旅費は?美術品購入は?もしも「舛添元都知事流に会社の金を使ったら」税理士が解説

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先日、東京都知事の舛添さんが一連の騒動を受けて辞任しました。原因は数々の不適切な支出でしたが、同じようなことを一般の会社員などがした場合、一体どうなるのでしょうか?

いくつかピックアップして検証してみたいと思います。

■公用車の私的利用

なかなか社用車を使える人はいないでしょうが、これはもちろんNGです。役員や会社員が私的に利用した場合は、メリットを受けた分給与加算となり所得税の課税対象となります。個人事業主の場合は、車両の減価償却費が事業利用分以外は経費算入できませんので、その分所得税が高くなってしまいます。

■家族旅行の宿泊費を会議費として処理

家族旅行は「もちろん自分のお金で行ってください」となります。ただ、行った先で仕事の打ち合わせを行い、そのための飲食代などの支出があればそれは経費として認められます。

また、税務調査や会社への経費請求の際は、「打合せ相手は言えません」では通りませんから、相手先会社名、個人名、人数などの情報開示が当然必要になります。

飲食の領収書は何でもかんでも経費に入れたがる人がいますが、たとえば自宅近くの店舗で、しかも休日に食事した際の領収書などは、税務調査で内容を詳しく聞かれることがありますので、きちんとメモを取っておくなどの対応が必要です。

これらの支出が経費とならない場合は、払ってもらった人は負担すべきものをしていない訳ですから、その分利益を得たことになりますので所得税や住民税の課税対象となります。

■高額の出張旅費

こちらは「通常必要と認められる」金額までは経費にできると税務上取扱いが決まっています。【所得税法第9条第1項第4号】

実費精算が理想ですが、社内規定で役職や行先などで日当や移動手段に差を設けている会社もあるかと思います。たまに旅費規定を作っていればいくら支給しても大丈夫と思っている経営者の方や、節税テクなどと言って紹介している人がいますが、大いなる勘違いです。

では、ここでいう「通常必要と認められる」金額とはいくらなのでしょうか? 残念ながら税法や判例で具体的にいくらまでとはなっていませんで、同業同規模他社の相場や自社での適切な金額設定と運用が必要になります。

ちなみに産労総合研究所という民間シンクタンクが公表している『2015年度 国内・海外出張旅費に関する調査』によると、国内出張の宿泊費の平均は一般社員9,088円、部長クラス10,078円。海外出張の宿泊費では一般社員14,042円、部長クラス16,008円、航空機は部長クラスでもエコノミークラスの利用が71.3%です。

金額の多寡につきましては感じ方がそれぞれあると思いますが、少なくとも舛添さんの一出張ファーストクラスで何百万何千万という金額は、世間相場からはかけ離れているという印象が強くなります。こうなると、上記との差額部分が給与認定され所得税、住民税課税…となる可能性が高くなります。

■美術品や子ども服など物品購入

個人の嗜好や家事消費になるものは「課税後の給与(自分のお金)で買ってください」のレベルですね。

経費処理の可能性があるとすれば、会社のエントランスに飾るための絵画などは経費にできるかもしれません。しかしこの場合でも条件付となります。原則、購入金額が10万円以上ですと費用ではなく資産として計上しなければならず、減価償却もできないので経費にできません。もちろんこれも個人の所有ということになれば、給与の現物支給となり課税対象となります。

■税理士からのアドバイス

以上のように、舛添さんのように他人のお金(税金)を使ってしまった場合、置き換えて一般の人が会社のお金で経済的利益を得た場合は、舛添さんだとうやむやになってしまいますが、一般の人はそうはいかず所得税、住民税の課税対象になってしまいます。

特に役員の場合は、給与認定された部分が法人税の計算上経費にならない可能性が高いので、個人だけでなく会社の税金も高くなってしまいます。

さらにこれは政治家も同じですが、嘘の記載をして請求・着服すると詐欺罪や業務上横領となり、お金の問題だけでは済まされなくなりますので、会社のお金だから…と軽い気持ちで使わないようお気を付け下さい。

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執筆者

小山潤 税理士

青山学院大学卒業後、会計事務所、上場企業財務部の勤務を経ながら税理士資格を取得し、2010年4月に独立開業。法人、個人の申告業務や税務相談、相続対策、事業立ち上げ相談などのコンサルティング業務等を中心に業務を行う。最近では雑誌のコラムや書籍の執筆、セミナー講師などの業務も積極的に行うことで税務情報の発信にも努め、困った時の相談相手として最初に思い出してもらえる人を目指して取り組んでいる。

小山潤

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税金の季節到来!?

