今さら聞けない…アベノミクスって何?【上村和弘のFX基本講座】

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この連載を読んでいけば、FXの経験が無い方もFXビギナーの方も一定のFXトレーダーになれる! 知っておくと便利な事やFX知識として重要な事、そしてお得な情報までを解説するシリーズ【上村和弘のFX基本講座】。

アベノミクスは、第二次安倍政権において政権運営の主要テーマを「経済」とし、それまで日本を覆っていたデフレスパイラル(*)から抜け出し富を増やすことを目的とした政策のこと。FXを始めるなら知っておきたい言葉です。

■アベノミクスの基本政策は「三本の矢」

政策の柱として、戦国大名の毛利元就が三人の息子を諭した故事から「三本の矢」を宣言!

1、大胆な金融政策:お金をたくさん世の中に流通させる
2、機動的な財政政策:国の予算で事業を行う
3、民間投資を喚起する成長戦略:規制を緩めてビジネスをしやすくする

この3つの政策を同時に行うことで、デフレを退治し、経済成長を実現させようというのが安倍晋三首相とそのブレーンが考えた「安倍政権の経済政策=アベノミクス」。

アベノミクスの基本、上村和弘のFX基本講座、マネーゴーランド

アベノミクスの詳細を見る前に実施前の日本の現状がどうだったか分析してみます。

・デフレスパイラルで、消費・賃金は落ち込み景気悪化
・為替は円高に進み企業業績は悪化して株価は下落
・東日本大震災の影響は甚大で、原発事故により世界中から日本は大丈夫かと心配
・少子高齢化で労働人口の減少と社会保障の増加が長期的な問題

このままでは、消費が落ち込み経済力が下がり、日本の未来は暗いのではというムード。高齢化が進むと年金・医療費・介護費の支払いが増えていきます。つまり、税収・社会保障費の収入が減る中で、社会保障費はどんどん増えてゆき、国の財政が破綻するのではという危機感がありました。

このように、アベノミクス前は重苦しい雰囲気が日本を覆っていました。そこに颯爽と登場したアベノミクス。日銀に対してインフレ目標を飲ませてデフレ退治。列島強靭化政策で震災復興&財政政策をPRして選挙に勝利。ムードを一変させて、2013年から本格スタート。
実際、自民党勝利の風が吹き始めてからは、株価上昇・為替は円安と早くもムードは変化。

そして、第一の矢は、黒田日銀総裁が2013年4月4日にはじめた異次元緩和。2年で2%のインフレ目標を達成するために、国債を市場から買い入れて、長期金利を引き下げる政策。これに財政政策&成長戦略を加えることで、経済成長を目指すというシナリオ。

■アベノミクスによるデフレ退治&景気回復シナリオ

1 2%インフレ目標と資金供給量を増やす。
2 実質金利低下
3 株価上昇・円安進行
4 財政政策で企業の仕事が増える
5 規制緩和でビジネスが活発化する
6 消費増加・輸出増加
7 企業の売上や利益が増える
8 設備投資が増える
9 企業の売上や投資が増えれば、ますます好循環が起きてくる
10 雇用が増えて、人々の給料(賃金)も上がる
11 物価が上昇する
12 2%のインフレ目標達成、景気も回復!

この流れで12番まで実現できた時には、日本経済が抱えた大きな問題が解決できるはず。三本の矢は以下の目的を達成できる予定でした。

・緩やかなインフレ達成で、人々の消費意欲が増し景気が良くなる!
・規制緩和で新たな産業が生まれ、企業業績向上・雇用増・給料増が達成!
・政府の税収が増える上に、社会保障を少々減らしても人々は耐えられるようになる!

しかし、道半ばの今、残念ながらここまで上手く「アベノミクス」は進んでいません。続きは近日中に!

