早期利上げ期待からドル高と株安へ⁉【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

7333.jpg

■9月第3週の見通し(2016/09/12)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「早期利上げ期待からドル高と株安」

先週は多くのFOMCメンバーから早期利上げを促す発言が相次ぎドル円は上昇に転じました。

週初ドル円は103円台での底堅い動きで始まりました。前週末の米雇用統計は良いのか悪いのか判断に迷う結果となりました。しかし、3か月平均から見ると完全雇用に近いとの見方から年内利上げは確実と見られドル買いの動きが強まりました。

ところが、火曜日に発表された米ISM非製造業景況指数が予想を大きく下回ったことでドル円は一気に下落に転じました。前週に発表されたISM製造業景況指数も50を下回ったこともあり、米景気減速への懸念が広がったためです。これで9月の利上げはないとの見方からドル円は101円前半まで2円余り下落しました。

しかし、その後多くのFRBメンバーが早期利上げに前向きな姿勢を示したことで再び9月利上げ観測が浮上。特に、FOMCの投票権を持つハト派(利上げには慎重)として知られていたローゼングレン・ボストン連銀総裁も「緩やかな金融引き締めを正当化する妥当な根拠がある」と発言するなどタカ派的な見方に変わりました。

これまで9月利上げの可能性は低いとみていた市場も再びFRBが利上げに動くのではないかとの見方が広がりました。その結果、ドル円は週末103円台に乗せるなど底堅い動きが見られました。

一方、利上げは悪材料とみたNY株式市場はNYダウ、S&P、ナスダックの三指数ともに大幅下落。また、原油価格も下落したことでリスク回避の円買いが強まりドル円は102円ミドル付近まで押し戻されました。

今週もFRB幹部の講演や米小売売上や消費者物価指数が発表され、その結果次第では9月利上げの可能性が更に高まりそうです。

月曜日にはアトランタ連銀総裁やミネアポリス連銀総裁、そしてブレイナーFRB理事の講演が行われます。特に、ブレイナーFRB理事はFOMCの投票権を持つと同時にクリントン大統領候補と近い関係といわれており、次期財務相候補の一人でもあり注目を集めます。
元々ハト派として知られるだけにタカ派的な発言が出るようなら9月利上げ期待が更に高まりドル円は一段の上昇が期待できます。

しかし、利上げ期待はNY株式市場や中国、そして新興国金融市場に混乱を引き起こしかねません。そうなればリスク回避による円買いが進むことになります。

ただ、今回の利上げ以降は緩やかな引き締めとなるため、1月のような混乱は回避されるでしょう。今週もドル円は100円から105円のレンジの上限を試す動きが予想されます。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。
▼30秒でわかる!8月第4週、今週の為替市場の見通しはこちら!

<関連記事>

画像一覧

執筆者

岡安 盛男 (おかやすもりお)

レグザム・フォレックスLLC (http://fx-okayasu.com/)代表、為替アナリスト                                                 外資系銀行に20年間在籍、1999年より為替デイトレーダーとして独立後は、 自身のトレードスタイルを確立、実践的な為替投資の啓蒙活動の他、FXスクール講師やFX会社向けの情報提供サービス、投資家向け情報レポートを展開(http://www.gladv.co.jp/members/fx_bible/)。ラジオ日経「岡安盛男のFXトレンド」、日経CNBCの「朝エクスプレス」など出演中。執筆多数。

岡安 盛男

関連記事

特集

関連記事

米8月雇用統計は微妙…今後の動きは?【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■9月第2週の見通し(2016/09/05)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「米8月雇用統計は微妙な数字」

先週は注目の米8月雇用統計が発表されドルは一時下落したものの、最終的にドル円は上昇に転じました。今後の米国金融政策を左右するとの見方から注目された米雇用統計は、微妙な結果となりました。

非農業部門雇用者数が20万人以上であれば9月利上げの可能性がかなり高まったことでしょう。反対に10万人を下回るようなら可能性は無くなったことでしょう。今回発表の15.1万人増という数字は微妙としか言えません。まだ、9月利上げの可能性は残るものの、どちら付かずの数字でした。

