元日銀マンが語る「マイナス金利突入の狙いと影響」

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1これまで民間金融機関が日銀に預けている当座預金に対して日銀が0.1%付利

2マイナス金利導入がスタートし、民間金融機関側が0.1%の金利を日銀に払うことに転換

3日銀に積まれている金融機関の資金が、企業の設備投資などに融資されることを企図

4金融商品により明暗。MMFなど公社債を投資対象とする金融商品は要注意(2月19日時点ですべてのMMFは購入停止)

日銀は、2月16日よりマイナス金利をスタートさせました。

これまで民間金融機関が日銀に預けている日銀当座預金に対して、日銀が0.1%の金利を払っていましたが、逆に民間金融機関側が0.1%の金利を日銀に払うことになります(マイナス幅は今後拡大する可能性)。例えると、民間側が日銀に預金の「保管料」を支払うことになります。ただ、激変を避けるため、既存の日銀当座預金残高に対する金利はプラス0.1%をそのままとして、これから増加する残高分のみ、「マイナス0.1%」を適用するようです。

なぜ、このような事態になったのでしょうか?背景には、原油安がさらに進んでいること、中国をはじめとする新興国や資源国の経済の先行きが不透明、金融市場が世界的に不安定、といった事情があります。企業や消費者のデフレ意識の転換も遅れ、日銀のかかげる物価目標2%の実現が難くなっていることもあります。今回はマイナス金利導入における、日銀の狙いや生活者への影響を見ていきましょう。

まず、日銀の狙いです。マイナス金利を導入すると民間金融機関が必要以上の資金を日銀に預けておくメリットはなくなります。日銀としては、日銀の口座に積み上がっている金融機関の資金が、企業の設備投資や個人の住宅ローンの借り入れに向かうことを企図しています。マイナス金利が進みますと、世の中全般の金利も低下(もしくはマイナス金利に転化)していくでしょう。景気の回復やデフレからの完全な脱却につながるのか、注目されます。

次に生活者への影響をローンと資産運用を分けて見ていきます。
まず、ローン金利の低下は、返済負担が減るので歓迎すべきことです。特に住宅ローン金利は、一生モノの家を持つコストが減るわけですから関心が高まっています。ただ、返済が免除されるわけではないので、返済計画をしっかりと立てることは何らかわりません。
続いて資産運用ですが、金融商品により明暗が分かれます。明の部分は何といっても株式投資。株価にはマイナス金利がプラス材料として期待されています。一方、暗の部分は債券投資や公社債投信の購入です。市場で決まる債券の金利は、マイナス金利導入が決定した日(1月29日)以降に急低下しています。MMFなど公社債を投資対象とする金融商品は要注意。保険でも終身保険などは、公社債の利回り低下の影響を受けるため、条件が悪くなると思われますので要チェックです。

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執筆者

小松英二 CFP®(ファイナンシャル・プランナー)/ 経済アナリスト

筑波大学卒業後、日本銀行入行。景気動向調査、対金融機関・対政府の金融取引などに携わる。 その後2007年4月にFP事務所を開業し、資産運用、相続対策を中心に相談業務、執筆活動を展開。 生活者向けセミナー、企業の社員研修、FP継続教育研修などの講師も務める。 帝京大学経済学部・湘北短期大学総合ビジネス学科 非常勤講師

小松英二

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〜マイナス金利!?〜【第27回】高橋先生の教えて経済ニュース

〜マイナス金利!?〜

本来お金を預けると利息をもらえるというのが通常の状況ですが、マイナス金利とは、お金を預けると利息を払わなくてはいけない状況のため、預金に手数料がかかるのと同じことになります。

お金を借りている側は、通常は利息を支払いますが、マイナス金利という場合には、お金を借りると利息がもらえます。つまり、お金を借りると利息を払わなくて良いばかりか、ご褒美がもらえるような状況です。

今回マイナス金利政策を導入するということになりましたが、いきなりすべての預金の金利をマイナスにするということではなく、民間銀行が中央銀行である日本銀行に預けている預金の一部にマイナス金利を適用するというのが今回発表になった内容です。

日本は景気の回復が遅れており、物価も上がらない状況が続いています。その状況を変えるために、追加の金融政策の一つとしてマイナス金利が導入されました。
金融緩和、つまり金利を引き下げることによって、民間の会社がお金を借りやすくして、経済を活性化しようということが狙いの一つになります。

個人が預けている預金にもマイナス金利が適用されて手数料を払わなくてはいけなくなるのかということを心配している方もいます。しかし、当面そういった状況になることは考えられません。個人の定期預金の利率が下がることはあっても、マイナスになることはありえないでしょう。

年金、約8億円の運用損で話題になった「GPIF」とは?

