パワハラで精神に障害を発症した場合は、労災が適用されることも

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<材料>

・職場でパワハラを受けて、精神に障害を負う

<Point>

1精神障害を発症する6ヶ月前からパワハラを受けていた

2休職をする場合、傷病手当金ではなく、労災を申請する

3パワハラを受けたことにより、精神障害が発症したことを証明する

※平均賃金1万円の労働者が、パワハラを受けて精神障害で会社を60日間休んだ場合の労災から支給される給付金

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最近よく話題にあがる職場のパワーハラスメント。

パワハラとは、簡単に言ってしまうと「職場におけるいじめ」。それが原因でメンタルヘルス不調になる人が増えているのが現実です。このパワハラですが、働きにくい職場環境が原因ということで、労災の対象になるケースがあるのです。

職場において、上司に叱られることはよくあることかと思います。しかし、問題はその叱り方。自分だけいつも叱られている、人格を否定するような言い方(例えば:給料泥棒、能力なし、バカ等)をする、有給を取らせない(仕事ができないやつが休んでいる場合か)等、どう考えてもそのようなことを言われたら傷つくだろうと思われるものです。そのようなパワハラを毎日受け続けると、眠れなくなり、食欲も減退し、体調も悪くなります。

そして体調を崩してしばらく休まざるを得なくなったときに、労災を申請すれば休業補償給付が支給されるケースがあります。しかし、実際にこのようなケースでは、会社が健康保険の傷病手当金の申請を勧めるために、なかなか労災にはならないのが現状です。確かに、休職期間中はどちらもお金がもらえますが、傷病手当金(休んだ4日目からお給料の日額の3分の2)より労災の休業補償給付(初日からお給料の日額の8割)方が支給金額が多いのです。しかし、労災の申請がすべて認定される限らないことと申請をしたくない会社の思惑とで難しいようです。

このパワハラですが、労災を申請するとどのような出来事があったかを評価表から評価して認定します。評価表には、「ひどい嫌がらせ、いじめまたは暴行を受けた」場合には強度の、「違法行為を強要された」「達成困難なノルマが課された」「取引先からクレームを受けた」等の場合は中度の、心に負荷がかかると評価しています。

ただし、この労災の申請ですが、精神障害の発症前6ヶ月間にどのようなパワハラを受けたか、そしてどのように体調が悪くなったのかを証明しなければなりません。実は結構ハードルが高いのです。それが労災ではなく傷病手当金を申請する要因の1つでもあります。

「上司のパワハラからメンタルヘルス不調になったので会社を辞める」とすぐに考えるのはやめた方がいいと思います。被害を受けた自分が自ら会社を辞める必要はありません。会社には、パワハラが行われている職場を放置しておいたという責任があります(これを使用者責任と言います)。まずは親しい人に相談をして、しばらく休職し、体調を整えて、別の職場に異動して、新しくやり直すことをお勧めします。

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執筆者

菅田芳恵 社会保険労務士/ ファイナンシャル・プランナー

愛知大学卒業後、証券会社、銀行、生命保険会社、コンサルティング会社に勤務した後、49歳から2年間でCFPや社労士等7つの資格を取って独立開業。現在は13の資格を活かして、セミナーや研修講師、企業のコンサルティングを行っている。

菅田芳恵

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「労災」と聞いてどんなイメージがありますか?

労災というと、ブラック企業による過酷な労働条件による過労死(うつ病などによる自殺)を思い浮かべませんか?ところが、自殺による過労死が「労災」認定を受けたのは、2000年に最高裁による判決が最初(*)で、それほど前のことではないのです。それまで「労災」というと、業務上に発生した不慮の事故などに認定されることが多かった中で、過労自殺に「企業側の責任」を認めた画期的な判決となりました。その後厚労省の指針なども改められましたが、過労自殺は年々増え続ける一方です。

「労災」とは、「労働者災害補償保険」の通称ですが、はたしてどれだけの人が正しく内容を知っているでしょうか?案外、知っているようで知らないことが多いかと思います。実は働く上で、とても重要な制度です。

労災は非正規含む全労働者が対象
労災の対象となるのは、労働者です。労働者には、会社員、アルバイト、パート、契約社員、派遣労働者等名前に関係なく、働いてお金をもらうという労働契約(口約束でも可)を結んでいれば該当します。公務員は一部の非常勤職員を除いて対象外です。また、個人事業主や会社の社長等も対象ではありません。たとえば「○○うどん」で働いている人は対象ですが、店主や一緒に働いている家族は対象ではありません。またアルバイトとして1日だけのイベントに参加したとか、1時間だけちょっと手伝ってと言われて手伝った場合も対象です。

