週明け、100円割れの試金石! 【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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■8月第3週の見通し(2016/08/15)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「米国経済指標の悪化でドル安円高リスク燻ぶる」

先週末のNY時間に発表された米国7月小売売上高や卸売物価指数が予想を大きく下回ったことでドルは全面安の展開となりました。
それまで102円台前半で底堅い動きが続いていたドル円もこの結果100円84銭まで下落。引けにかけて買い戻しが入り辛うじて101円台前半をキープしましたが、上値の重さを確認した格好となりました。

市場はこの経済指標の悪化からFRBによる年内利上げが難しくなったとの判断からドル売りに傾きました。しかし、NY株式市場は先週一週間を通してNYダウやS&Pは史上最高値を何度か更新するなど、堅調な地合いが続いています。また、一時1バレル40ドルを割り込んだ原油価格も44ドル台に上昇するなど、市場に安心感が広がりました。

先週末から日本勢はお盆休みに入ったトレーダーが多く見られました。世界的にみても既に夏休みに入ったところが多く、市場の流動性(取引額)は大分低下し始めています。そんな状況下でちょっとした材料が出ると市場は過剰に反応しやすくなるものです。
先週末のドル安もそのような状況下での動きとみることが出来ます。

しかし、ドル円に関しては常に円高リスクが燻ぶることから、投機筋にとってはドル売りを仕掛け安い地合いとみるでしょう。
ドル円の100円というレベルは心理的にも非常に重要になります。このレベルを下抜けしてしまうと当面円安には戻らず、95円付近まで一気に円高が進んでしまうのではという見方も多く聞かれます。市場はセンチメントによって同じ指標などでも全く異なる反応を示すようになります。
市場に悲観的な見方が広がっている時にはちょっとした悪材料でも大きく売られてしまいます。反対に、楽観的な見方が多い時には悪材料には殆ど反応せず、寧ろ買いを入れてくることも多く見られます。
先週の市場をみると株式市場や原油市場は堅調なだけに楽観的な見方の方が多いように見られます。

今週は先週末のNY市場の流れを継いでドル円は上値の重い展開で始まると予想され、週初ドル円は売られやすい状況で始まりそうです。しかし、このような薄商いのなかではどちらかに大きく動いたとしても、最終的に元のレベルに戻ってしまう事がよくあります。
今回も、特に市場が悲観的に偏っているわけではありません。一旦ドル円が下落したとしても100円台の底堅さが確認されれば、買い戻しが入る「往って来い相場」になりやすいものです。
一方的な見方に偏らないようにしたいものです。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。
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  • 週明け、100円割れの試金石! 【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

執筆者

岡安 盛男 (おかやすもりお)

レグザム・フォレックスLLC (http://fx-okayasu.com/)代表、為替アナリスト                                                 外資系銀行に20年間在籍、1999年より為替デイトレーダーとして独立後は、 自身のトレードスタイルを確立、実践的な為替投資の啓蒙活動の他、FXスクール講師やFX会社向けの情報提供サービス、投資家向け情報レポートを展開(http://www.gladv.co.jp/members/fx_bible/)。ラジオ日経「岡安盛男のFXトレンド」、日経CNBCの「朝エクスプレス」など出演中。執筆多数。

岡安 盛男

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「米国雇用統計の結果を受けドル円は底堅い動きに」

先週末に発表された米国7月雇用統計は予想を大きく上回る好結果となりました。
注目の非農業部門雇用者数は前月から25.5万人増となり、予想された18万人増を大きく上回りました。また、6月と5月分も上方修正されたことでドルは発表後全面高となりました。発表前には101円付近でもみ合いが続いていたドル円は101円ミドルまで50銭近く上昇。この結果にしては上昇幅が思ったよりも小幅という感じでしたが、その後も買いが強まり102円台に乗せてきました。それはNY株式市場が予想外に上昇したためです。市場はFRBが再び年内に利上げを実施するのではといった観測が浮上。それは株式市場にとってはネガティブ材料として捉えられるものです。しかし、予想に反して株価がしっかりとしていたことからリスク選好の動きがドル円を押し上げることになりました。

ドル円は米国GDPの悪化や、日銀金融政策の限界説もあり円高リスクが燻ぶる中で、100円割れを相当意識していました。今回の雇用統計が少しでも予想を下回るようなら再度100円割れを試す展開が十分考えられる状況でした。
結果は米国GDPの悪化による懸念さえも吹き飛ばすようなインパクトのあるものでした。