次回も【上村和弘のFX基本講座】、宜しくお願い致します。

<*ワンポイントレッスン>
本日のワード:デフレスパイラル。
物価が下がるデフレ状態では、企業の売上が下がり、賃金も下がります。すると、ますます消費が減るために、さらに売上・賃金が下がっていくという負の連鎖が続きます。そのため、このデフレの連鎖をデフレスパイラルと呼びます。

【上村和弘のFX基本講座】
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●第4回 FX会社はどうやって儲けるのか?
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●第22回 投資リスクの低減!分散投資ならFXがいい理由
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●第33回 儲けたいならテクニカル分析を学べ!
●第41回 話題のヘリコプターマネーとその影響は?
●第42回 日銀の量的・質的緩和にカラータイマー点灯中!

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執筆者

上村 和弘 (かみむらかずひろ)

アセットクラス&WEBコンサルティングLLC 代表CEO・ファウンダー 日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP会員、1級FP技能士 1990年 現三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社を皮切りに、証券リテール業務や企画調査、ファンド事業等に従事。1999年より、FX事業の新規立ち上げ後、複数社での金融ネット事業の立ち上げ、事業再構築・運営等の統括マネージメントを経て2011年独立。現在、金融情報サービス事業をコアに、投資教育系、システムツールのサポート業務を行う他、シンクタンク系企業、金融システムベンダー等の顧問等を兼務する。1968年生、宮崎県出身。

上村 和弘

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■インフレ目標達成に黄色信号の日銀

7月28、29日の日銀金融政策決定会合で、日銀は、追加緩和に踏み切りました。内容は、ETFの買入れ額を年間3.3兆円から6兆円に拡大するなどを発表するも市場は期待外れ感でいっぱい。

■日銀が実施している量的・質的金融緩和の内容

ETFの買入れ額増額:年間約3兆円⇒7月29日に6兆円に拡大
・不動産投資信託の買入れ額増加:年間約9000億円
・マイナス金利の拡大:日本銀行当座預金の一部に-0.1%のマイナス金利
・マネタリーベース増加ペースの引上げ:年間約80兆円
・長期国債の買い入れ増加:年間80億円
ヘリコプターマネーをはじめ、かなりの追加緩和をしてくるのではと予想されていましたから、失望感が出るのもしょうがないところ。(参考「話題のヘリコプターマネーとその影響は?」

黒田総裁の金融緩和は、「インフレ目標2%」という大胆なもの。インフレを消費者に期待させて、デフレ退治&景気を良くする目的=リフレ派(*)の主張だったのですが、そもそものインフレ目標2%すら危うい状況。

すでに、当初目標として掲げた2015年4月から2017年度中に伸びています。今回の追加緩和が小規模だったこともあり、これ以上の緩和は難しいのでは、と足許を見られ始めています。

■日銀の目標=インフレ率達成のために、株価上昇&円安誘導!

「インフレに必要な項目」
・為替相場の円安
・原油価格の上昇
・不動産・株価の上昇
・賃金の上昇
・需要の増大

為替相場の円安や株価の上昇は、インフレになりやすい要因。実際、アベノミクス直後は、株高・円安で、インフレに向けて動いていたのです。2%目標には足りないものの「もう少し頑張りましょう」を押してもらえるレベル。

日銀の量的・質的緩和にはカラータイマー点灯中! 【上村和弘のFX基本講座】、マネーゴーランド

赤:米ドル/円、オレンジ:日経平均、青:WTI原油
※引用:GMOクリック証券

ところが、株高・円安が進んでも、人々のインフレ期待は大きく盛り上がらず、企業は株高・円安で出た利益を賃金上昇や設備投資に回さず、会社に溜めこむだけ。そうこうしているうちに、世界的な原油安が到来し、日本のインフレ率も頭打ち。
下記の日銀公表のインフレ率を見ても2016年は下落傾向

