登山を始めてみよう – テント泊編

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夏真っ盛り!今年も登山のベストシーズンがやってきました!

でもハイシーズンの山小屋泊には厳しい一面もあります。
他の登山客と相部屋になるのはもちろんのこと、男女入り混じって雑魚寝をし、場合によっては見知らぬ他人と背中合わせで一枚の毛布を分け合う、なんてことも。

さらに誰かのイビキや歯ぎしりが気になって、結局一睡もできなかった…そんな状況も珍しくありません。

「だったらテントを背負ってテント泊すればいいじゃない!」そう考える人も多いことでしょう。

今回はそんなプライベート空間を重視する登山愛好家のため、テント泊用のギアをざーっとご紹介していきたいと思います。

●日本の気候には「ダブルウォールテント」が最適
登山用テントは主に「シングルウォールテント」と「ダブルウォールテント」の二種類があります。

シングルウォールテントは、その名の通りシート一枚のみで構成される軽量なテントです。

防水透湿性があり、初心者も比較的簡単に設営しやすいのがポイントです。
一方のダブルウォールテントは、外側のフライシートには防水性が、内側のインナーシートには通気性があり、シングルウォールよりも通気性に富むため、室内が高温になりにくく結露しにくい、という特徴があります。

また雨が降っているときの出入りは、雨が室内に入りにくいダブルウォールの方が便利です。

高温多湿で雨が多い日本の山岳地では、より利便性の高いダブルウォールの方に軍配が上がります。

最近ではダブルウォールテントも軽量化が進んでおり、二人用1.5キロというものもあるので、ぜひ導入を検討してみてください。

またテント場の石や砂利などから底面を保護してくれる「グラウンドシート(フットプリントとも)」の使用も一緒におすすめします。

お気に入りのテントと末永くお付き合いするためにも、グラウンドシートは必須です!

●寝袋・マットもいろいろ
寝袋(シュラフ、スリーピングバッグとも)の形も主に二種類あります。
人の形に沿った丸っこい「マミー型」と、四角い「封筒型」の二つ。
登山用には、軽量化され、かつクールスポットができにくい「マミー型」の方をおすすめします。

中綿は化繊とダウンのうち、圧縮性が高く保温性に優れたダウンの方が好まれる傾向にありますが、濡れに弱いという側面も。

結露が気になる場合はシュラフカバーを併用したり、撥水加工が施されたダウン製品などを利用するのも手です。

ただし撥水加工ダウンはかなりお値段がするので、気軽に導入できないのが悩ましいところです…

テント内で快適にすごすには、マット(シュラフ・マット)の存在も欠かせません。

キャンプ用テントマットのような大きなものではなく、自分の身長ぐらいの長さと幅50センチぐらいのもので十分です。

私自身は130センチの折りたたみ式合成樹脂フォームマットを使用し、ザックを枕がわりにして荷物の軽量圧縮化をはかっています。

以前はエアマットを使用していましたが、空気の出し入れが意外に面倒だったのと、万が一のパンクが怖かったので、カサはあっても軽量な合成樹脂フォームに切り替えました。

安価に済ませたい場合は「銀マット」などが最適ですが、厚みがないので快適性という点ではかなり劣ります。

エアマット、折りたたみ式合成樹脂フォーム、銀マット、どれを選ぶかは個人の判断にお任せします。

●ストーブとクッカー・カトラリー
自炊がメインとなるテント泊には調理用の「ストーブ」と「クッカー」が欠かせません。

私はバーナーとガスカートリッジが専用クッカーの中にすっぽり収まる「ジェットボイル」を愛用しています。

収納が簡単な点と、あっという間にお湯が湧く沸騰スピードの早さが気に入っています。

焼いたり煮込んだり凝った調理をしたい人は、ジェットボイルのような一体型やバーナー直結型よりも、重心が低くなる分離型のストーブをおすすめします。

クッカーの素材は、熱伝導率が高く焦げ付きにくく安価、しかし少々重たい「アルミ製」と、熱伝導率が低く焦げ付きやすく高価、でもとにかく軽量な「チタン製」の二種類がメインとなっています。

最近では底面がアルミで側面がチタン、という両方の素材の特性を活かした素晴らしいクッカーも開発されているとか。

クッカーは調理するものによっていろいろ使い分けるのがベターです。
私はアルミ製のジェットボイルを使い、カトラリーだけ軽量なチタン製にして、なるべく出費を少額におさえています。