先週はBOEの政策会合も開かれ、予想以上の大胆な追加緩和が実施されました。来年は英国とEUとの離脱交渉が始まることから、経済見通しは大きく下方修正されました。だからこそ、BOEは先手を取って大胆な緩和政策を打ち出したと考えられます。これを受け、欧米株式市場は上昇しました。ブレグジットによる将来的な懸念は後退したことや、米国経済の力強さが示されるなど、市場には安心感が戻り始めました。

今週は特に目立った材料はありませんが、この流れを継いでドル円は底堅い動きが予想されます。ただ、今週あたりから世界的に夏休みに入るところが多くなりそうです。
特に、今月最も注目された米雇用統計というビッグイベントが終了したことで、休みに入る為替担当者が増えそうです。市場参加者が少なくなると通常為替市場は夏枯れ状態となり動きが鈍くなります。ところが、このような相場の時ほどいきなり大きく動きだすこともあります。これまで8月というのはどちらかといえばドル円は売られることが多く見られました。
先週の動きをみると一先ず100円割れを回避したことで今年の夏は円安に振れる可能性もあります。
油断大敵と言いますが、皆さんもご自分のポジションには十分注意してください。

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「ドル円の下落リスク燻ぶる」

先週は日米金融政策が行われ、結果的にドル円は下落して終わりました。

米国FOMC会合では前回懸念された英国のEU離脱による混乱は回避されたことで「景気見通しの短期的なリスクは後退」と言明。5月に大きく落ち込んだ労働市場も6月に大きく回復。「労働市場は強く、経済は緩やかなペースで拡大」としました。「FF金利は今後の経済見通し次第」ということで、今後の経済指標次第では年内利上げの可能性を残すなどタカ派的な内容となりました。

しかし、市場は依然として年内利上げは難しいとの見方を払しょくするまでには至りませんでした。米国長期金利の利回りは史上最低まで低下し、ドルも上値の重い展開となりました。これまで史上最高値を更新していたNY株式市場もここにきてやや息切れし始めました。

一方、日銀金融政策決定会合では追加緩和が実施されました。発表後ドル円は大きく上下し、結果的に下落しました。市場が期待した程の追加緩和ではなかったためです。市場は少なくとも量的緩和の拡大とマイナス金利の深堀をすると予想していましたが、これらは据え置かれました。

尤もETFの買い入れ額を3.3兆円から6兆円に拡大したことで大幅に下落していた株式市場は反発して終わりました。ドル円は失望売りが出て上値の重い展開となりましたが、一先ず103円台後半で落ち着いた動きが続きました。

しかし、その日のNY市場で発表された米国4-6月期GDPが1.2%と予想の2.5%を大きく下回ったことで今度はドルが全面安となり、ドル円は102円付近まで下落。そのままNY市場を引けてきました。

堅調な米国経済が世界経済のけん引役になるとの見方も、これで後退するなど市場には不安感が残ります。

ドル安と円高の両方の動きが強まるなど、今週のドル円は下値リスクが燻ぶる中で、100円を意識した動きになりそうです。

今週は注目の米国7月雇用統計が週末に発表されます。市場は非農業部門雇用者数が18万人の増加となり、失業率が4.8%に改善されると見込んでいます。予想通りの結果となれば再び米国の年内利上げ期待が高まり、ドル円も反発することになるでしょう。

先週のドル円相場は流動性の低下により非常に荒っぽい動きが目立ちました。今週のドル円は100円を割り込むのか、或は米国経済頼みによるドル買いが強まり110円を目指す展開になるのか神経質な展開が続きそうです。

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「日米金融政策の発表でドル円分岐点に」

先週も為替市場では思いもよらない色々なことが起こりました。

前週末のトルコクーデターは土日を挟んで未遂に終わったことで、一先ずリスク回避の動きは後退しました。トルコ情勢がこじれていたら更なる円高が進んだ可能性がありました。地政学的なリスクというのは元々長続きしないものですが、一先ず早急に収束したことで市場に安心感が広がりました。

この日はソフトバンクが英国半導体企業ARMホールディングスを3.35兆(240億ポンド相当)で買収することを発表しました。しかし、英国問題を抱えるポンドは上昇には繋がりませんでしたが、円売り要因でもありドル円にも買い安心感が広がりました。