日銀の量的・質的緩和にはカラータイマー点灯中! 【上村和弘のFX基本講座】、マネーゴーランド

日銀が公表しているインフレ率(消費者物価上昇率:CPI) 除く生鮮食品・エネルギー
2016年7月6日

今、米国は利上げをしたがっているものの米ドル高は嫌と矛盾を消化しなければいけない状況。ならば、日本が円高を引き受けておけば、米国が利上げをしても、利上げ分の米ドル高を相殺できるという状態。米国もそろそろ利上げしておかないと次に景気後退があれば、対応策が無くて苦しい状況。

日銀黒田総裁をはじめとしたリフレ派の質的・量的緩和という壮大な実験は、今、正念場を迎えています。もともと、量的・質的金融緩和は長く続けるものではなく、短期間で目標達成したかった政策。地球上で三分間しか戦えないウルトラマンのように、そろそろスぺシウム光線で怪獣退治しないと大変なことになってしまいます。

次回も【上村和弘のFX基本講座】、宜しくお願い致します。

<*ワンポイントレッスン>
本日のワード:リフレ
緩やかなインフレを起こすことで、デフレや不況から脱して景気回復を図ろうとすること。年率2%程度のインフレ目標を設定して、金融緩和を行う政策のこと。実際に景気回復・需要増加に繋がるかを世界的に実施中。

【上村和弘のFX基本講座】
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●第35回 英国EU離脱でビジネスチャンス到来か⁉︎
●第38回 米国と世界の板挟み…イエレン議長の舵取りは?
●第41回 話題のヘリコプターマネーとその影響は?

過去4大会の相場を分析!東京五輪への動きは?【上村和弘のFX基本講座】

この連載を読んでいけば、FXの経験が無い方もFXビギナーの方も一定のFXトレーダーになれる! 知っておくと便利な事やFX知識として重要な事、そしてお得な情報までを解説するシリーズ【上村和弘のFX基本講座】。

リオ五輪が終われば、次回の開催地はいよいよ2020年の東京です。五輪が終わった後の経済はどうなるのか? そして、東京五輪が開催される日本はどうなるのか気になりますね。過去の開催国の状況を見ながら、為替相場の動きを確かめてみましょう。

■五輪による経済効果

まず、五輪が開催されると、大きな経済効果が生じます。五輪の会場となる競技施設・スタジアムの建設、道路や橋などのインフラ、宿泊・食事施設の建設・整備。そして、開催にあたってのグッズ販売・観戦といったものを含めると次回開催の東京五輪の経済効果(*)は30兆円とも言われています。日本の名目GDPは約500兆円ですからかなりの金額になります。

しかし、一つ大事なことが、五輪は一時的なイベントであること。毎年開催されるわけではなく、一回きりのお祭りです。そのため、開催に向けての準備や開催中は雇用と売上が伸びても継続しません。ということは、五輪招致決定から開催までの期間は、インフラ発注や観光客の増加で、景気や株価が良くなります。

1. 2000年:シドニー 1993年9月23日に招致決定
2. 2004年:アテネ 1997年9月5日に招致決定
3. 2008年:北京 2001年7月13日に招致決定
4. 2012年:ロンドン 2005年7月6日に招致決定
5. 2016年:リオデジャネイロ 2009年10月2日に招致決定
6. 2020年:東京 2013年9月7日に招致決定

では、FXにとって肝心の為替相場について、各五輪の後にどのように動いたのかを見ていきましょう。ギリシャのアテネは、ユーロ全体の大きさに比べて規模が小さいので外してあります。

■シドニー五輪と豪ドル/円相場

シドニー五輪と豪ドル/円相場、シドニー五輪と豪ドル/円相場、マネーゴーランド

1993年の9月に開催決定後に上昇。その後、日本でバブル処理の円高に見舞われた後は、豪ドル高・円安に動きました。しかし、サブプライムローンから始まる金融危機の影響で豪ドル安・円高に進み、ちょうど、シドニー五輪開催のタイミングで、豪ドル安はピークになり上昇へと変化。