●テント泊には60リットル以上のザック

以上のことから、テント泊は山小屋泊よりも荷物が相当増えるということはおわかりいただけたかと思います。
これらの荷物をパッキングするのに、日帰り用、山小屋泊用の30~40リットルザックではおそらく事足りませんので、テント泊用に新調しないといけません。
だいたい60リットル程度を目安にしておくと無難です。
それ以上の重量になると山行にも影響が出ますので、パッキング時に荷物の断捨離をおこないましょう。

こちらで掲載している写真は40リットルのザックにマットを取り付けたテント泊用の装備です。

登山ではなくフジロック・フェスへの参加だったので、マットレスがあればシュラフシーツだけで十分では?と判断し、寝袋を持たずにフェスにのぞみました。
結果、夜は少し寒かったので防寒用に持参したダウンジャケットを足に巻いて寒さをしのぎました。

荷物の見極めにはそれなりの経験値が重要だということを痛感しました(笑)。
山岳テントでの寒さは命にかかわりますので、断捨離しすぎは要注意です!!
まずはどれぐらいの着替えが必要かを見極め、テント泊でも小屋の食事が取れる山荘ならばストーブ類を省くなどして軽量化をはかりましょう。

●初心者向けのテント場
大きな荷物を背負っての山行になりますので、アプローチが短いテント場がおすすめです。

尾瀬の「山の鼻テント場」ならば、登山口の鳩待峠からはゆるい下りで、一時間程度で到着します。

美しく広大な尾瀬ヶ原まですぐの距離なので、初心者も大満足のテント場といえるでしょう。

また高尾山の「日影沢キャンプ場」は完全予約制ではありますが、なんと利用料無料!

電話やFAXでの申し込みは受け付けておらず、往復はがきでの申し込みが必須となるそうです。

首都圏からもアクセスしやすい高尾山なら、初めてのテント泊にもうってつけですね。

●山小屋泊登山に必要な初期費用
・テント+α…2,000〜70,000円
・寝袋・マット…2,000〜70,000円
・ストーブ・燃料、コッヘル・カトラリー…5,000〜20,000円
・60リットル以上のザック、ザックカバー…10,000〜60,000円
・テント場使用料…0〜1,000円

合計19,000〜221,000円(交通費、ガソリン燃料費等をのぞく)

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執筆者

立見 香

出身地・群馬と居住地・埼玉の粉食文化をこよなく愛するライター。 水沢うどんと舞茸天ぷらの組み合わせを最強と信じて疑わないが、最近は武蔵野名物の肉汁うどんにハマり中。 休日は上信越の山域にいることが多い登山・温泉愛好家ゆえ、少々電波が届きにくくなっております。最近「温泉ソムリエ」になりました。

立見 香

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日常の肌着にも登山用アンダーウェアのメリノウールが使える理由

今はもう秋。少し肌寒さを感じて防寒用のアンダーウェアに手が伸びる、そんな季節がやって来ました。

いつもの保温・発熱機能つきインナーも良いのですが、登山用ベースレイヤーの定番である“メリノウール製”のウェアが実はかなり有能で、日常使いにも適しているのはご存じでしょうか。(登山を始めてみよう-山小屋泊編)

保温発熱系のインナーを着ていると、暖房で汗をかいて臭いが気になったり、乾燥肌がひどくなってかゆみが止まらない…。
そんなインナーでお悩みの方は、メリノウール製アンダーウェアを活用してみてはいかがでしょう?

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汗冷えしにくく汗抜けしやすい
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冬場でも暖房がきいた場所で思わぬ汗をかいて不快感をおぼえる人も多いと思います。
そんなときは汗抜けしやすいメリノウール製のアンダーウェアがおすすめです。
メリノウールは保温効果が非常に高いため、汗で濡れても冷たくなりにくく、また乾きやすいので汗抜けしやすいという特徴があります。
「速乾性」や「吸汗性」などをうたっている化繊製の登山ウェアの場合、濡れると固くなって着脱がしづらくなるというデメリットがありますが、メリノウールは濡れても柔軟性が保たれたままなので着脱も簡単ですし、激しい運動で皮膚が擦れたりすることもありません。

