米利上げ期待と雇用統計!【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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■8月第5週の見通し(2016/08/29)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「米利上げ期待と雇用統計」

先週末に行われたジャクソンホールでのイエレン議長講演で、ドルは全面高となりました。
週末のイエレン議長の講演を控え、先週は多くのFOMCメンバーがタカ派的な発言が相次ぎました。
ジャクソンホールの会合では毎回歴代のFRB議長が重要なメッセージを発する絶好の舞台になります。

市場ではイエレン議長が利上げに対して前向きな発言をするか注目が集まりました。しかし、大方は利上げに関して特に目立った言及はないという見方が多く、あまり期待は高まりませんでした。ところが、市場の予想と反しイエレン議長は「米国雇用市場が改善し、追加利上げの条件は整ってきた」と発言。これを受けドルは一斉に買われました。

その後「FRBの金融政策はデータ次第」との慎重な見方を示したことでドル円は100円直前まで反落。ところが、そのすぐ後にフィッシャー・セントルイス連銀総裁が「8月の雇用統計がFOMCの決定に影響を与える」「イエレン議長の発言は9月利上げの可能性と整合」の発言で早期利上げ期待から再びドルは全面高となりました。
ドル円は一気に101円台に乗せ101円後半まで上昇しほぼ高値圏で引けてきました。

これまで市場は夏休みという事もあり、おとなしい動きが続いただけにエネルギーが溜まっているように見えます。そのため、今週のドル円は週末の雇用統計発表まではこの流れを継いで底堅い動きが継続すると予想されます。

一方で、米国が追加利上げを実施することにより、中国や新興国から資金が流出するとの見方が強まり株式市場が急落するといった懸念もあります。
FRBが今後も利上継続の可能性を示したことで、今年1月に中国株式市場が混乱に陥り世界的金融市場のリスクが高まるという経緯がありました。
今回も同様のことが起きればリスク回避の円高が進み、ドル円は再び100円割れを試す状況に陥りかねません。

尤も、今回の状況は前回とは違い市場の混乱はないと考えます。イエレン議長など他のFRBメンバーも今後は緩やかな利上げが適切であると繰り返し発言しています。そのため、新興国からの資金が急速に流出する可能性は低いと考えられます。
今週の雇用統計の結果次第で9月利上げの可能性が一気に高まりドルは一段の上昇が見込めます。しかし、それ以降は利上げペースが遅れるとの見方からドルの上値も限定的とみます。
雇用統計がもし予想を下回り、ドル円が売られたとしても100円の壁を下に抜けるのは難しそうです。

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▼30秒でわかる!8月第4週、今週の為替市場の見通しはこちら!

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  • 米利上げ期待と雇用統計!【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

執筆者

岡安 盛男 (おかやすもりお)

レグザム・フォレックスLLC (http://fx-okayasu.com/)代表、為替アナリスト                                                 外資系銀行に20年間在籍、1999年より為替デイトレーダーとして独立後は、 自身のトレードスタイルを確立、実践的な為替投資の啓蒙活動の他、FXスクール講師やFX会社向けの情報提供サービス、投資家向け情報レポートを展開(http://www.gladv.co.jp/members/fx_bible/)。ラジオ日経「岡安盛男のFXトレンド」、日経CNBCの「朝エクスプレス」など出演中。執筆多数。

岡安 盛男

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「イエレンFRB議長発言と米GDP改定値に注目」

先週ドル円は心理的な壁とみられていた1ドル100円を割り込み99円55銭まで下落しました。夏休みの薄商いという事もありましたが、それだけドル安と同時に円高も進みやすい地合いにありました。

8月15日は日本の機関投資家などによる米国債の利払いや償還もあり纏まったドル売りが出ました。また、前週末に発表された米国小売売上やPPIが予想を大きく下回ったためにドルが急落した流れもありました。ちょうど日本がお盆休みで薄商いのなかでドル円の下落が続きました。

今週発表された米国7月CPIも予想を下回ったことでドル円は100円を下回り99円55銭まで下落。6月24日のブレグジットショックで付けた安値99円00銭に迫りました。

