定年時のローン残高920万…借入期間の油断「マイホーム購入とお金」失敗例

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<材料>

・ 借入期間

<Point>

1毎月の返済額は、借入額、金利、借入期間から算出する

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Aさんは38歳の会社員。近所の会社を手伝う妻と、幼稚園に通う子どもの3人家族です。今回は、Aさんの資金計画をもとに、「借入期間」について考えます。

■返済期間

このほどマンションの購入を決めたAさん。毎月返済額98,104円をみて「何とかなる」と、購入を決断したといいます。しかし、ランニングコストを甘く見ていたことや、金利タイプを確認しなかったことなど、反省しきりです。この状態が「ずっと」続くなんて心配です。

ところで、「ずっと」っていつまででしょうか。ふと疑問に思ったAさんが、改めて資金計画を見直したところ……。

「借入期間35年」

資金計画表によると、Aさんの借入期間は35年。Aさんは38歳ですから、35年たつころには73歳です。定年は65歳だから、8年もオーバーすることになります。大丈夫でしょうか。

■Aさんの失敗

毎月の返済額は、借入額、金利、期間をもとに算出します。Aさんの「何とかなる」の根拠となった毎月返済額は、借入額3,700万円、金利0.625%の変動タイプ、借入期間35年といった条件のもとに導き出された数字でした。

マンションを探していたときAさんは、「住宅ローンを組むなら、定年までには返してしまいたい」と思っていました。それにもかかわらず、資金計画の提案を受けたとき、借入期間を確認していません。毎月返済額を聞いて、購入を諦めかけていた物件に、「手が届く」と、舞い上がってしまったのだといいます。

参考までに、3,700万円を0.625%、35年ローンで組むと、仮にこのまま金利の変動がなかったとしても、Aさんが65歳のときの残高は920万円です。おまけに、金利が低いままである保証もない。少し心配です。

目の前に、資金計画を出されたときは、毎月の返済額を確認するだけでなく、その根拠となる借入額、金利、期間を確認しましょう。そのうえで、利用の是非を検証してください。

<「マイホーム購入とお金」失敗例>
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繰上げ返済は得することだけじゃない?「マイホーム購入とお金」失敗例

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執筆者

久谷真理子 ファイナンシャル・プランナー

大学卒業後、都市銀行において融資業務に従事。FPとして独立後は、ライフプランから見た住宅ローンや相続・不動産に関する相談業務および、実行支援業務を行っている。また、各種セミナー講師をつとめるほか、雑誌やWebサイト等で情報発信している。

久谷真理子

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ローン返済と老後資金

マイホームを取得する年齢は人それぞれですが、一次取得なら40歳前後がボリューム層でしょうか。このタイミングで多くの人が、住宅ローンを組みます。

一般的な住宅ローンの借入期間は、最長で35年です。例えば、3,000万円を2%で借りたとします(元利均等返済ボーナス併用なし)。これをリタイアまでの25年間で借りた場合、毎月返済額は127,156円です。でも、10年延ばして35年とすると99,378円です。ずいぶん違います。そのため、「とりあえず35年を選択して、毎月の返済負担を軽くしておこう」と考える人は少なくありません。

■リタイア後もローン返済?!

例えば、40歳でローンを組んだとします。そうすると、返し終わるころには75歳です。「75歳まで返済を続けられるかな」と、少し不安になりますが、こう考えることにします。「きっと退職金でなんとかなる」。でも、なんとかなるでしょうか。

ここで、老後の生活費のデータを見てみましょう。グラフは、総務省の家計調査報告による「高齢夫婦無職世帯の家計収支(平成27年)」です。高齢夫婦無職世帯とは、夫65歳以上、妻60 歳以上の夫婦のみの無職世帯をいいます。

◇高齢夫婦無職世帯の家計収支
高齢夫婦無職世帯の家計収支

内容を確認すると、高齢夫婦無職世帯の家計は、毎月の収入が約21万円なのに対して、支出は27万円にのぼることがわかります。その差額6万円については、貯蓄などからの取り崩して賄っていると考えられます。

これを1年分にすると72万円です。30年分にすると2,000万円を超します。どうやらリタイアのときには、ある程度まとまったお金をもっておいたほうが良さそうだと思い至ります。退職金をローン返済にまわしてしまって大丈夫でしょうか。

■「長く借りたら短く返す」を忘れない

住宅ローンは、「長く組んで短く返す」のが理想だといわれます。そのため、「長く組む」人は多くいます。その一方で、返済が始まると、「短く返す」ことを忘れてしまったりします。

リタイアになってから、「短く返す」はずだったことを思い出したのでは手遅れになりかねません。少なくとも、ローンを組む前に、リタイアのときのローン残高を確認。そのうえで、繰上げ返済を考えたり、退職金をどの程度頼っていいものかを検討したり。具体的な計画を立てておくようにしたいものです。

金利だけに目を奪われ…問題勃発!「マイホーム購入とお金」失敗例

マイホームを購入することになったBさんは、同僚から勧められた『フラット35』を利用するつもりです。

『フラット35』は、最長35年の固定金利のローン。借入れのときに、毎月の返済額が確定する安心感があります。

■Bさんの資金計画

Bさんは、いろいろな金融機関のホームページを見るうち、「フラット35の金利は、商品によって異なる」ことに気付きます。例えばある金融機関では、2つの金利を提示。年0.90%と年1.10%です。

参考までに、『フラット35』の平成28年8月における金利の範囲は、年0.900%~年1.570%です(返済期間21年以上35年以下、融資率9割以下の場合)。

金利は低いほうがいい。Bさんが選んだのは、年0.90%のほうです。

3,000万円を35年ローンで借りるとして、毎月の返済は83,294円(元利均等返済ボーナス併用なし)。その後、マイホーム購入の話はトントン拍子で進みます。でも、問題発生です。
手数料が、462,000円にもなるというのです。