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湿度の調整効果もあり
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メリノウールは通気性に富み、湿度の調整効果にも優れています。
私自身も重度の乾燥肌で、化繊製の肌着を着ているとかゆみで寝付きが悪くなったり、ひどい時は血がにじむほどかきむしってしまうので、毎朝晩ボディバターなどのクリームを全身に塗りこまないといけないほどでした。
化繊製の肌着が乾燥肌に良くないと知ってから、肌着を綿製品やメリノウールなどに切り替えると、不思議なことにかゆみは軽減され、クリームを塗らなくてもカサカサせずに過ごせるように!
クリーム代(ひと冬4,000円ぐらい)や、クリームで汚れた衣類を洗濯するのにかかる水道・電気代、皮膚科にかかる費用等、出費はばかになりませんでした。
綿の肌着は汗が乾きにくいので、順次メリノウールに切り替えていきたいと思っています(笑)。

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防臭効果バツグンで使い勝手がいい!
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登山中は足の汗も気になるポイントの一つで、透湿性の高いゴアテックス登山靴などを履いていても、汗をいっぱいかいて蒸れるので、登山靴を脱ぐ瞬間はいつも怯えてしまうものです(笑)。
しかし靴下をメリノウール製のものに変えてからは、恐怖の瞬間が訪れることもなく、足のにおいが全く気にならなくなったのには驚きました。

ウールをはじめとした天然の繊維には菌に対する免疫力があり、ニオイのもととなる雑菌の繁殖を防ぐので、臭いづらいという特徴があります。
ただし天然繊維の中でも綿は乾きにくいため、他の繊維より若干繁殖しやすい傾向があります。
また絹の場合は摩擦に弱いデリケートな点と、綿・ウールと比べると高価なので普段づかいしづらい、という点があります。
以上のような理由から、防臭性の高い天然繊維の中でも、肌着としてもっとも使い勝手がよいのはウールだ、ということがいえます。

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肌触りがなめらかでチクチクしない
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ウールのタートルネックを着たら首元がチクチクしてかゆくなってしまった。そんな方も多いと思います。
でもメリノ種の羊毛はほかの羊毛に比べて繊維が細いので、チクチクしづらく肌触りもとってもなめらか。
湿度を調整する効果もあり、乾燥肌でかゆくなることも防いでくれます。

また生地には独特の美しさがあるのも特徴です。
ナチュラルな光沢としなやかな質感からは高級感も漂ってくるほど。
一旦その着心地のよさと機能性の高さを知ってしまうと、元の肌着には戻れないかもしれません。

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“いかにも肌着”な感じがしないのが登山用アンダーウェアの特徴
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登山用アンダーウェアはベースレイヤーとして一枚で行動することが多いので、肌の色に近い、いわゆるラクダ色などはあまり採用されていません。
黒やグレー、細いボーダー柄などの地味めのものや、山の背景になじまないように配慮されたビビッドなカラーが多いのも特徴です。
普段使いのアンダーウェアならば、シャツの下に着てもあまり目立たない黒やグレーなどの地味めのカラーを選択することをおすすめします。

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お洗濯には中性洗剤を!
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ウール製品を洗うときに注意したいのはアルカリ性洗剤を使わない、ということ。
長持ちさせる秘訣は、ウール用の中性洗剤と保護用のネットを使用し、洗濯機のウール・おしゃれ洗いなどのモードで洗うことです。
ちなみに私は少々ズボラなのでウール用洗剤ではなく、普通の洗濯用洗剤の中から中性のものを選択して普段着と一緒に洗っています。
消耗してしまうので、あまりオススメはいたしません(笑)!