また、日本政府が20兆円超規模の経済対策を打ち出すとの見通しが示されたこともドル円の押し上げ要因となりました。米国株式市場も連日史上最高値を更新するなど、リスクオンの動きが強まるなど、ドル円にとっては追い風となりました。

結果、ドル円は英国のEU離脱を問う国民投票の結果が明らかになる直前の高値106円80銭を上抜き、ドル円は107円ミドルまで上昇。ここから更に上値を試すかと思われました。しかし、英国BBC放送が「日銀の黒田総裁がヘリコプターマネーは必要ないし、可能性もない」と発言したことが伝わるとドル円は105円ミドルまで一気に下落しました。市場は今週の日銀会合でヘリコプターマネーも含めた追加緩和を実施することを織り込み始めていただけに、ドル円の失望売りが出て下落に転じました。その後、この放送がブレグジット前のものであることが判明したものの、ドル円の上値は重くなりました。

今週は日銀政策会合が開かれますが、黒田総裁はヘリコプターマネーに対してはこれまでも消極的な姿勢を示してきました。もし、今回実施しなければ一時的に下落することになるのは明らかです。ただ、既に失望売りが出た後だけに、下値は限定的とみて良いでしょう。反対に、実施した場合は108円を上抜く可能性が高いとみます。

今週はFOMC会合も開かれます。前回はブレグジットリスクや米労働市場への懸念からハト派的な意見が増えていました。今回はブレグジットショックも和らぎ、6月雇用統計の大幅改善で再びタカ派が増える可能性が高いでしょう。そうなればドル円の押し上げ材料ともなります。

日米の金融政策のギャップが拡大するかどうか、今後のドル円の方向性を示す重要な週になりそうです。

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地政学的リスクは短期で終了? 【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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「地政学的リスクは短期で終了?」

先週は市場に漂う三つの不安が払しょくされ、リスク回避の動きが後退しドル円は大きく上昇に転じました。

一つ目は参院選で与党が圧勝したことです。過半数を獲得した安倍政権は大規模景気対策を打ち出すとの姿勢を示したことで株式市場が上昇。リスクオンの動きが高まり安全通貨の円も売られました。

また、バーナンキ元FRB議長が来日し、日銀の黒田総裁や安倍首相と会見。会見ではヘリコプターマネーを議論したのではといった憶測が広がりました。ヘリコプターマネーとは、ヘリコプターから市中にお金をばらまくように、政府と日銀がマネーサプライを大幅に増やす景気対策のことです。
市場は日本銀行が7月の政策決定会合でヘリコプターマネーに踏み切るとの見方からドル円は上昇しました。

ブレグジットで混乱する英国では次期首相指名が予想外に早く決まったことで、政治的な不安が後退。市場には安心感が広がりました。米国でも6月雇用統計が予想外の好調な結果となったことで労働市場への懸念が後退。連日NY株式市場は史上最高値を更新するなど、リスク選好の動きが続いています。

ドル円は一時106円30銭近くまで上昇。ユーロ円やポンド円、豪ドル円といったクロス円も全面高となりました。

しかし、金曜日の東京市場では三連休を控えポジション調整的な円の買い戻しの動き(ドル円は下落)が小幅ながら強まりました。

NY市場では再びドル円の買いが先行して始まりましたが、引けにかけ一気に円が上昇(ドル円は下落)しました。トルコで軍が国を掌握したとのショッキングな報道が流れた他、その前日には南仏でテロが起きたことや、中国の南シナ海情勢なども重なり地政学的リスクが一気に高まった為です。

安全通貨の円やドルが再び買われるなど、市場には不安感が広がり先週末は終わりました。

今週も週明け東京市場ではリスク回避によりドル円は上値の重い展開で始まるとみられます。しかし、地政学的リスクというのは長期化することはほとんどなく、短期で収束すると予想されます。

ブレグジット問題も一服感したかと思った矢先に今度はトルコのクーデター。次々と問題が起きて円安と円高が繰り返される目まぐるしい相場展開が続いています。損切りや利食いは早めに入れておくことがこのような相場では必要です。

申年は騒がしい年になると言いますが、本当に今年は何が起きるか分かりません。資金管理は徹底してください。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。

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