ヘリ救出で100万円…!登山前に知っておきたい「山岳保険の基礎知識」

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今年から、ついに「山の日」という祝日が制定されることになりました。登山に縁がない人にとっても、8月に祝日ができることは大変喜ばしい出来事といえるでしょう。また、この日をきっかけに「登山を始めてみようかな?」と考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし初心者の登山者が増えることで心配になってくるのが、山岳事故の増加です。

■遭難の捜索・救助費は1日100万!

登山愛好家ならば、今年のゴールデンウィークに雪山遭難が多発したことを記憶されている方も多いかと思います。

「ゴールデンウィークになぜ多発?“雪山遭難事故”は未然に防げる!」の記事でも触れているように、遭難にかかる捜索・救助費用は、公共機関だけで行なわれた場合は税金から賄われます。

しかし、山岳事故が集中する登山シーズンの最盛期には、公共機関だけでは間に合わないこともあり、民間機関に依頼する可能性も。出動した人数分の日当や、民間ヘリのチャーター代、その他諸々で1日およそ100万円ほど、捜索が長引けば数千万円という莫大な金額がかかることもあります。

以前の記事では「春山をなめてはいけない」「自分の力量を過信しない」「事前調査は念入りにする」等で事故を未然に防ぎましょう、という結論になりましたが、もちろんそれはそれとして、もう一つ提案したいことがあります。

転ばぬ先の杖として「山岳保険に加入しておく」ということです。

■山岳保険は2種類

山岳保険はざっと大きく分けると2種類あります。一つはハイキングや登山用の一般的な保険。もう一つは山岳登攀(とうはん)用の保険です。

ハイキングや軽登山者向けの保険には、東京海上日動火災保険が提供する『国内旅行傷害保険』やモンベルの『野外活動保険』、木村総合保険事務所の『救援者費用等補償特約付傷害総合保険』等があります。

山岳登攀者向けの保険は、モンベルの『山岳保険』、木村総合保険事務所の『山岳登はん補償:運動危険補償特約付傷害総合保険』、jRO 日本山岳救助機構合同会社の『日本山岳救助機構』への入会、等が該当します。

山岳登攀の中には、ザイルやハンマー等の登山用品を使用するロッククライミングやフリークライミング、アイスアックス、ピッケル、アイゼン等を使用するアイスクライミング等が含まれます。

■一般的な山岳保険 or 山岳登攀保険、どっちを選ぶべき?

ロッククライミングや冬山登山、バックカントリースキー等をする場合は、山岳登攀に対応した保険に入る必要がありますが、一般的な夏山登山しかやらないといった場合は、ハイカー向けの登山保険で十分といえるでしょう。

掛け金は、軽登山なら一回掛け捨てで500円、山岳登攀なら2,000円前後が相場です。年会費にすると、軽登山なら数千円ほど、山岳登攀の場合は万単位の費用がかかることも。

また山岳登攀に対応した保険でも、国内のみの活動に限り、海外登山には適用しない場合がほとんどです。海外でも登山をしたい人は、木村総合保険事務所の『山岳登はん補償:運動危険割増付海外旅行保険』やJMA山岳保険の別途オプション等が対応しているので、そちらに相談しましょう。

初めてむかえる「山の日」が、みなさんにとって素晴らしいものになりますように。
山へ登る前に、まずは保険のお見積りを!(某保険会社CM風)

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執筆者

立見 香

出身地・群馬と居住地・埼玉の粉食文化をこよなく愛するライター。 水沢うどんと舞茸天ぷらの組み合わせを最強と信じて疑わないが、最近は武蔵野名物の肉汁うどんにハマり中。 休日は上信越の山域にいることが多い登山・温泉愛好家ゆえ、少々電波が届きにくくなっております。最近「温泉ソムリエ」になりました。

立見 香

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ゴールデンウィークになぜ多発?「雪山遭難事故」は未然に防げる!

●なぜゴールデンウィークに山岳事故が多発したのか

無謀な登山による山岳事故が相次いだ、このゴールデンウィーク。突然の天候崩れなども事故原因の一つですが、そもそも山の天気は変わりやすいものです。

私個人の主観ですが、今年は例年にない雪の少なさだったことから「まだ5月だけど雪も解けて登りやすくなってるのでは?」と誤解した登山初心者が増えたのではないでしょうか。例年ならまだ雪に閉ざされているはずの登山道が、早くも夏道になっている場所も多くなっています。

ただ春山というのは、残雪と岩などがミックスした歩きづらい道が多く、融雪による雪崩もおきやすいため、冬山とは違った厄介さがあります。またゴールデンウィーク周辺は日によって夏日になったり、吹雪いて新雪が降ったり、一年の中でも不安定な天候がつづく季節なのに、一度晴れ間を見たらそんなことはすっかり忘れてしまうのも人情といえましょう。

●雪山遭難にかかる捜査費用は100万~数千万円!?