しかし、その直後にFOMCメンバーのロックハート・アトランタ連銀総裁が利上げに前向きな発言をしたことで買い戻されました。その後もFOMCの複数ンメンバーがそれぞれ異なる発言が相次ぎました。先週公表されたFOMC議事要旨でも複数のメンバーの意見の違いが明らかとなり、メンバー全員の意見が纏まらない中でFRBの利上げは難しいとの見方が広がりました。

今週は週末にジャクソンホールでイエレンFRB議長の発言に市場の注目が集まります。各メンバーが何を言おうが、やはり議長の発言の市場への影響は比較になりません。最終的なFRBのコンセンサスが利上げに前向きかどうかを判断する重要なイベントになります。

また、イエレン議長の発言に先立ち、この日は米国4-6月期GDP改定値が発表されます。先月発表されたGDP速報値は1.2%と予想を大きく下回ったことで利上げは難しいとの見方が広がりドルが全面安となりました。それだけに、今回のGDP改定値は市場の注目を集めます。

予想は1.1%と前回よりも低下していますが、これは既に市場は織り込んでいます。もし、今回も予想を下回るようならドル円は99円を割り込む可能性が高まります。反対に、前回の反動で予想を上回るようならドル買いのが進むでしょう。

ただ、その後のイエレン議長の講演内容を見るまではどちらにしても一方向に傾けにくく、どちらにも動きにくいでしょう。結局、GDPの結果とイエレン議長の発言内容を合せて今後のドルの方向性を見極めることになります。

市場は既に年内利上げは難しいとの見方が大勢になっています。もし、利上げに慎重な姿勢を示したとしても、ドル円は今年の最安値となる99円で一度は跳ね返されると予想しています。

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週明け、100円割れの試金石! 【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■8月第3週の見通し(2016/08/15)

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「米国経済指標の悪化でドル安円高リスク燻ぶる」

先週末のNY時間に発表された米国7月小売売上高や卸売物価指数が予想を大きく下回ったことでドルは全面安の展開となりました。
それまで102円台前半で底堅い動きが続いていたドル円もこの結果100円84銭まで下落。引けにかけて買い戻しが入り辛うじて101円台前半をキープしましたが、上値の重さを確認した格好となりました。

市場はこの経済指標の悪化からFRBによる年内利上げが難しくなったとの判断からドル売りに傾きました。しかし、NY株式市場は先週一週間を通してNYダウやS&Pは史上最高値を何度か更新するなど、堅調な地合いが続いています。また、一時1バレル40ドルを割り込んだ原油価格も44ドル台に上昇するなど、市場に安心感が広がりました。

先週末から日本勢はお盆休みに入ったトレーダーが多く見られました。世界的にみても既に夏休みに入ったところが多く、市場の流動性(取引額)は大分低下し始めています。そんな状況下でちょっとした材料が出ると市場は過剰に反応しやすくなるものです。
先週末のドル安もそのような状況下での動きとみることが出来ます。

しかし、ドル円に関しては常に円高リスクが燻ぶることから、投機筋にとってはドル売りを仕掛け安い地合いとみるでしょう。
ドル円の100円というレベルは心理的にも非常に重要になります。このレベルを下抜けしてしまうと当面円安には戻らず、95円付近まで一気に円高が進んでしまうのではという見方も多く聞かれます。市場はセンチメントによって同じ指標などでも全く異なる反応を示すようになります。
市場に悲観的な見方が広がっている時にはちょっとした悪材料でも大きく売られてしまいます。反対に、楽観的な見方が多い時には悪材料には殆ど反応せず、寧ろ買いを入れてくることも多く見られます。
先週の市場をみると株式市場や原油市場は堅調なだけに楽観的な見方の方が多いように見られます。

今週は先週末のNY市場の流れを継いでドル円は上値の重い展開で始まると予想され、週初ドル円は売られやすい状況で始まりそうです。しかし、このような薄商いのなかではどちらかに大きく動いたとしても、最終的に元のレベルに戻ってしまう事がよくあります。
今回も、特に市場が悲観的に偏っているわけではありません。一旦ドル円が下落したとしても100円台の底堅さが確認されれば、買い戻しが入る「往って来い相場」になりやすいものです。
一方的な見方に偏らないようにしたいものです。

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▼30秒でわかる!8月第3週、今週の為替市場の見通しはこちら!