しかし、その分だけドルの上昇余地は残ったといえるかもしれません。

一方、NY株式市場は早期利上げ期待が後退したとの見方が強まり3指数ともに上昇しました。株価が上昇するというのはリスク選好が強まるという事で安全通貨としての円が売られました。FRBが9月に利上げを実施するかを予想するうえでは今後の米国経済指標やFOMCメンバーの発言などを見極める必要があります。

今週は米国8月ISM非製造業景況指数ベージュブックが発表されます。先週の米ISM製造業指数は予想を大きく下回りドルが全面安となりました。もし、今回も好不況の分かれ目となる50を下回るようなら早期利上げは難しいとの判断からドル売りが強まることでしょう。

一方、ベージュブックは国内や雇用など緩やかな景気回復見通しが示される可能性が高いとみられています。ベージュブックはFRBも政策を決定する上で注目していることから、結果次第では早期利上げ観測が高まりドル買いが強まることになるでしょう。

その他、今週は再び、ユーロ中央銀行ECB豪州中央銀行RBA、そしてカナダ中央銀行のBOCの政策決定会合が開かれます。ECBは既に3月の会合でマイナス金利を0.4%まで引き下げたことで当面追加利下げの可能性を否定しました。

一方、日銀は量、質、金利ともに未だ引き下げる余地が十分あります。そのため、ユーロを売って円を買う動きが先週から強まり始めています。もし、今回も追加緩和を見送るようならユーロ円の買いが強まりドル円の押し上げ要因となりそうです。

ドル円はブレグジット後に安値99円を付けたものの、その後ドル円は100円の底を固めて上昇が続いています。

今週のドル円は米利上げ期待からのドル買い継続の中で円安の流れが重なりあい105円を目指す展開を予想します。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。
▼30秒でわかる!8月第4週、今週の為替市場の見通しはこちら!

ついに米国利上げか⁉︎ 世界経済ショックの予感【上村和弘のFX基本講座】

この連載を読んでいけば、FXの経験が無い方もFXビギナーの方も一定のFXトレーダーになれる! 知っておくと便利な事やFX知識として重要な事、そしてお得な情報までを解説するシリーズ【上村和弘のFX基本講座】。

米国が利上げをすれば、世界経済に価格変動ショックが起きる可能性が高くなるため、この秋の動きは注目です。
(関連記事:第19回「6月FOMC利上げの内容と対策!」

■米国の利上げは、世界経済を揺るがす

その理由はなんといっても米国の利上げ。米国が金融政策を変更して、利上げ方向に動くたびに、世界経済の不安定さも高まり、急激な変動リスクに見舞われることを繰り返しています。

現在、米国の中央銀行(=FRB)は、利上げを市場に織り込ませて、大きなショックが起きないように必死に動いています。FOMC(=日本の金融政策決定会合に該当)での利上げを9月22日に行うか、それとも11月3日・12月15日に行うか分かりませんが、2016年中に行う可能性が高くなっていますので注意が必要です。

過去に米国が利上げを行うたびに世界経済は激震に見舞われている状態。

●豪ドル/円と日経平均株価の動き

豪ドル/円と日経平均株価の動き、マネーゴーランド
(赤線は豪ドル/円、オレンジ線は日経平均株価)※引用:GMOクリック証券

米国の金融政策が動けば、世界経済は大きなダメージを受けてしまいます。特に、自国通貨が弱く、米ドルへの依存が強い新興国にとっては深刻。そのため、新興国に資源を売る立場の豪ドルも下がる傾向にあるため、新興国ショックの象徴として、見ていただきたい通貨です。チャート上に示した主な変動局面は以下の3つ。

・バーナンキショック(*):2013年5月22日にバーナンキFRB議長が量的緩和の縮小を示した。
・米国量的緩和終了:2014年10月29日のFOMCで資産買入額をゼロにした。
・米国利上げ:2015年12月16日のFOMCで0.25%に利上げ。

■米国の利上げが世界経済に暴落ショックをもたらす理由

グローバル経済は、資本=お金の移動が自由になっているため、米国の利上げは、世界経済に大きな影響を与えてしまいます。

1、米国債の金利が上がれば、運用面での魅力が増して、新興国から米国に資金が移動してしまい、新興国の資金が足りなくなる。
2、米国が金利を上げて、米ドル高に動けば、新興国がドル建てで借りている借金が増える。
3、米ドルにリンクした通貨制度を採用している国は、米国の利上げに合わせて利上げしな
いと資金が逃げ出すため、自国の経済状況にかかわらず、利上げしなければならず、
景気が冷え込むリスクがある。