Bさんが利用を予定している商品の手数料は、融資額の1.54%(税込)でした。3,000万円を借りると、462,000円です。これを初期費用として負担しなければなりません。

■Bさんの失敗

Bさんの失敗は、「フラット35の手数料も、商品で差がつく」ことに気付かなかったこと。定額で32,400円(税込)とするものもあれば、定率で2.16%とする商品まで、その程度はさまざまです。

自己資金が心もとないBさんは、初期費用の負担をおさえたい。そこで年1.10%の商品を選ぶことを考えます。そうすると、手数料を32,400円に抑えることに成功します。でも、月々の負担は増えます。3,000円ほど増えて、86,091円です。

参考までに、「総返済額+手数料額」の比較をしてみましょう。金利が低い方(手数料は高い)は、約3,545万円、金利が高い方(手数料は低い)は約3,620万円です。比べると、やっぱり金利が低いほうがオトクと見えます。でも、繰上げ返済をするかもしれないし、途中で売ってしまうかもしれないと考えると、悩ましいですね。

こういったタイプの商品は、『フラット35』だけではありません。住宅ローンを選ぶときは、金利だけでなく手数料もしっかりチェック。初期費用をおさえるのがいいのか、月々をおさえるのがいいのか。自分に向いているのはどちらなのか。しっかり検討するようにしてください。

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毎月の返済額が安いカラクリは…?「マイホーム購入とお金」失敗例

Aさんは38歳の会社員。近所の会社を手伝う妻と、幼稚園に通う子どもの3人家族です。今回は、Aさんの資金計画をもとに、「金利タイプ」について考えみます。

■Aさんのローン

Aさんは、マンションを購入するにあたり、3,700万円の住宅ローンを組みます。3,700万円は大金ですが、毎月返済額をみて「これなら返せる」と、購入を決断したといいます。

Aさんの毎月返済額は、98,104円。「こんなに少なくて済むのは、金利が年0.625%と低いからですよ」と言われ、大喜びでした。但しそれも、「住宅ローンの金利には、変動タイプと固定タイプがある」と知るまでの話。

Aさんの金利は、変動タイプです。Aさんはビックリ。毎月返済額は、ずうっと98,104円のままだと思っていたのに…。

■Aさんの失敗

変動タイプは、年2回、金利の見直しを行います。但し、返済額の見直しは5年ごとなのが一般的。金利の変動に合わせて、返済額に占める元金と利息の割合を調整する仕組みです。

そのため、金利の見直しのたびに返済額が変わるわけではありませんが、金利が下がれば、支払利息は軽くなるし、金利が上がるとその負担は増えてしまいます。

固定タイプは、借入期間をとおして金利が決まっています。金利の見直しがないので、安心感はバツグンです。でも借入時の金利は、変動タイプに比べて高め。その分、毎月の返済額も高くなってしまいます。金利が動くにもかかわらず、変動タイプが人気なのはそのためでしょう。

Aさんの失敗のモトは、そもそも金利にタイプがあるなんて知らなかったこと。購入契約をする前に、もう少し情報収集をしておくべきでした。「このまま変動タイプでいくべきか」、Aさんは、悩み始めています。固定タイプにしたい気持ちはあるけれど、家計への影響が心配です。

金利タイプについて知らずに、住宅ローンの借入額を決めるのはキケンです。金利タイプを理解したうえで、自身の借入額を判断するようにしましょう。

<「マイホーム購入とお金」そのほかの失敗例>
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繰上げ返済は得することだけじゃない?

ローン返済と教育費

住宅ローンの返済は、20年~35年と長期にわたるものです。だから、勢いで乗り切るなんて、そんなことはできません。

安心な返済計画を立てるためには、家計の「ローン返済能力」がどのように変化するかに着目します。そのために欠かせないのは、住宅以外の資金使途についても、考慮に入れることです。

今回は、教育費をとりあげます。なぜかというと、ローン返済がスタートして5年から10年経つころに、「教育費の負担が増えて、毎月の返済が苦しくなった」と訴える家計が少なくないと聞くからです。

まずは、表をご覧ください。これは、学齢ごとのおおよその教育費を載せたものです。

表の数字を見ると、教育費の負担は、幼稚園から小学校、中学校、高等学校、大学と、多少のデコボコはあるものの、あまり減ることはありません。また、高等学校までは、自らがすすんで行う、例えばパソコンや参考書購入といった補助学習費をはじめ、お稽古ごとなどの学校外活動費なども含んだ数字であるのに対して、大学に関してはそういったものは含まない数字。どうやら、子どもの成長とともに、家計の「ローン返済能力」は低下するとも言えそうです。

教育費は、その進路が公立か私立かによっても、大きく変わることがわかります。公立に通っている子が、中学や高校から、あるいは大学から、私立に進むケースも少なくないでしょう。
参考までに、幼稚園から大学まですべて公立であれば、その負担はおよそ800万円。19年間の合計額とはいえ、大変な金額です。しかし、これがすべて私立(大学は文系とする)になると、その負担は2,000万円を超えるまでに跳ね上がります。この差を考慮せずに、ローンのプランニングを行うことができるでしょうか。

家計の「ローン返済能力」は、刻々と変化します。お金の使いみちは、住宅だけではありません。「その他にどういった資金を必要とするか」「長期にわたって返済を継続することができるかどうか」といったことを、ひとつひとつ確認しながら、プランニングを行うようにしましょう。

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