よくトラブルになるのが、「ちょっと手伝ってと言われてケガをしたのに、お手伝いは対象ではないと言われた」「1日だけのアルバイトには労災は出ないと言われた」などです。社長としては、労災事故を起こしたくないし、また保険料もかかります。だから、アルバイトには労災は出ないとか、お手伝いは労働ではない(お手伝いでもお金をもらっていればりっぱな労働者です)とか、わけのわからないことを言いたてるのです。

自分の健康保険は使わない!労災は自己負担ゼロ
通勤途中や仕事中に病気やケガをした場合、社長や現場の担当者に「自分の健康保険を使って医者に行ってくれ。自己負担分は会社が持つ」と言われても、絶対に自分の健康保険証は使わないこと。自己負担分とは医療機関の窓口で支払う3割負担のことで、例えば医療機関で診察と薬に1万円かかった場合、3割の3,000円を窓口で支払います。後の7割は健康保険から支払われる仕組みです。ところが労災の場合は、自己負担はゼロで、全額が労災保険から支払われます。医療機関で「労災でケガをした」と言えば自己負担はゼロになるのです。

さらに労災保険には、休業補償があります。アルバイトが5日間の約束で1日目に仕事中にケガをして仕事ができない場合、後の4日間はアルバイト料金の約80%がもらえます。(2日目と3日目は会社から、4日目と5日目は保険から)
ただし、通勤途上のケガの場合は、4日目と5日目の2日間の休業補償のみです。

雇い主に拒否されても申請できる
アルバイト先でケガや病気になった場合、社長が「労災はだめだ。アルバイトは対象ではない」と言われても、医療機関(できれば労災指定医院)で事情を話せば、申請をしてくれます。そうすると労働基準監督署から社長に連絡が行き、社長は後から保険料を支払うことに。アルバイトだから、軽いケガだからと我慢するではなく、堂々と「労災だ」と言って医療機関にかかって、早めに直すようにしましょう。

最近では、労務の規定により、残業時間の管理などが厳しくなっているようです。
だれもが楽しく働ける職場環境を整えることは、企業の責任でもあるのです。

(*)1991年に大手広告代理店の社員が自殺、その後遺族が会社の責任をめぐって損害賠償を求めた裁判で、2000年に最高裁は遺族の訴えを全面的に認め、企業側に賠償金の支払いを命じた。過労自殺を認めた初の司法判例となる。その後、東京中央労基署により「労災認定」された。

仕事を休んだ時に労災保険からは賃金の約8割が支給される

仕事中または通勤途上でのケガや病気で会社を休まざるを得なくなった時には、賃金が支給されません。しかし、反対に働けなくなって賃金が支給されない場合には、労災保険から休業(補償)給付が受けられます。

業務上の場合は休業補償給付、通勤途上の場合は休業給付と呼ばれます。では、いくらもらえるのか、いつまでもらえるのかをみてみましょう。
休業(補償)給付が支給されるための要件は、下記のようになります。
1.療養していること
お医者さんなどの指示の範囲で通院して、自宅療養していることも含まれます。
2.労働することができないこと
実際に働いていないことです。
3.賃金を受けていないこと
平均賃金の6割以上の会社からの補償や有給休暇取得等がないことです。

有給を使ってしまうと、その分だけ休業(補償)給付は支給されませんので、考えて利用することをお勧めします。

休業(補償)給付は、休業が4日以上にわたる場合に4日目以降の休業について、休業(補償)給付と休業特別給付金が支給されます。また、休業初日から第3日目までを「待期期間」といい、休業(補償)給付と休業特別支給金は支給されません。ただし、業務災害の場合は、この待期期間については、会社が休業補償(1日につき平均賃金の6割)を行うことになります。

支給される額は
休業(補償)給付=(給付基礎日額×0.6)×休業日数
休業特別支給金=(給付基礎日額×0.2)×休業日数

給付基礎日額とは、平均賃金に相当する額のことです。
平均賃金=直前3ヶ月間の賃金/3ヶ月間の歴日数
例:直前3ヶ月の賃金が25万円、23万円、24万円であれば、歴日数92日で割って、平均賃金は、7,826円となります。

この休業(補償)給付を受けられる期間の上限はありません。休業(補償)給付の3つの要件に該当していれば「休業する日」となり、支給されることになります。また、休業(補償)給付を受けている間は、会社は辞めさせることができませんので、覚えておいてください。

しかし、まだ直っていないのに自己都合で会社を辞める場合も3つの要件に該当していれば、給付を引き続き受けることができます。ただし、この場合は、今まで会社が行ってきた労働基準監督署への申請を自分で行うことになりますので注意をしてください。

労災保険が適用される、”仕事中”の範囲とは?