先日、実施されたジャクソンホールのイエレンFRB議長の講演で、雇用と物価についてFRBは自信を深め、GDPこそ弱いものの、今のレベルで、雇用と物価の目標達成に問題はないとの話をしています。

さらに、フィッシャーFRB副議長もインタビューに応えて、年内利上げに整合性ありと発言しており、データ次第ながら、年内の利上げ確率は相当に高まってきています。

米雇用統計やGDP、インフレ率のデータ、そして米大統領選挙と不確定要素はまだあります。その中で、利上げがいつになるのか予想するのも面白いですね。
そして、利上げ後に起きる可能性の高い世界経済へのショックを考えると、この秋はFXにチャレンジする好機かも知れません!

次回も【上村和弘のFX基本講座】、宜しくお願い致します。

<*ワンポイントレッスン>
本日のワード:バーナンキショック
米国の量的緩和を縮小させることを、当時の米FRB議長のバーナンキ氏が示唆したことで、世界的に金融市場が混乱したこと。量的緩和により、新興国に流れ込んでいたお金が止まると予想され、新興国の通貨や株式が大きく下落しました。

【上村和弘のFX基本講座】
全バックナンバーはこちらから
●第14回 米国の雇用統計はFXのフィーバーデー! 月に一度のビッグイベント!
●第18回 米ドル/円相場の割安度は?これから円高・円安?
●第26回 外国為替市場の1日、FXで儲けたいなら流れを知ろう!
●第29回 英国EU離脱は変動チャンス⁉︎ ショートの活用テク
●第31回 米雇用統計公表!FXは金利に注目
●第38回 米国と世界の板挟み…イエレン議長の舵取りは?
●第41回 話題のヘリコプターマネーとその影響は?
●第42回 日銀の量的・質的緩和にカラータイマー点灯中!

米利上げ期待と雇用統計!【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■8月第5週の見通し(2016/08/29)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「米利上げ期待と雇用統計」

先週末に行われたジャクソンホールでのイエレン議長講演で、ドルは全面高となりました。
週末のイエレン議長の講演を控え、先週は多くのFOMCメンバーがタカ派的な発言が相次ぎました。
ジャクソンホールの会合では毎回歴代のFRB議長が重要なメッセージを発する絶好の舞台になります。

市場ではイエレン議長が利上げに対して前向きな発言をするか注目が集まりました。しかし、大方は利上げに関して特に目立った言及はないという見方が多く、あまり期待は高まりませんでした。ところが、市場の予想と反しイエレン議長は「米国雇用市場が改善し、追加利上げの条件は整ってきた」と発言。これを受けドルは一斉に買われました。

その後「FRBの金融政策はデータ次第」との慎重な見方を示したことでドル円は100円直前まで反落。ところが、そのすぐ後にフィッシャー・セントルイス連銀総裁が「8月の雇用統計がFOMCの決定に影響を与える」「イエレン議長の発言は9月利上げの可能性と整合」の発言で早期利上げ期待から再びドルは全面高となりました。
ドル円は一気に101円台に乗せ101円後半まで上昇しほぼ高値圏で引けてきました。

これまで市場は夏休みという事もあり、おとなしい動きが続いただけにエネルギーが溜まっているように見えます。そのため、今週のドル円は週末の雇用統計発表まではこの流れを継いで底堅い動きが継続すると予想されます。

一方で、米国が追加利上げを実施することにより、中国や新興国から資金が流出するとの見方が強まり株式市場が急落するといった懸念もあります。
FRBが今後も利上継続の可能性を示したことで、今年1月に中国株式市場が混乱に陥り世界的金融市場のリスクが高まるという経緯がありました。
今回も同様のことが起きればリスク回避の円高が進み、ドル円は再び100円割れを試す状況に陥りかねません。

尤も、今回の状況は前回とは違い市場の混乱はないと考えます。イエレン議長など他のFRBメンバーも今後は緩やかな利上げが適切であると繰り返し発言しています。そのため、新興国からの資金が急速に流出する可能性は低いと考えられます。
今週の雇用統計の結果次第で9月利上げの可能性が一気に高まりドルは一段の上昇が見込めます。しかし、それ以降は利上げペースが遅れるとの見方からドルの上値も限定的とみます。
雇用統計がもし予想を下回り、ドル円が売られたとしても100円の壁を下に抜けるのは難しそうです。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。
▼30秒でわかる!8月第4週、今週の為替市場の見通しはこちら!