■北京五輪と人民元/円相場

北京五輪と人民元/円相場、シドニー五輪と豪ドル/円相場、マネーゴーランド

招致決定後に少し人民元高に動きましたが、その後は、下落が続きます。2005年から上昇に転じましたが、北京五輪開催をピークに人民元安に転じています。

■ロンドン五輪と英ポンド/円相場

ロンドン五輪と英ポンド/円相場、シドニー五輪と豪ドル/円相場、マネーゴーランド

招致決定後の英ポンドはしばらく上昇。2007年以降の金融危機(サブプライムローンからリーマンショック)で大きく下落。ロンドン五輪開催後に、世界的なリスクオフとアベノミクスで上昇へと転じました。

■リオデジャネイロ五輪とブラジルレアル/円相場

リオデジャネイロ五輪とブラジルレアル/円相場、シドニー五輪と豪ドル/円相場、マネーゴーランド

ブラジルレアルは、五輪招致決定後は横ばいで動くも2011年にブラジルレアル高を修正するために、政府がレアル高を止める政策を打ち出して大きく下落。その後も下落傾向が続き、原油価格下落・政権の汚職事件など悪材料出尽くしで、戻しつつあります。

過去の五輪と為替相場の関係を見ると、五輪招致決定後に上昇しやすい傾向が見られます。

それは、五輪開催が決まるとインフラ整備にお金を出すために、好景気・高金利になりやすく、お金が集まることで通貨高になりやすいということでしょう。

もう一つ、気になるのが、五輪終了が為替相場のターニングポイントになっていること。
五輪というお祭りが終わることで、インフラ整備や投資がなくなり、足もとの経済状況や課題に注目が集まることで、それまでの流れが変わるのでしょう。

■東京五輪と米ドル/円相場

東京五輪と米ドル/円相場、シドニー五輪と豪ドル/円相場、マネーゴーランド

今の日本は、低金利・低インフレの真っただ中、政府及び日銀は、東京五輪に向けて、インフラ整備と金融緩和を続けています。東京五輪招致決定後は、他国と同様に株高と円安に動きました。東京五輪終了後に、とんでもない大相場が来るかもしれません。それまでにFXで為替相場を勉強しておきましょう。

次回も【上村和弘のFX基本講座】、宜しくお願い致します。

<*ワンポイントレッスン>
本日のワード:経済効果
特定のイベントに対して、経済に与える影響がどれほどあるかを試算すること。新たな需要ができることで、 それが、様々な産業に波及していくことで、全体としてどのくらいの影響があるかを金額で計算します。

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●第17回 レバレッジの上限規制、利益率向上ならハイレバレッジ!
●第32回 ファンダメンタルズ分析で大事なことは?
●第33回 儲けたいならテクニカル分析を学べ!
●第34回 テクニカル分析はなぜ当たるの?
●第35回 英国EU離脱でビジネスチャンス到来か⁉︎
●第38回 米国と世界の板挟み…イエレン議長の舵取りは?
●第41回 話題のヘリコプターマネーとその影響は?
●第43回 五輪開催中!ブラジル通貨レアルは今買い?
●第45回 五輪終了後は…新興国BRICsは今後どうなる?

五輪終了後は…新興国BRICsは今後どうなる?【上村和弘のFX基本講座】

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前回「五輪開催中!ブラジル通貨レアルは今買い?」では、リオ五輪の当事者ブラジルを中心にご紹介しました。今回は、新興国全体のことをお話しします。

新興国で有名な言葉がBRICs(ブリックス)。これは、B(ブラジル)、R(ロシア)、I(インド)、C(中国)の4つの国のことで、2001年に米国の投資銀行であるゴールドマン・サックスが、21世紀に経済成長する可能性が高い国として名づけてから広まりました。

■BRICsの特徴
1、人口が多く、労働力豊富かつ消費市場としても有望。
2、国土が広く天然資源が豊富にある。
3、労働コストが低く、工業製品を低コストで生産できる。

