険料率を乗じて計算されます。

9月からは、その保険料率が17.828%から18.182%へとアップします。以下、例として、額面給与が30万円の場合と40万円の場合でどのくらいの負担が増えるのかを表にまとめました。

9月から厚生年金保険料引き上げ!手取り収入はどうなる?、マネーゴーランド

保険料の半分は会社が負担をすることになりますので、厚生年金保険料引き上げにより、月給30万円の場合は月531円、40万円の場合で月726円の負担増となっているのが分かります。
ひと月で見ると数百円かもしれませんが、毎月のこととなると辛いところ。さらに、厚生年金保険料はボーナスからも引かれますので、年間で考えると家計にとって大きな負担になります。

■今後はもっと負担が増える?

実は、厚生年金保険料は、2004年の法律改正より毎年0.354%ずつ引き上げがおこなわれてきています。そして、2017年9月に18.3%となり、その後は固定される予定です。来年の今頃にはさらに負担が増えるということです。

また、40歳以上が納めている介護保険料の年齢引き下げをおこない、若い世代にも負担を求めるというような話も出てきています。国民への負担増が絶えないですね。
介護保険料は健康保険組合によって異なりますが、例えば、協会けんぽの場合で、額面給与30万円の保険料は月2370円です。今後は、40歳以下の人もその程度の負担が増える可能性が出てきているということ。

給与はベースアップしているはずなのに、手取り収入が増えている実感がないというのは、このように社会保険料や税金の負担が年々重くなっていることが影響しているのです。
2019年には消費税が8%から10%へアップされることが予定されています。

給与明細には様々なお金の情報が載っています。お金と向き合うことは、自分と向き合うことと同じ。しっかりと確認をした上で、家計管理に生かしていきましょう。

所得税は13億円!「年収34億円の錦織圭」気になる手取額はいくら?【声優ナレーション付き】

数々の試合で、私たちに驚きと感動を与えてくれる、テニスプレイヤーの錦織圭選手。リオデジャネイロオリンピックでは、日本人テニス選手として96年ぶりのメダル獲得。

世界を舞台に活躍するそんな錦織選手、年収はなんと34億円とも報じられています。想像できないような金額です。それでは一体、所得税や住民税、健康保険などはどのくらい払っているのでしょうか。報道されている年収から予想してみました。

■プロのスポーツ選手は個人事業主の枠組み

まず、錦織選手のようなプロのスポーツ選手は、個人事業主となります。そのため、給与所得ではなく、事業所得を自ら申告しなければなりません。テニス選手の場合、大会に出場し、入賞した場合にもらえる賞金が主な収入源となります。その他、錦織選手ほどの実力ともなると、企業とのスポンサー契約も複数結んでいるため、スポンサー料も大きな収入となるでしょう。

■錦織選手の所得税は約13億円

さて、個人事業主として錦織選手が税金を支払う場合、所得税・住民税はいくらくらいになるのでしょう。事業収入になるため、収入から必要経費を差し引くことができますが、コーチやトレーナーに支払う報酬やマネージメント料、トレーニング費用、交通費などを考えると、経費もそれなりの金額になりそうです。

所得税は、「総所得金額-必要経費」で算出された「事業所得」に、決められた税率や控除額を適用して計算します。年収が34億円、経費がおおよそ5億円と仮定した場合、所得税率は45%が適用され、所得税は約13億円となります。

■錦織選手の住民税は約2億9000万円

一方、住民税はどうでしょうか。錦織選手が東京都に居住していると仮定して計算してみます。住民税は、均等割と所得割で構成されており、そのうち均等割は、東京都の場合、平成28年度は5,000円となっています。所得割は、「(所得金額-所得控除額)×税率(10%)-税額控除額」で計算できます。こちらの計算式に当てはめてみますと、錦織選手の支払う住民税は、29億円×10%=約2億9000万円となります(控除等を一切考えない場合)。

所得税と住民税を合わせると、約16億円。それ以外にも、個人事業主で課税売上高が1,000万円を超える場合、消費税を支払う義務もあります。年収も大きいですが、支払う税金の額も信じられないほど大きいですね。

■錦織選手の健康保険は約83万円

それでは、健康保険料はいくらなのでしょうか。錦織選手は、日清食品に所属契約しているため、国民健康保険ではなく、会社の健康保険組合に加入している可能性があります。「全国健康保険協会」の保険料(東京都)を参考にすると、錦織選手が月に支払う健康保険料は、約69,000円。年間では82万8000円になります。

■気になる手取り額は…?

全て、仮に想定した場合の計算になりますが、経費や税金などを差し引くと、錦織選手の手取りは13億円ほどとなるでしょう。他に事業投資を行ったり、寄付を行ったりなどして経費がもっと多いかもしれませんが、年収の内訳がわからないため、実際には税金がさらにかかっていることも予想できます。

ただ、年収も税金もスケールの大きさはさすがです。錦織選手の活躍にこれからも期待しましょう。

■今回のナレーター

大谷 咲子(おおたに さきこ)

・主な活動歴
現在舞台を中心に声優、イベントコンパニオンなどの活動をしています。
ゲームが大好きです!
ツイッター  @sakiton69

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