約140兆円にもおよぶ公的年金の運用を一手に任されているGPIF。

その運用成績が2015年7~9月期にマイナス約8兆円(国内株で約4.3兆円、外国株で約3.7兆円の運用損が発生)となりました。2015年8月以降の世界的な株安が響いたもので、運用損は2014年1~3月期以来、6四半期ぶりとなります。今回はGPIFとはどんな組織か、そして約8兆円といった運用損をどのように見たらよいかを解説しましょう。

GPIFは、厚生労働省が管轄する公的年金の運用機関。年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund)が正式名称です。約140兆円の運用資産は2位のノルウェー政府年金基金を大きく引き離し“世界最大の機関投資家”です。

歴史を振り返りますと、2001年3月まで公的年金の積立金を管理していた政府系の特殊法人「年金福祉事業団」が前身です。リスク資産に投資せず預金程度の利回りを得るに過ぎませんでした。その後、時代の要請で運用収益を上げることが求められ、「年金資金運用基金」へ改組されます。さらに2006年4月に独立性を持った現在のGPIFが設立され、リスク資産の保有比率を高める運用改革が進んでいきます。

GPIF発足当時の基本ポートフォリオは、6割を国内債券に投資し、株式(国内・外国)は24%程度でした。それが政権側から将来の年金不安に対応するため、株式などリスク資産への投資比率を高めるべきとの要望が幾度となく出され株式投資比率を高めていきます。現在の運用比率は国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%。かなり株式投資の比率を上げたことが分かります。

今回の約8兆円の運用損は、株式投資の比率を高めたことによる、との見方を否定することはできないでしょう。ただ、リターンを得るためにはリスクを覚悟しなければならないことも事実。株価が下がったことに一喜一憂せず、長いスパンで見ていくことも重要です。GPIFの運用は、2013年度は約10兆円、2014年度は約15兆円の運用益を得ていることも忘れてはなりません。

ただ、1つ懸念されるのは、株式投資の比率を高めていくことを国民の声をあまり反映せずに決めていることです。はっきりしないプロセスで株式投資の比率が上がっていますので、株価対策との批判も出やすくなっています。仮に株が大暴落し、深刻な運用損が発生しても、その責任の所在もはっきりしません。この点は今後、ホットな議論が展開される可能性もあるでしょう。

原油価格の急低下!その背景に何があるのか

ガソリン価格がどんどん下がっています。その大もとは原油価格の急落!2014年夏頃から原油相場は急低下し、4分の1といった状況です。

この急落は、経済にプラスとなる国やマイナスとなる国がありますが、世界経済にとっては波乱要因。国際的な取引市場で売買される原油の価格がなぜ急落したのか?その背景を見ていきましょう。

本題に入る前に、プラスとなる国とマイナスとなる国を整理しておきます。
プラスとなるのは原油から生まれるガソリン、灯油、電気、化学製品などを大量に消費する国々です。日本はまさにそのタイプ。一方、マイナスとなるのは原油を生産し、輸出している国々。典型的なのはサウジアラビア、イラクなどの中東産油国です。米国のように原油生産国であり、かつ大量の原油消費国である国は、その中間に位置し、プラス面とマイナス面を抱えています。

原油急落の背景ですが、世界的な原油の「需要減少」と「供給過剰」が影響しています。
まず「需要減少」から見ていきましょう。なんといっても大口の消費国“中国”の景気減速が、原油需要を大きく減らしています。2桁成長を続けてきた中国経済も8%台、7%台と低下し、直近7~9月の経済成長率は6.9%、景気減速が一段と鮮明となりました。これまで輸出主導で高度成長を果たしてきましたが、勢いもピークを過ぎたようです。