実際、21世紀に入り、この4か国は大きな成長を遂げました。何しろお隣の中国は、日本を抜いてGDP世界第二位の座を獲得、さらに米国の地位すら脅かしています。

下記グラフは、BRICs&日本の人口推移グラフ。インドの人口は、2020年前後に中国に並びます。労働人口が増える国は経済成長しやすく、インド・ブラジルは、これから期待されている国です。

新興国BRICsは今後どうなる?【上村和弘のFX基本講座】、マネーゴーランド
出典:厚生労働省統計局

■グローバル化で先進国と新興国の間をお金が移動

近年、インターネットと金融市場の発達で、グローバル化(*)が進みました。そのため、製品やサービスの一部を先進国で作る必要がなくなり、製造コストの安い新興国や発展途上国で生産することが有利になり工場が先進国から移転。代表的なケースは、『ユニクロ』の服や『アップル』のスマートフォン。

さらに、2008年以降に起きた金融危機を救うために、先進国の中央銀行は、お金を市場に大量に供給する量的緩和を行い、金利を引き下げます。すると、そのお金は、有利な運用先を求めて、高い金利を提供する新興国へと移動して経済を成長させました。

■お金の流れが逆回転

ところが、2013年半ばごろから、米国の量的緩和縮小に向けての動きがはじまり、今までとお金の流れが逆回転になり、新興国から逃げ出し始めます。これまで、世界経済の成長を引っ張っていた中国の成長率が弱くなりはじめ、世界経済&金融市場の両方に、暗雲が立ち込めることになりました。

■シェール革命で原油が値下がり
そして、米国でシェール革命が起きます。これまでは、採掘不可能だったシェール層にある原油・天然ガスを採掘できるようになり、供給が増えた原油は値下がり。ロシア・ブラジルといった原油を輸出していた国は、貿易で稼げなくなり経済が悪化します。

■今後の新興国はどうなる?

今や、世界経済は、危ういバランスを保っており、2016年から2017年にかけては、大きな調整期間になる可能性があります。

BRICs自体の将来的な成長性は引き続き高いと思われます。特に成長余地が大きいインドとブラジルは有望でしょう。しかし、短期的には注意が必要。原油をはじめとした資源価格への依存が大きいブラジル・ロシアは、原油価格が上がらない限り、苦しい状態が続くのではないでしょうか。

ブラジルの場合、五輪開催でお祭りモードを終えた後に、巨額の財政赤字を解消&政権の汚職や腐敗を解決するというミッションが待ち構えています。

中国は、すでに、大国の一角を占めるも、共産党の独占問題・貧富の格差や利権・人民元の解放など乗り越えなければいけないハードルがたくさんあります。特に潜在的な不良債権残高は約200兆円とも言われており、世界及び中国経済が成長していけば、処理できても、低成長やバブル崩壊に見舞われると、不良債権処理に追われる時期が近いうちにやってきそうです

これらを考えると、BRICsの中で、短期的に有望なのはインドの可能性が高いと思います。長期的には、ブラジルやインドといった人口が多い上に若い人の多い国の成長に期待しています。少し注目して見ておきましょう。

次回も【上村和弘のFX基本講座】、宜しくお願い致します。

<*ワンポイントレッスン>
本日のワード:グローバル化
国境を超えて、人・物・お金が移動しやすくなること。インターネットと輸送の発達で、現在の世界は、国境による制限が弱くなり、移動の自由度が増しています。尤も、メリットだけでなくデメリットも存在します。

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●第9回 FXのスワップポイントで一石二鳥を狙う:長期投資に効果大
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●第41回 話題のヘリコプターマネーとその影響は?
●第42回 日銀の量的・質的緩和にカラータイマー点灯中!
●第43回 五輪開催中!ブラジル通貨レアルは今買い?