労災保険は、労働者が仕事中および通勤途上において病気やケガをした場合にお金が支払われる制度です。仕事に関することなので、当然事業主に補償責任があるため、労災保険料は全額事業主負担になっています。

通勤途上は、会社に行くまでに「労災事故に遭う」ということでわかりやすいのですが、仕事中とはいったいどんな場合をいうのか、線引きが非常に難しい問題です。仕事中と言うのだから、就業時間および残業時間中は全て該当するのではと思いがちですが、そうとも言えないのが現状です。

では仕事中とは、どのようなケースが該当するのか主なものをいくつかあげてみましょう。このケースにあてはまる場合に、病気やケガをしたら労災が適用されます。

・仕事中
・仕事中断中(お手洗い、飲水等)
・仕事に伴う必要行為
・仕事に伴う準備行為または後始末行為中
・緊急業務中
・休憩時間中(会社外の飲食店利用中はダメ)
・事業場施設の利用中
・出張中
・全員参加のレクリエーション行事に参加中
・他人の暴行による災害 等

ただし、どのケースでも仕事中に関係のない私的なことを行っていた場合は、該当しません。例えば、仕事の途中でのどがかわいたので会社内の給湯室に行きでケガをした場合は労災に該当しますが、会社から出て近くのコンビニにお茶を買いにいき途中でケガをした場合は、当てはまりません。また、反対にお客様にだす飲み物を買いにコンビニに行ってケガをした場合は、私的なことではありませんので、労災が適用されます。

また、会社主催のレクリエーション行事に参加した場合、この参加が自由参加であればケガをしても労災の適用はありません。しかし、自由参加と言っておきながら、参加が半ば強制(自由参加としながらもみんなが参加しているからしぶしぶ参加しなければならない)の場合は、労災の適用があります。さらに会社ではなく別の場所に行くことになりますが、通勤途上ということで往復が労災の適用となります。

実は、この自由参加か強制参加かの違いによって、研修や会議、宴会等への参加中のケガが労災の適用になるのかならないのか判断の基準になります。このような行事等に参加する場合は、必ず自由か強制か確認をしておきましょう。

いつもと違う通勤方法で会社に行っても労災の対象に!

自宅から会社に行くまでにかかった交通費は、通勤手当として支給されています。この通勤手当が支給されるためには、会社にどのような経路でどのような交通機関を利用するのか届け出る必要があります。例えば、電車やバス、自転車、マイカーの人もいるかもしれません。

この通勤経路の途中で災害に遭ってケガをしたり病気になった場合、会社に届け出ることにより、労災保険の対象となり、給付金が支給されます。自己負担なしで労災指定病院の治療を受けたり、さらに会社を休んでお給料をもらえない時には休業給付金が支払われるのです。

しかし、会社には電車での通勤を届け出ているのに、家族にマイカーで会社まで送ってもらって、その途中に事故に遭った場合はどうなるのでしょう?
「会社に届け出ているのと違う乗り物なので、労災の対象にならない」と思っていませんか?

実は、会社に届け出ている通勤方法と異なっても、それが合理的な経路であれば、労災の対象となるのです。合理的な経路とは、電車通勤がマイカーになってもかまいませんが、それが遠回りをしないで、一番近い経路で会社に行くということです。会社からの帰りに食事やデパートに寄り道をして、そのために通勤と違う乗り物を使用したような場合は、合理的な経路でないことは言うまでもありません。また、たまたま雨が降ったので電車ではなく自分でマイカーを運転して会社に行く場合、お酒を飲んでいたり、無免許だった場合は労災の対象にはなりません。

ここで注意をしていただきたいのは、会社に届け出ている通勤方法と異なっても労災の対象になるということだけです。異なる通勤方法が日常的であれば、会社に虚偽の申請をしていることになり、就業規則で何らかの処罰の対象になるかと思います。「電車通勤します」と会社に届け出て、実際には自転車通勤をしていて途中で災害に遭った場合、会社から今までの通勤手当代を全額返せと言われ、さらには自宅謹慎処分を科せられるかもしれません。

会社に届け出た通勤方法と異なることは、日常的でないことにこしたことはありません。

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