米国雇用統計の結果を受けドル円は底堅い動きに! 【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■8月第2週の見通し(2016/08/08)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「米国雇用統計の結果を受けドル円は底堅い動きに」

先週末に発表された米国7月雇用統計は予想を大きく上回る好結果となりました。
注目の非農業部門雇用者数は前月から25.5万人増となり、予想された18万人増を大きく上回りました。また、6月と5月分も上方修正されたことでドルは発表後全面高となりました。発表前には101円付近でもみ合いが続いていたドル円は101円ミドルまで50銭近く上昇。この結果にしては上昇幅が思ったよりも小幅という感じでしたが、その後も買いが強まり102円台に乗せてきました。それはNY株式市場が予想外に上昇したためです。市場はFRBが再び年内に利上げを実施するのではといった観測が浮上。それは株式市場にとってはネガティブ材料として捉えられるものです。しかし、予想に反して株価がしっかりとしていたことからリスク選好の動きがドル円を押し上げることになりました。

ドル円は米国GDPの悪化や、日銀金融政策の限界説もあり円高リスクが燻ぶる中で、100円割れを相当意識していました。今回の雇用統計が少しでも予想を下回るようなら再度100円割れを試す展開が十分考えられる状況でした。
結果は米国GDPの悪化による懸念さえも吹き飛ばすようなインパクトのあるものでした。

先週はBOEの政策会合も開かれ、予想以上の大胆な追加緩和が実施されました。来年は英国とEUとの離脱交渉が始まることから、経済見通しは大きく下方修正されました。だからこそ、BOEは先手を取って大胆な緩和政策を打ち出したと考えられます。これを受け、欧米株式市場は上昇しました。ブレグジットによる将来的な懸念は後退したことや、米国経済の力強さが示されるなど、市場には安心感が戻り始めました。

今週は特に目立った材料はありませんが、この流れを継いでドル円は底堅い動きが予想されます。ただ、今週あたりから世界的に夏休みに入るところが多くなりそうです。
特に、今月最も注目された米雇用統計というビッグイベントが終了したことで、休みに入る為替担当者が増えそうです。市場参加者が少なくなると通常為替市場は夏枯れ状態となり動きが鈍くなります。ところが、このような相場の時ほどいきなり大きく動きだすこともあります。これまで8月というのはどちらかといえばドル円は売られることが多く見られました。
先週の動きをみると一先ず100円割れを回避したことで今年の夏は円安に振れる可能性もあります。
油断大敵と言いますが、皆さんもご自分のポジションには十分注意してください。

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▼30秒でわかる!8月第2週、今週の為替市場の見通しはこちら!

過去4大会の相場を分析!東京五輪への動きは?【上村和弘のFX基本講座】

この連載を読んでいけば、FXの経験が無い方もFXビギナーの方も一定のFXトレーダーになれる! 知っておくと便利な事やFX知識として重要な事、そしてお得な情報までを解説するシリーズ【上村和弘のFX基本講座】。

リオ五輪が終われば、次回の開催地はいよいよ2020年の東京です。五輪が終わった後の経済はどうなるのか? そして、東京五輪が開催される日本はどうなるのか気になりますね。過去の開催国の状況を見ながら、為替相場の動きを確かめてみましょう。

■五輪による経済効果

まず、五輪が開催されると、大きな経済効果が生じます。五輪の会場となる競技施設・スタジアムの建設、道路や橋などのインフラ、宿泊・食事施設の建設・整備。そして、開催にあたってのグッズ販売・観戦といったものを含めると次回開催の東京五輪の経済効果(*)は30兆円とも言われています。日本の名目GDPは約500兆円ですからかなりの金額になります。