今回の事故では救助活動のため、警察や消防などのヘリコプターが何度も出動しました。公共機関の山岳救助隊、山岳警備隊などの出動は税金で賄われる範囲ですが、それだけでは手が足らなかった場合、地元消防団や山岳会などの民間人に出動要請をすることも。

遭難から日がたってもまだ見つからない…といった場合は民間機関で捜索を続行することになりますが、出動した人数分の日当や民間ヘリのチャーター代、その他諸々でトータル100~数千万円などという費用が、遭難者や家族に請求されることもあります。

今回はゴールデンウィークシーズンに多発しやすい雪山遭難から身を守り、捜索に多大な金額を費やすのを未然に防ぐ方法について考えていきたいと思います。

●平地は夏日でも山頂は「冬真っ只中」

春山というのは、標高によってはまだ「雪山」です。山麓の季節と山頂の季節はイコールではない、ということを念頭に置かなければいけません。

まずは気温について。
気象庁による温度・湿度のコラムによれば、標高が100m上がるごとに気温は0.5~1度下がるそうで、地理や理科の教科書等では0.6度と記しているものが多く見られます。
例えば標高0mの地点で最高気温25度の夏日を記録したとして、標高100mごとの気温差を-0.6度で単純計算しましょう。

このゴールデンウィークで事故が多発した穂高の登山口・上高地は標高約1,500mなので、最高気温はおよそ16度。3,190mの奥穂高山頂に至っては最高気温わずか6度前後となります。

ちなみに6度は東京の1月の平均気温に相当。また風が吹くと体感温度は更にぐっと下がるので防寒着は必須です。平地が夏の陽気でも、山の季節はまだまだ冬の真っ只中といえるでしょう。標高1,500m以上の山域に入山する際には、きちんとした冬山の装備が必要なことがわかりますね。

登山を始めてみよう 雪山編

早いもので各地の山々から初冠雪の知らせが届く季節になりました。
雪が降ったら登山シーズンはおしまい? いえいえ、雪山にだって登山はできます。

普段の登山コースの所要時間より少し時間はかかりますが、ちょっとした技術とコツを習得すればスイスイっと登れるようになります。
人が少なくなった雪山を歩くのはとても気分がいいものです。
そんなわけでちょっと気が早いけれど、今回は「雪山登山」の装備のお話しをしたいと思います。

●アイゼン・クランポン
登山靴にバンドなどで装着する鉄の爪がついた雪山登山必須アイテムで、「クランポン」などとも呼ばれています。
雪面に尖った爪をひっかけて滑りにくくなる反面、使い慣れていないとズボンの裾に爪をひっかけやすいので注意が必要です。フカフカの雪の上を歩くときもワカン(かんじき)のような役割を果たし、格段に歩きやすくなるので、雪が降ったら必ず持参しましょう。
一般的に8~12本の爪のものをアイゼン、4~6本のものを軽アイゼンと呼びます。
また短時間で簡単に装着できる短い爪が連なった「チェーンスパイク」などがあります。
雪道の長さや雪の深さ、ほかのギアの有無、雪山登山経験の度合いなどで、チェーンスパイクか軽アイゼンかアイゼンかを使い分けます。
各地の登山情報ニュース等で「軽アイゼン程度でOK」「アイゼン必須」などというアナウンスをよく耳にしますので、荷造りの参考にしましょう。
私自身は10本爪のアイゼン一足と、凍った木道用に「リバーシブルグリッパー」というギアを持っていますが、リバーシブルグリッパーの方はまだ使うチャンスに恵まれていません。
早く使いたいなあ…

●ピッケル


小さなツルハシのような形をした雪山用のギアで、滑りやすい雪面をホールドして滑落を防ぐ用途があり、杖としての役割も果たします。
ただしガチガチのアイスバーンでなければある程度はストックで代用可能です。

●ストック
ピッケルが無い場合はストックで代用します。夏秋登山で使用するときはゴムの石づきカバーをつけますが、雪上では外しましょう。
雪面に深く刺さって抜き取りにくくなるのを防ぐため、先端近くにスノーバスケットを装着します。
このスノーバスケット、通常登山では使わないので、私はけっこう忘れてしまいがちです…
出発前には必ず持ち物チェックをして、なるべく忘れ物を未然に防ぎましょう(涙)!

●ゲイター
靴の上からゲイターを装着すれば、靴とズボンのあいだから雪が入って靴の中が濡れるのを防げます。
足首がキンキンに冷えて不快になることもありません。
雨の日の登山だけでなく雪山にもゲイターは忘れずに!