記事の写真はつい先日、30%セールで手に入れた7,000円のメリノウール製ベースレイヤー。
撮影用にハンガーにかけていますが、伸びやすい素材なので普段はたたんでしまっています。
ウェイトが少しヘビーなので、これからの季節、大活躍してくれそうです。

登山を始めてみよう 雪山編

早いもので各地の山々から初冠雪の知らせが届く季節になりました。
雪が降ったら登山シーズンはおしまい? いえいえ、雪山にだって登山はできます。

普段の登山コースの所要時間より少し時間はかかりますが、ちょっとした技術とコツを習得すればスイスイっと登れるようになります。
人が少なくなった雪山を歩くのはとても気分がいいものです。
そんなわけでちょっと気が早いけれど、今回は「雪山登山」の装備のお話しをしたいと思います。

●アイゼン・クランポン
登山靴にバンドなどで装着する鉄の爪がついた雪山登山必須アイテムで、「クランポン」などとも呼ばれています。
雪面に尖った爪をひっかけて滑りにくくなる反面、使い慣れていないとズボンの裾に爪をひっかけやすいので注意が必要です。フカフカの雪の上を歩くときもワカン(かんじき)のような役割を果たし、格段に歩きやすくなるので、雪が降ったら必ず持参しましょう。
一般的に8~12本の爪のものをアイゼン、4~6本のものを軽アイゼンと呼びます。
また短時間で簡単に装着できる短い爪が連なった「チェーンスパイク」などがあります。
雪道の長さや雪の深さ、ほかのギアの有無、雪山登山経験の度合いなどで、チェーンスパイクか軽アイゼンかアイゼンかを使い分けます。
各地の登山情報ニュース等で「軽アイゼン程度でOK」「アイゼン必須」などというアナウンスをよく耳にしますので、荷造りの参考にしましょう。
私自身は10本爪のアイゼン一足と、凍った木道用に「リバーシブルグリッパー」というギアを持っていますが、リバーシブルグリッパーの方はまだ使うチャンスに恵まれていません。
早く使いたいなあ…

●ピッケル


小さなツルハシのような形をした雪山用のギアで、滑りやすい雪面をホールドして滑落を防ぐ用途があり、杖としての役割も果たします。
ただしガチガチのアイスバーンでなければある程度はストックで代用可能です。

●ストック
ピッケルが無い場合はストックで代用します。夏秋登山で使用するときはゴムの石づきカバーをつけますが、雪上では外しましょう。
雪面に深く刺さって抜き取りにくくなるのを防ぐため、先端近くにスノーバスケットを装着します。
このスノーバスケット、通常登山では使わないので、私はけっこう忘れてしまいがちです…
出発前には必ず持ち物チェックをして、なるべく忘れ物を未然に防ぎましょう(涙)!

●ゲイター
靴の上からゲイターを装着すれば、靴とズボンのあいだから雪が入って靴の中が濡れるのを防げます。
足首がキンキンに冷えて不快になることもありません。
雨の日の登山だけでなく雪山にもゲイターは忘れずに!

●サングラス
スキー・スノボなどでも裸眼で滑って翌日目に激痛が…なんて経験がある人も多いと思います。
雪焼け防止のためにも必ずサングラスはかけましょう。
と言いつつサングラスを持っていない私はいつもPCメガネで代用しています。かけないよりはマシ、ぐらいのレベルで正直目は痛いのですがご参考まで…

●防水手ぶくろ、ニット帽、バラクラバ
防水手ぶくろは防寒用としても使えるので、必ず持参しましょう。ニット帽は耳が隠れるものがよいでしょう。
バラクラバは薄手の目出し帽のような形状で、頭の部分をかぶらなければネックゲイターとしても併用できるので便利です。

●ビーコン・プローブ・ショベルのアバランチギア
正規のゲレンデ外を滑る、いわゆるバックカントリースキーなどをする人は持っていた方がいい3点セット「ビーコン」「プローブ」「ショベル」。これらは「アバランチ(雪崩の意味)ギア」と呼ばれています。

ビーコンは電波を発信したり受信したりできる機器で、雪崩に遭遇した際に使います。
非常に高価なものなのですが、命を守ってくれると思えば安いものです。
プローブはゾンデ棒ともいい、雪に埋没した遭難者の場所を特定するための軽量な長い棒です。
ショベルは言わずと知れた雪かきスコップのことで、雪山でテント設営する際やラッセル(雪かき)する際に使います。

私自身バックカントリースキーをやらなのでアバランチギアを持っていませんが、万が一のことを考えると持っていた方が安心ですね。
また雪山登山ではラッセルが必要な場面も多々あるので、軽量なショベルの購入を現在検討しています。