為替変動の要因&ビギナーが見るべき項目は【上村和弘のFX基本講座】

この連載を読んでいけば、FXの経験が無い方もFXビギナーの方も一定のFXトレーダーになれる! 知っておくと便利な事やFX知識として重要な事、そしてお得な情報までを解説するシリーズ【上村和弘のFX基本講座】。

為替相場の変動要因、金利や株式、経済成長、有事(戦争・政治不安など)、市場介入、物価など、たくさんあります。それぞれが影響しあって上がったり下がったりしています。

最初から全ての要因を見ていくのは大変。そこで、短期と長期における為替相場の決定的な要因をお伝えしたいと思います。

■重要な変動要因は金利差と物価差の二つ!

ビギナーの方はこの二つをまず見るようにしてください。そして、「短期は金利」・「長期は物価」で為替相場が動くということを覚えておきましょう。

■短期の為替相場は金利差で動く!

短期の為替相場は、これまでも中央銀行の金融政策でご紹介してきたように、金利差で動きやすい傾向を持ちます。(関連記事:第18回「米ドル/円相場の割安度は?」第19回「FOMC利上げの内容と対策」)

短期の為替市場の法則:高金利通貨は買われて、低金利通貨は売られる。

単純な話で、高金利通貨で運用すれば、低金利通貨で運用するよりも有利。例えば、3%の金利を貰える通貨の方が、1%の金利しか貰えない通貨よりお得です。ですから、中央銀行が金融政策で金利を上昇や引き締め方向(*)にすると、その通貨は高くなりやすいというのがセオリー。

ここで、それなら、低金利通貨の日本円はどうなの? 金利が低いから円安になるのでは?と思いませんか。また、南アフリカやトルコのように、金利の高い国の通貨を買えば、何もしなくても儲かるの? と疑問を持った方もいるはず。
そうです。短期の動きは、金利の高い通貨が上がり、金利の低い通貨が下がるのに、長期の動きはその逆になります。

■長期の為替相場は物価差で動く!

長期の為替相場は物価差で動く、上村和弘のFX基本講座、マネーゴーランド

高金利通貨を買えば、金利と為替差益で大儲け。それが上手くいかないのは、長期的な為替相場は、両国の物価差で動き易いからです。そして、高金利=高物価なので、高金利通貨はいずれ下がるリスクを抱えています。

高金利は、実は高いインフレ率の裏返し。インフレは、通貨の価値が下がること。ちなみに、今の日本は逆にデフレ状態が長く続いており、通貨の価値が上昇し物の価値が下がる状態。

長期的な為替相場の動きとしては、高金利=高インフレの通貨は下落しやすく、低金利=低インフレの通貨は上昇しやすいということになります。

先日、お伝えしたブラジルレアルが長期的に下落したのも、低金利通貨の日本円が100円レベルで滞在して動いているのも、為替相場の基本的なセオリーなのです。大まかに理解頂けましたら幸いです。

次回も【上村和弘のFX基本講座】、宜しくお願い致します。

<*ワンポイントレッスン>
本日のワード:金融政策の引き締め
インフレや景気の過熱・バブルを防ぐために、中央銀行が金利を上げたり、通貨供給量を抑えること。逆に金利を下げたり、通貨供給量を増やすことを金融緩和という。

【上村和弘のFX基本講座】
全バックナンバーはこちらから
●第33回 儲けたいならテクニカル分析を学べ!
●第34回 テクニカル分析はなぜ当たるの?
●第39回 FX注文の基本「成行・指値・逆指値」とは?
●第40回 FX注文の基本2「複合注文」で安定運用を!
●第43回 五輪開催中!ブラジル通貨レアルは今買い?
●第44回 儲けたいならトレンドを味方につけよう!
●第45回 五輪終了後は…新興国BRICsは今後どうなる?

ランキング