●サングラス
スキー・スノボなどでも裸眼で滑って翌日目に激痛が…なんて経験がある人も多いと思います。
雪焼け防止のためにも必ずサングラスはかけましょう。
と言いつつサングラスを持っていない私はいつもPCメガネで代用しています。かけないよりはマシ、ぐらいのレベルで正直目は痛いのですがご参考まで…

●防水手ぶくろ、ニット帽、バラクラバ
防水手ぶくろは防寒用としても使えるので、必ず持参しましょう。ニット帽は耳が隠れるものがよいでしょう。
バラクラバは薄手の目出し帽のような形状で、頭の部分をかぶらなければネックゲイターとしても併用できるので便利です。

●ビーコン・プローブ・ショベルのアバランチギア
正規のゲレンデ外を滑る、いわゆるバックカントリースキーなどをする人は持っていた方がいい3点セット「ビーコン」「プローブ」「ショベル」。これらは「アバランチ(雪崩の意味)ギア」と呼ばれています。

ビーコンは電波を発信したり受信したりできる機器で、雪崩に遭遇した際に使います。
非常に高価なものなのですが、命を守ってくれると思えば安いものです。
プローブはゾンデ棒ともいい、雪に埋没した遭難者の場所を特定するための軽量な長い棒です。
ショベルは言わずと知れた雪かきスコップのことで、雪山でテント設営する際やラッセル(雪かき)する際に使います。

私自身バックカントリースキーをやらなのでアバランチギアを持っていませんが、万が一のことを考えると持っていた方が安心ですね。
また雪山登山ではラッセルが必要な場面も多々あるので、軽量なショベルの購入を現在検討しています。

●最初の雪山登山におすすめの山

◇雲取山…山頂近くの雲取山荘は通年営業。距離は長いものの、鴨沢口からの緩やかな登山道は雪山初心者向き。
◇日光白根山…私のアイゼンデビューはこの山でした。2000m地点までロープウェイでアクセスできるのがポイント。
◇黒斑山…浅間山外輪山。浅間山自体は火山活動が活発化しているものの、黒斑山までなら規制外。

●雪山登山に必要な初期費用
・アイゼン・クランポン10本爪…10,000~30,000円
・ピッケル…8,000~30,000円
・ゲイター…1,500~10,000円
・サングラス…3,000〜20,000円
・防水手ぶくろ…3,000~10,000円
・ニット帽…1,000~5,000円
・バラクラバ…1,000~5,000円

合計27,500~110,000円(交通費、燃料費等をのぞく)

携帯電話会社の保険がいい⁉︎ 夏休みに要チェック「面白レジャー保険」

もうすぐ夏休み。今年はどこに行こうかと、計画中の方も多いと思います。楽しいレジャーは事前の準備が肝心。もしもの時に慌てないよう、保険の準備もお忘れなく。

■1泊2日のレジャーにお勧め、携帯電話会社の保険

傷害保険や国内旅行保険が各保険会社から出ていますが、保険期間は1年が一般的。花火大会や夏祭りなら、1泊2日でお出かけになることも多いのではないでしょうか。そんな時にお勧めなのが、携帯電話会社の保険です。

1泊2日なら、262円から加入できますし、申し込みも携帯からできるので、大変手軽です。保険料がお手ごろなコースの補償内容をまとめました。

夏休みのレジャー向け、携帯電話会社の保険、マネーゴーランド

すでに生命保険や医療保険に入っているのであれば、万が一の場合はそちらから保険金が受け取れますので、死亡・高度障害時、入院についての補償金額はそれほど重要視しなくてもよいでしょう。

それよりも、レジャー保険だからこそ準備しておきたいのは、他人にケガをさせたり、物を壊したりした場合に補償される個人賠償責任補償と、遭難などにより捜索や救援活動を行った場合の救援者費用等補償の金額ではないでしょうか。

ちなみに『ドコモ』と『ソフトバンク』はユーザーでないと加入できませんが、『au損保』はauユーザーでなくても加入できます。

■高額なレジャー用品なら、携行品損害補償が付いているか要チェック

夏休みには出かけるが1泊2日よりも長い、あるいは夏休みだけではなく1年を通してするレジャー、といった場合には、国内旅行傷害保険や普通傷害保険がお勧めです。

夏休みのレジャー向け、国内旅行傷害保険や普通傷害保険、マネーゴーランド

レジャー保険に付けたい補償として、携行品損害補償があります。これは、自分のカメラを落として壊してしまったり、スーツケースを盗まれたりした場合に補償されます。

ただし、釣りの保険に関しては、携行品損害補償の対象外とする保険が多いようです。以前は補償対象でも、今は対象外になっているケースもあるので、入りっぱなしの保険があったら、お出かけ前に保険のチェックもしておきましょう。