しかし、一つ大事なことが、五輪は一時的なイベントであること。毎年開催されるわけではなく、一回きりのお祭りです。そのため、開催に向けての準備や開催中は雇用と売上が伸びても継続しません。ということは、五輪招致決定から開催までの期間は、インフラ発注や観光客の増加で、景気や株価が良くなります。

1. 2000年:シドニー 1993年9月23日に招致決定
2. 2004年:アテネ 1997年9月5日に招致決定
3. 2008年:北京 2001年7月13日に招致決定
4. 2012年:ロンドン 2005年7月6日に招致決定
5. 2016年:リオデジャネイロ 2009年10月2日に招致決定
6. 2020年:東京 2013年9月7日に招致決定

では、FXにとって肝心の為替相場について、各五輪の後にどのように動いたのかを見ていきましょう。ギリシャのアテネは、ユーロ全体の大きさに比べて規模が小さいので外してあります。

■シドニー五輪と豪ドル/円相場

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1993年の9月に開催決定後に上昇。その後、日本でバブル処理の円高に見舞われた後は、豪ドル高・円安に動きました。しかし、サブプライムローンから始まる金融危機の影響で豪ドル安・円高に進み、ちょうど、シドニー五輪開催のタイミングで、豪ドル安はピークになり上昇へと変化。

■北京五輪と人民元/円相場

北京五輪と人民元/円相場、シドニー五輪と豪ドル/円相場、マネーゴーランド

招致決定後に少し人民元高に動きましたが、その後は、下落が続きます。2005年から上昇に転じましたが、北京五輪開催をピークに人民元安に転じています。

■ロンドン五輪と英ポンド/円相場

ロンドン五輪と英ポンド/円相場、シドニー五輪と豪ドル/円相場、マネーゴーランド

招致決定後の英ポンドはしばらく上昇。2007年以降の金融危機(サブプライムローンからリーマンショック)で大きく下落。ロンドン五輪開催後に、世界的なリスクオフとアベノミクスで上昇へと転じました。

■リオデジャネイロ五輪とブラジルレアル/円相場

リオデジャネイロ五輪とブラジルレアル/円相場、シドニー五輪と豪ドル/円相場、マネーゴーランド

ブラジルレアルは、五輪招致決定後は横ばいで動くも2011年にブラジルレアル高を修正するために、政府がレアル高を止める政策を打ち出して大きく下落。その後も下落傾向が続き、原油価格下落・政権の汚職事件など悪材料出尽くしで、戻しつつあります。

過去の五輪と為替相場の関係を見ると、五輪招致決定後に上昇しやすい傾向が見られます。

それは、五輪開催が決まるとインフラ整備にお金を出すために、好景気・高金利になりやすく、お金が集まることで通貨高になりやすいということでしょう。

もう一つ、気になるのが、五輪終了が為替相場のターニングポイントになっていること。
五輪というお祭りが終わることで、インフラ整備や投資がなくなり、足もとの経済状況や課題に注目が集まることで、それまでの流れが変わるのでしょう。

■東京五輪と米ドル/円相場

東京五輪と米ドル/円相場、シドニー五輪と豪ドル/円相場、マネーゴーランド

今の日本は、低金利・低インフレの真っただ中、政府及び日銀は、東京五輪に向けて、インフラ整備と金融緩和を続けています。東京五輪招致決定後は、他国と同様に株高と円安に動きました。東京五輪終了後に、とんでもない大相場が来るかもしれません。それまでにFXで為替相場を勉強しておきましょう。

次回も【上村和弘のFX基本講座】、宜しくお願い致します。

<*ワンポイントレッスン>
本日のワード:経済効果
特定のイベントに対して、経済に与える影響がどれほどあるかを試算すること。新たな需要ができることで、 それが、様々な産業に波及していくことで、全体としてどのくらいの影響があるかを金額で計算します。

【上村和弘のFX基本講座】
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●第17回 レバレッジの上限規制、利益率向上ならハイレバレッジ!
●第32回 ファンダメンタルズ分析で大事なことは?
●第33回 儲けたいならテクニカル分析を学べ!
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