五輪開催中!ブラジル通貨レアルは今買い?【上村和弘のFX基本講座】

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ブラジル・リオデジャネイロで開催中のオリンピック。ブラジルの政権交代・反対運動・ドーピング問題と開催が危ぶまれていましたが、何とか始まりましたね。

これから、数回にわたり、五輪で盛り上がるブラジル関係の情報をお届けさせていただきます。最初は、ブラジル通貨のレアルの紹介と現状をご紹介します。

■新興国の星:ブラジルレアル

これから伸びていく可能性を秘めた国・ブラジルの通貨はブラジルレアル。FXでブラジルレアルを取引している会社はIG証券くらい。流動性が低く、相場が荒れやすいので取引には注意を要する通貨です。

ブラジルは、W杯・リオ五輪とスポーツの注目イベントを連続開催したように、これから成長する可能性を持つ新興国の一つ。BRICs(ブリックス)と呼びます。

そして、ブラジル経済を語る上で重要なのが原油・鉄鉱石・アルミニウムと豊富な資源を持つこと。人口も2億人超と多く、これから、若年層が成人していけば、経済成長しやすい人口ボーナス期(*)に2025年から入ります。

■ブラジル経済の現状はスリル満点

原油価格の低迷・中国経済の成長ダウンによって、資源輸出で稼いでいた国は、収入が激減しました。ブラジルもそうした国の一つで、好景気でカバーされていた悪しき部分がオモテに出てきてしまい、次から次へと問題登場。

・ルセフ前大統領の不正問題
・高いインフレ率
・低下する経済成長率
・資源価格の低迷
・世界経済の景気悪化
これらの問題でブラジル経済は悪化し、五輪開催すら危ぶまれた程。

■ブラジルレアルの動き

近年のブラジルレアルは、対日本円で40円~50円の間で動いていました。しかし、2015年に米国が金融緩和から利上げ方向へと舵を切り始め、中国経済をはじめとした新興国危機が起きました。

ブラジルは、経済悪化に加えて、当時のルセフ大統領を含めた政治家たちに、国営石油会社のペトロブラスが不正献金をしたとの汚職疑惑が持ち上がり、経済成長の落ち込みと政治的な混乱というダブルパンチに見舞われてしまいます。

これでは、ブラジルに投資していた人達もお金を引き上げたくなります。リオ五輪・今後の高成長を見越して投資していたのに、賄賂などの不正が横行・原油価格の下落で、国外へと資金が逃げ出すことに…その結果、ブラジルレアルは安くなり、2016年2月には28円台の安値を付けました。

ブラジルレアルの月足チャート
ブラジルレアルの月足チャート、上村和弘のFX基本講座、マネーゴーランド

こう見ると悪いところばかり見えるブラジル。しかし、捨てる神あれば拾う神あり。通貨のブラジルレアルが安くなったこと・景気悪化で国内の需要が減ったことで、2015年の貿易収支は197億ドルの黒字。さらに、ルセフ大統領が停職、テメル暫定大統領に代わったことで、政治も一段落。リオ五輪がはじまったことで、国民のムードも変化してきました。

もちろん、治安問題・汚職問題・世界経済の落ち込みといった問題はまだ抱えています。
しかし、豊富な資源・2025年前後からの人口ボーナス・人口の多さといった点から、ブラジルの長期的な成長は見込めます。投資のセオリー「安値で買う・悪い時に買う」という点からは、中長期的にブラジルレアルは買い時ではないかと思います。

オリンピック一色、少し投資の観点で見るのも良いですね。

次回も【上村和弘のFX基本講座】、宜しくお願い致します。

<*ワンポイントレッスン>
本日のワード:人口ボーナス
若年層が、次々と働く世代(生産年齢人口)に加わることで、経済成長が伸びていく状態のこと。潜在能力の高い人口構成。子供が多く高齢者が少ない、ピラミッド型の人口構成にある国は、いずれ、この人口ボーナスの状態を迎えて、労働者が増える事となり経済が高成長する可能性を持ちます。

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