次に「供給過剰」ですが、近年の米国におけるシェールオイル、シェールガスの産出が大きく影響しています。世界のエネルギー供給は、これまで中東産油国などの原油に依存していましたが、シェールオイルなどの出現で米国がエネルギー供給大国として存在感を高めています。こうした事情から原油を巡る需給バランスが崩れ(原油がダブつき)、原油相場が急低下したのです。

原油価格の動向の見るポイントを2点指摘したいと思います。
1. まず、このところ景気減速が目立つ新興国経済の動向。とりわけ“ポスト中国”として注目されるインドが、世界のエネルギー消費をけん引する存在になるかどうか、注目していきましょう。
2. もう1つは「供給過剰」の解消です。中東産油国や米国などエネルギー供給国は、『自国は減らしたくない』『他国には減らしてほしい』といったところが本音。この点は、各国の利害が厳しく対立しますので、簡単には解決しそうにはありません。エネルギー生産を巡る各国の動きに注目していきましょう。

2016年の世界経済はどうなるの?その注目点は!

今年の世界経済をアメリカと日本を中心に見ていきましょう。

経済大国・アメリカの景気動向は、世界経済に大きな影響を及ぼします。特に金融政策。異例なペースで金融緩和(マーケットにジャブジャブにお金を供給)を続けてきましたが、これはリーマン・ショックといった非常事態における緊急対策です。その効果があり、アメリカ経済も順調に回復してきましたので元に戻す段階に入ります。具体的にはゼロ金利からの金利引き上げです。

2016年はアメリカの利上げ(いったん始まると、年に数回の段階的な利上げが一般的)により景気は減速し、世界経済も成長が鈍るものと考えられます。特にアメリカの利上げは中国や新興国経済に悪影響が及ぶでしょう。
ここで気をつけたいのは、米国利上げで新興国通貨が減価(通貨安)しやすいこと。ブラジルなどを投資対象とする投資信託が人気でしたが、状況はまったく変わろうとしています。米国利上げで投資マネーが先進国に戻ると、ブラジルレアルなどは売られ(通貨安に傾き)、投資信託の基準価額は下がります。自分のポートフォリオに新興国の投資信託を入れ過ぎている方は、保有を減らすなどの検討が必要でしょう。
次に日本経済ですが、異次元金融緩和が続くなかでも少し停滞感が現われています。頼みの新興国向け輸出は、新興国景気の減速からスローダウン。日本製品を海外で売る環境は厳しくなっています。
そこで期待されるのが“国内消費”。私たちがモノやサービスを積極的に買うかどうかにかかっています。そんなこと言われても、給料が上がらないことには財布の紐は緩みませんよね。賃上げがとても注目される一年になりそうです。

最後に円安ドル高のゆくえです。ここ3年あまり為替の動きによりドル預金など外貨投資が好調でした。でも今年はちょっと様子が変わりそう。これ以上円安が進むと小麦やバターなど輸入品価格が上昇して家計費を圧迫する心配が広がっています。今年は参議院選挙もありますので、政治などの事情から円安警戒の動きが出てくるかも知れません。また、米国は大統領選挙の年。行き過ぎたドル高は、米国の輸出企業にはマイナスですので、こちらはドル高警戒が出てきそう。
両国の為替を巡る環境は、3年続いた円安ドル高にブレーキがかかりそうです。こうした事情から、今年の為替は円安にも円高にも進む可能性があり、見通しはかなり難しくなりそうです。

マイナス金利って・・・!?私たちの預貯金、どうなるの?

2月16日、ついにマイナス金利政策がスタートしました。1月29日の日銀の決定以来、マイナス金利の影響などについては毎日のようにニュースでも取り上げられていますが、よくわからないため不安に感じているという人も多いのではないでしょうか。

ではこのマイナス金利とはいったいどんなものなのでしょう?普段みなさんが銀行にお金を預けると、預金額に応じた利息を受け取ることができますよね。ところが、マイナス金利の場合は、お金を預けた時にもらえる金利がゼロ%を下回るということ、つまりお金を預ける方が利息を払わなければならなくなるということなのです。「銀行にお金を預けると減ってしまうの・・・?」と心配そうな声が聞こえてきそうですが、今のところは銀行が日銀に預けるお金の一部の金利だけが対象になっているため、当面は私たちが預けている預貯金の金利がマイナスになることはなさそうです。