●最初の雪山登山におすすめの山

◇雲取山…山頂近くの雲取山荘は通年営業。距離は長いものの、鴨沢口からの緩やかな登山道は雪山初心者向き。
◇日光白根山…私のアイゼンデビューはこの山でした。2000m地点までロープウェイでアクセスできるのがポイント。
◇黒斑山…浅間山外輪山。浅間山自体は火山活動が活発化しているものの、黒斑山までなら規制外。

●雪山登山に必要な初期費用
・アイゼン・クランポン10本爪…10,000~30,000円
・ピッケル…8,000~30,000円
・ゲイター…1,500~10,000円
・サングラス…3,000〜20,000円
・防水手ぶくろ…3,000~10,000円
・ニット帽…1,000~5,000円
・バラクラバ…1,000~5,000円

合計27,500~110,000円(交通費、燃料費等をのぞく)

登山を始めてみよう-山小屋泊編

日帰り登山で体力に自信がついたら、次なるステップは「山小屋泊登山」。
小屋泊を視野に入れれば行ける山域もぐんと増え、登山愛好家たちが憧れるあんな山やこんな山にも登れるようになります。

それでは山小屋泊登山を想定した基本装備を見ていきましょう。

●一泊するなら30〜40リットルザック
日帰り登山の荷物に加え、洗面用具や着替え、レインウェア、中間着などが増えるので、入れ物となるザックもそれなりの大きさが必要になってきます。
山小屋泊の場合だと容量は30〜40リットルぐらいが目安です。
10〜20リットルぐらいのデイパックならバッグ売り場にも陳列されていますが、大きな容量のものだとアウトドア用品が売っている店舗でないと手に入りにくいでしょう。

また二日間背負うことになるので、肩当てや背当てにしっかりとしたパッドが入っているものをおすすめします。
肩にかかる重量の軽減のため、ウエストベルト(ウエストハーネス、ヒップベルト、ヒップハーネスとも)がついているものがよいでしょう。
ウエストベルトのほかにチェストベルト(チェストハーネスとも)もしっかり締めれば、肩や腰への負担を軽減させることができます。

●とっても便利なサブバッグ
デイパックと違ってすぐに下ろせないのが登山用ザックの悩ましいところです。
そんなときに活用したいのがサブバッグです。
サブバッグには財布や携帯・スマホ、メガネ、行動食のお菓子、飴、薬、ハンドタオルなど、すぐに使うものを入れておくと便利です。
サブバッグには、ヒップバッグやウエストバッグ、ポシェット、袋状のサコッシュ、ザックに付けて使うフロントアクセサリーなど、さまざまなタイプのものがあります。
最初はウエストバッグなど普段使いのものを併用し、山行に慣れて軽量化の欲が出てきたら、ほかのタイプのものに変えてみるのもいいでしょう。

●二日目の着替え、全とっかえ?一部とっかえ?
二日目用のウェアのコーディネートを考えるのも、連泊ならではの楽しみの一つです。
でも少ない荷物でやりくりしたいなら、多少汗をかいても一日目のアンダーウェアとベースレイヤーだけを変えればなんとかなってしまうものです。
ベースレイヤーを防臭効果のあるメリノウール製にすれば汗臭さも軽減できるので、そのままパジャマがわりにしてもOK!
荷物の軽量化をとるか、オシャレをとるか、それはあなた次第です。

●洗面用具は最低限
山小屋でのシャンプー、せっけん、歯磨き粉などの使用は周辺環境の保全のため禁止されています。
お風呂つきの山小屋では、入浴前にメイク落としシートや洗顔シートなどで余計な汚れをとっておきましょう。
歯磨きは歯ブラシのみですませるのが鉄則です。
気になる人は歯みがきシートを持参するといいかも。
私が知っているツワモノには、歯磨き粉を飲んでしまった人も…絶対に真似したくないですね(笑)

速乾性の高い登山用のハンドタオルは登山中の汗ふき用やお風呂用として併用可能です。
また山小屋オリジナルの手ぬぐいも登山者には人気があります。
私も荷物が増えてしまうのに、ついつい山小屋につくと手ぬぐいを買ってしまいます。
素敵なデザインのオリジナル手ぬぐいが多いんですよね…