みなさんは6月と聞いて何を連想しますでしょうか?おそらく「梅雨で嫌な季節」とお答えの方が多いのではないかと思います。しかし実はこの時期、ある支払いが多くなる嫌な時期でもあるのです。その支払いとは・・・。お察しの通り『税金』です。

特に個人事業主は、下手をするとかなりの出費となり、資金手当てが大変になることもあります。また、5月病となり退職してしまい、再就職できていない人も同様にとてもつらい時期となります。請求書が届いてから慌てないためにも、どんなものがあるのかおさらいをして心とお金の準備をしましょう。

1.まずは請求1発目!「予定納税」です。

これは個人事業主などが該当しますが、H27年分の確定申告で所得税が15万円以上の年税額があった場合、H27年所得税の納税額(1年分)の1/3を7月中に前払い納税(1回目)することになります。

また消費税についても前払い納税が必要な場合があり、前年の国税部分の納税額が48万超(地方税を合わせた合計では60万円)であれば、その金額に応じて年1回、3回、11回の予定納税の支払いが発生します。年1回であれば7月~8月末で、年3回の場合は4~5月、7~8月、10~11月の各期間で納税しなければいけません。

2.続いて2発目!「固定資産税」

こちらもこの時期7月末に2期目の納税期限がやってきます。第1期で一括納付するか、4回に分けて分納という形になります。

3.そして3発目!「不動産取得税」

住宅ローンの適用を受けようと昨年末に滑り込み購入した方は、早ければこの時期が納付期限になることがあります。

4.さらに4発目!「自動車税」

4/1に自動車を持っていると、5月中に納税通知書が送られてきます。納付期限は5月末です。金額は排気量によって異なります。

5.まだあります5発目!「住民税」

退職や個人事業主の場合は、会社で天引きができないので自身で納税しなければなりません。住民税は昨年(H27年分)の所得に対応する税額を3カ月毎4回に分けてH28年6月以降で納付します。第1期目の納付期限が6/30となります。

6.とどめの6発目!「国民健康保険・国民年金」

こちらは6月に一括納付または半額納付、もしくは1/10を納付と3通りの中から選択します。一括や半額を納付する場合は、少し割引があったりします。また、クレジットカードや電子マネーでも支払いが可能なので、お住まいの自治体に確認してみてください。

以上のように6月前後1ヶ月も含めますと、この時期支払期限のある税金が多いことがおわかりかと思います。支払いが遅れてしまうと前回お伝えしたようなペナルティがかかってしまいますが、前もって準備をすれば、納税を一括にまとめたりクレジットカードにしたりすることで多少のメリットがありますので、是非ご確認ください。

税金を払わないとどうなるか?

 みなさんご承知の通り、税金の支払いには期限があります。国民年金などまとめて払うと少し割引になったりするものもありますが、税金ではそういったオマケはありません。また、期限での支払は原則現金一括払いです。

 しかしながら、単に忘れていたり、資金繰り上どうしても期限までに払えないこともあるかもしれません。その場合、課税の公平性を保つため、きちんと申告・納税した人とは区別して一定のペナルティが課されます。以下でその内容を詳しく見ていきましょう。

1.ペナルティの種類とは
 本来支払うべき税金を本税、本税以外のペナルティを附帯税といいます。附帯税にはいくつか種類があり、納税できていない原因によって加算税、延滞税、利子税と種類が分けられています。

2.加算税
 加算税は税金を納付しなかった場合に課されるもので、下記の4種類あります。

 (1)過少申告加算税
  期限内に申告したものの、申告税額が少なかった場合です。ペナルティの金額は、追加納税額の10%。ただし、当初申告額もしくは50万円と比較して多い金額を超える部分は15%が追加で課税されます。

 (2)無申告加算税
  期限内に申告も納税もしていない場合。ペナルティは50万円までは15%、50万円超は20%追加で課税されます。ただし税務署から指摘される前に自首(申告と納税)した場合は、5%に軽減されます。

 (3)不納付加算税
  法人や個人事業主が源泉徴収した所得税が納税されなかった場合に課税され、ペナルティは本税の10%です。(2)同様、自主完納した場合は5%に軽減されます。

 (4)重加算税
  上記(1)~(3)いずれかの加算税が課される状態で、その原因が脱税など事実の隠蔽や仮装により申告した場合もしくは申告しなかった場合です。
 この場合は、(1)に代えて追加本税の35%、(2)に代えて納付すべき税額の40%、(3)の代わりに、納付すべき税額の35%がそれぞれ加算されます。

3.延滞税・利子税
 これらは共に本税に対する利息的な性質があるので混同されがちですが、明確に違いますので区別してください。
 延滞税は期限内申告をしたものの、納付期限までに納税できなかった場合や納めた税額に不足があった場合など完納できていない場合に課されるもので、納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて税率が決められています。

 一方、利子税は延滞税のような納税の遅れではなく、申告・納税期限の延長・延納の手続きをしてその許可があった場合、延納額に対して課されるものです。これは、延納することによって、納税者が納税資金の運用による利益の発生がないよう配慮したものです。

 以上のように期限までにきちんと納税できないと、かなり高く付いてしまいます。また、これらペナルティの通知や督促を受けても無視し続けていると財産の差し押さえということになってしまいます。ちなみに自己破産しても、税金は免責されませんのでご注意を!