とはいえ、高い金利で人気のネット銀行でも金利を引き下げた銀行が出ていますし、三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行など大手都市銀行なども相次いで長期間の定期預金の金利の引き下げを行っています。

ただでさえ低い金利がさらに下がるのか・・・とがっかりしている人もいるかもしれませんね。そんな中でも「プロスポーツチーム応援」や「ふるさとの応援」などで金利を上乗せしたり優遇金利を適用する金融機関もありますので、いくつかご紹介しましょう。

千葉興業銀行「千葉ロッテマリーンズ応援定期2016」では、預入金額10万円以上(1年もの限定)で年0.1%の金利が適用されます。山形銀行の「モンテディオ山形サポーターズ定期預金2016」の場合、チームが勝つたびに金利が上乗せされます。どちらの定期預金も、抽選でオリジナルグッズが当たることも。好きなチームを応援しながら、高い金利が受け取れるのは魅力的ですね。

またふるさと納税をすることで特産品やキャッシュバックだけでなく、高い金利がもらえる定期預金もあります。鳥取銀行とっとり砂丘大山支店の「故郷とっとり応援定期」は、鳥取県外に住む人が対象で、500万円を預け入れると年0.4%の高い金利がつくだけでなく、利息1万円が鳥取県にふるさと納税され、地域の特産品なども受け取ることができます。伊予銀行のインターネット支店でも地元愛知県内に5,000円以上ふるさと納税をすれば、9月末残高に応じてキャッシュバックされる上、年0.225%の金利が受け取れます。

超低金利の時代、こうした銀行のサービス、うまく利用したいですね。

マイナス金利、私たちの保険はどうなる?

史上初の”マイナス金利”が2月16日に導入開始。

預金の金利が下がったり、住宅ローンの金利が下がったりと、私たちにもマイナス効果とプラス効果が出始めました。では、保険にはどのような影響があるのでしょう。
そもそも私たちが支払う保険料は、将来の保険金の支払いに充てる「純保険料」と、保険会社の経費などに使われる「付加保険料」に分かれています。純保険料の金額は、将来の保険金の支払い額に対して、運用で見込める利益分を割り引いて決まります。保険会社は主に長期の国債などで運用するため、金利との関係性が深く、金利が高い時は保険料が安く、反対に金利が低い時は保険料が高くなるしくみです(図参照)。

終身保険(死亡保障)や学資保険、年金保険など「貯蓄タイプ」の保険は、長期で運用する割合が高いため(見込んでいる運用益が大きいため)、金利の影響を受けやすい保険と言えるでしょう。但し、既に加入している人は、契約時の利率が約束されていますから、途中で保険料が上がったり、受け取る保険金が少なくなったりはしません。また、利率変動タイプの終身保険に加入している人も、最低保証がありますので約束された保険金額を下回ることはありませんので安心してください。今後も低金利が続いて、保険料の値上が決定した時に影響するのは、新たに加入する人だけ。特に、保険料を最初にまとめて払ってしまう「一時払い終身保険」は特に金利の影響が大きく、数社の保険会社が販売停止や保険料の値上げを決定しました。

一定期間だけ死亡を保障する定期保険の場合は、保険期間が30年など長期のタイプはやや金利の影響が大きく、10年など比較的短めのタイプは金利の影響を受けにくいでしょう。その他、一般的な医療保険やがん保険など「掛け捨てタイプ」の保険も、元々見込んでいる運用益が少ないため、金利の影響は受けにくい保険と言えるでしょう。

では、保険料が上がる可能性の高い貯蓄タイプの保険に、急いで加入すべきでしょうか?
終身保険や年金保険などは、若い人ですぐに加入する理由がなければその必要はありません。将来景気が良くなって金利が上がれば、その高い金利が加入中ずっと保証されるため、それから加入するのでもいいでしょう。ただし、子どもが生まれて間もない人や、もうすぐ生まれるなどで学資保険に入ろうと思っている人は、早めに手続きした方がいいかもしれません。出産予定の140日前から加入できますので、妊娠中に手続きをしておけば安心できるでしょう。

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