『グッド保険サービス』のスポーツ・レジャーの保険は、釣具の破損も補償になる点がお勧めです。

■ゴルフ、鉄道・航空ファン、お遍路まで保険で補償

実はどの保険も傷害保険という基本の保険に、様々な特約を付けたパッケージ商品です。傷害保険は、事故による死亡・後遺障害・入院・手術の保障です。そこに追加したい補償は、ゴルファーであれば、ホールインワン特約はぜひとも必要ですよね。また、ゴルフクラブは高額なので、携行品補償も欲しいです。

鉄道・航空ファンなら、撮影や録音機材などが高額になりがちなので、携行品補償を付けたいですね。熱中症の補償もあると安心です。

お遍路さんも、歩いて巡るなら熱中症の補償は必要です。最近はバスを使う場合も多いので、その場合は交通障害のタイプにしてもいいでしょう。

いろいろなレジャーがありますが、備えておきたいリスクはそれぞれ違います。また、保険期間で保険料がかなり違いますので、夏休みの間だけの補償でいいのかどうかで選びましょう。

また、レジャーの保険は事故に備える保険ですから、加入には医療保険のように健康状態の条件はありません。レジャーに出かける方はみなさん、保険に入ってから出発しましょう。そして、楽しい夏休みをお過ごしください。

9500万円の賠償金実例も…義務化が進む「自転車保険」FP推奨の加入法

先日近くの歩道で、歩行者と自転車との、出会い頭による事故を見かけました。大きな事故ではなかったのですが、歩行者がハッと立ち止まり、自転車走行者も慌てて自転車からおりる…といった光景は、珍しいものではないかもしれません。

■賠償金9500万円の判決実例も!自転車保険の必要性

警視庁が発表したデータによれば、2015年中の自転車事故件数は全国で101,219件に上ります。

また2013年に起きた、少年と60代女性との自転車事故では、女性は後遺障害を負い、神戸地方裁判所が約9,500万円という高額の賠償金支払いを命じる判決を言い渡しています。被害者はもとより、加害者やその家族にとっても痛ましい事故となったのは、言うまでもありません。

バイクや原動付自転車とは違い、ライセンスの必要ない一般の自転車は、誰もが気軽に乗れる分、乗っている人の走行モラルや規則の順守に大きな差を生みやすいのが実態です。

そんな中、全国に先駆けて兵庫県にて、自転車保険の義務化を定める条例が2015年10月より施行されました。続いて大阪府でも義務化の条例が施行され、そのような動きは全国に広まりつつあります。

罰則規定はないものの、被害者救済と加害者になりかねない事を考慮して、加入はしておきたいですね。

■自転車保険の月額保険料・補償は?

では自転車保険とは、どのような内容なのでしょうか。

まず保険料についてですが、各損保会社の年間保険料は3,000円~1万円程度と、プランによって差があります。つまり、月250円〜830円程度で加入できます。

基本的な補償は、何より被害者への賠償金。額は上限1億円が主流で、中には3億円まで補償してくれる会社もあります。次に示談サービス。相手方との交渉を素人がするのは難しい事ですから、つけておきたいサービスです。

他には搭乗者のケガや死亡に対する補償です。入院や通院、手術についての補償になります。

■個人賠償責任特約と傷害保険には自転車保険の補償がある…⁉︎

実は一般の人には知られていない事なのですが、上記の補償は自転車保険に加入していなくてもすでに補償されているケースが多いのです。つまり“加入しているとは知らずに、加入している”状態です。そのからくりは、「個人賠償責任保険」と「傷害保険」にあります。

⚫個人賠償責任保険
個人賠償責任(賠責)は自動車保険や自宅の火災保険に特約として付加されていることが多いです。これは自転車保険でも同じことですが、被保険者ひとりの補償ではなく、同居している家族も補償対象になります。

⚫️傷害保険
傷害保険は事故や災害、感染症での入院、通院、手術や死亡に対して補償されるもので、損害保険会社が取り扱う保険のなかで、唯一「ヒト」を補償対象にしている保険になります。生命保険とは違い、年齢や性別で保険料が決まるのではなく、危険なスポーツをしているか、職業は何か、もしくは75歳以上の高齢者か否かで、保険料が決まります。

実はこの2つに加入していれば、すでに自転車保険に入っているのと同じこと。2つ以上の保険に加入しているからといって、補償額がその分増えるということはありませんので、ムダな2重掛けは避けたいものです。ただし、契約の補償額は十分に確認をしてください。賠責額は、1億円以上が好ましいでしょう。

楽しいサイクリングや、安心な日常での使用をするために、保険の確認と、なによりルールを守った走行をお忘れなく。

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