引かれる税金が多い気が…FPが解説「賞与の税金&手取り額」計算法

サラリーマンにとっての最大の楽しみ「夏のボーナス」の時期がやってきました。ただ実際に支給されると、支給額と手取り額の違いに驚いたことのある人が多いのではないでしょうか。

なぜそんなにも手取り額が少なくなるのでしょうか。

■ボーナスから差し引かれるものは何?

ボーナス(賞与)は給与と同じく税務上は給与所得なので税金がかかります。サラリーマンの場合、健康保険料(40歳以上の場合は介護保険料も含まれます)と厚生年金保険料、雇用保険料がかかり、所得税がかかります。住民税が差し引かれないことが毎月の給与と違う点です。

■所得税額ってどうやって決まるの?

社会保険料は賞与の支給額(額面)をベースに計算されますが、所得税は、前月の給与の金額を参考に決まります。正確には前月給与から社会保険料控除後の金額を使用し、次に扶養親族の人数を確認します。

この2つの情報を基に、国税庁が発行する「源泉徴収税額表」に記載されている『賞与に対する源泉徴収額の算出率の表』から税率を求めます。
つまり、賞与(額面)— 社会保険料 − 所得税 = 賞与支給額となるわけです。

■ボーナス50万円だと手取りはいくら?

ではここで例として、東京都在住35歳(扶養親族が配偶者、賞与50万円、前月支給の給与30万円)の場合で計算してみましょう。

・課税対象金額と税率
300,000円 − 14,940円(健康保険料)− 26,742円(厚生年金保険)− 1,200円(雇用保険)= 257,118円
課税対象額は『賞与に対する源泉徴収額の算出率の表』より、所得税率4.084%とわかります。

・賞与に対する所得税
健康保険24,900円、厚生年金保険44,570円、雇用保険2,000円となり、社会保険料の控除金額は71,470円となります。
(500,000円 − 71,470円)×4.084% = 17,501円(円未満は切り捨て)

・賞与手取り額
500,000円 −(71,470円 + 17,501円)= 411,029円となります。

以上計算すると、ボーナスの約20%は税金と社会保険料で持って行かれてしまうのです。

■ボーナスの手取り額を増やす方法

ここまで説明してきた通り、賞与の所得税の計算には、前月の給与金額が大きく関わってくるということがお分かりいただけたと思います。

ということは、前月の給与が残業などして多くなると、課税対象の金額が増えるので税率が高くなる可能性があります。つまり、前月給与の残業代を抑える、可能ならばノー残業とすれば、差し引かれる所得税の負担を減らすことができ、結果的にボーナスの手取り金額を増やすことができるのです。

現在は、サラリーマンでもできる節税の方法がいろいろと紹介されています。賢く活用していきたいものです。

税金が一番安く済む保険契約の仕方とは?

4月は新年度から進学や新社会人となり新生活を迎える人が多い時期です。

その準備に何かと費用がかさんでしまうこともあるかと思います。特に受験料や入学金など教育費は瞬間的に負担が重いものや、退職後、収入がなくなってからの継続的な生活資金であったりとすぐには準備が難しい出費があります。
 こうした出費に備えて『生命保険』利用するという方法があります。商品を選ぶ際にはもらえる保険金や支払う保険料に目が行きがちです。しかし、契約の仕方によっては税金の種類や負担金額が変わってきますので、この部分の理解も含めての検討が必要です。

1.保険契約に関する登場人物をおさえましょう
 保険契約には、下記の三者が登場します。
・「契約者」=保険契約をした人、保険料を負担する人
・「被保険者」=保険の対象となっている人
・「保険金受取人」=保険金を受取る人

2.契約のパターンをおさえましょう
上記の三者がそれぞれ誰になるか?で税金の種類や負担が変わります。以下死亡保険金について具体的に表で見ていきましょう。

1は「契約者=被保険者」つまり、夫が自分に死亡保険を掛け亡くなった場合です。この場合受取人に対して相続税が課税されます。しかし実際は、非課税枠が相続人1人につき500万円あります(*1)ので、このパターンの税負担が一番軽くなることが多いです。
2は夫が保険料を支払って、保険金も自分が受取る「契約者=受取人」のパターンです。この場合は一時所得(*2)として所得税の課税対象になります。
3は「契約者≠被保険者≠受取人」と3者すべてが異なるパターンです。この場合は、保険金が110万円を超えると(*3)受取人に対し贈与税が課税されます。

では、死亡保険金ではなく、老後資金のための個人年金保険や教育費のための学資保険の場合はどうでしょう。基本的に両者とも「契約者=受取人」ですから所得税(一時所得)の課税対象のパターンになります。ただ、年金保険は、公的年金のように分割してもらうと一時所得ではなく雑所得となりますし、学資保険も受取人を子供にしてしまうと贈与税対象となり税額が変わってきます。

以上のように、必要保障額で契約したつもりが税負担を考慮しないと、必要な金額が手元に残らないという事態になってしまいますので気を付けましょう。

*1;相続人が保険金を受取った場合。そうでない場合、非課税枠はありません。
*2;(保険金-保険料)が50万円までは非課税。超えた部分の1/2が課税対象。
*3;他にも贈与がある場合は、同年中に受けたすべての贈与と合算して判定になります。

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