●防水対策にレインウエア・ザックカバー・スタッフバッグ
一泊の山行になると全日晴天の確率は低くなります。
ずっと晴れの天気予報が出ていても、風よけや防寒着にもなるレインウェアは必ず準備しましょう。
防水透湿性にすぐれたゴアテックス製などで、かつ着心地、防水性、透湿性の高いものとなるとお値段は天井知らずです…
お財布との相談になりますが、上下セット10,000円ぐらいからのものが無難だと思います。
とはいえ土砂降りの雨の中を一日中歩いていると、汗が透過されずにかなり湿った山行になるので、安価なものを使用する場合は覚悟が必要です。
私もゴアテックスの3レイヤーのものがそろそろ欲しいなあ…なんて考えてしまいますが、いまのところ上下30,000円の製品でなんとか堪えています。

また雨対策としてザックカバーや防水透湿性のある帽子もあると、さらに快適な山行になります。
スマホ関係のアクセサリーなど絶対に濡らしたくないものは、防水スタッフバッグなどに入れておくと確実に濡れを防ぐことができます。

●フリース、ダウンなどの防寒着
真夏の山行でも、山小屋の夜は気温がかなり低くなります。
中間着としてフリースや薄手のダウンなどを準備しておくとよいでしょう。
フリースは濡れに強く、ダウンは圧縮できるので携帯性が高い、という特徴があります。
取捨選択が難しいので、私はどちらも一応持って行くことにしています。

●水筒・ハイドレーション
日帰りの山行にはペットボトルだけでもよいのですが、大きめの水筒があると便利です。
コンパクトに折りたためるプラスティック製のボトルや、口が広いので湧き水なども入れられるナルゲンボトルなど、軽量化もできておすすめです。
長い山行には、背負った状態のままチューブで吸って水が飲めるハイドレーションシステム(リザーバー)なんかもあると給水がはかどります。

●小屋でも使うヘッドランプ
山小屋の消灯時間は夜の8時、9時ぐらいが通常です。
みんなが寝静まったころ、「どうしてもトイレに行きたい、でも部屋が暗くて荷物が取り出せない…」そんなときに役に立つのが懐中電灯です。
小型のランタンよりもヘッドランプを併用すると荷物が少なくて済みます。
ヘッドラップは早朝に山小屋を発つときにも必要なので、準備しておいた方がよいでしょう。

●山小屋泊初心者におすすめの山小屋
雲取山荘(通年営業。お風呂はありませんが、冬の宿泊も「炭こたつ」のおかげで快適でした)
尾瀬の山小屋(水が豊富な尾瀬では全ての小屋でお風呂に入れるのが特徴。山の奥地で汗を流せるのは有難い!)

●山小屋泊登山に必要な初期費用
・40リットルのザック…8,000〜24,000円
・サブバッグ…1,000〜10,000円
・メリノウール製のベースレイヤー…10,000円
・手ぬぐい or パックタオル…100〜1,500円
・レインウェア上下…10,000〜100,000円
・ザックカバー・スタッフバッグ…4,000円
・フリース or ダウン…1,000〜30,000円
・ハイドレーション…1,500〜5,000円
・ヘッドラップ…1,000〜5,000円
・山小屋宿泊代…9,000円(尾瀬沼ヒュッテ二食付きの場合)

合計45,600〜198,500円(交通費、燃料費等をのぞく)

登山を始めてみよう – 日帰り登山編

短時間の登山に慣れてくると、次はもっと時間をかけて、もっと景色のいい山に行ってみたい!と欲が出てくるものです。

登山口から山頂を経て下山するまでの時間が3〜4時間程度に収まる登山を「低山・里山登山」としましたが、さらに6〜7時間かけて登る登山を「日帰り登山」と分類します。

さらなる美しい景色を求めて、日帰り登山へ行く場合に必要なギアを紹介していきます。

●足の負担が軽くなる「ストック」
長丁場の登山には「ストック(トレッキングポール)」があると安心です。
足の疲れや膝への負担を軽減し、疲労からおこりやすくなる転倒を防ぐこともできるからです。
登山後の疲労度も、ストックがあるのと無いのとでは相当違います。

ストックには持ち手がT字のものとI字のものがあります。
T字ストックはシングル(一本)で使用することが多く、腰より低い位置で持つので、平坦な地形のハイキングなどに向いています。
I字ストックは腕の位置が自由になるので、起伏に富んだ地形でも応用が利きやすく、一般的な登山の使用に向いています。
これから高い山に挑戦していきたい人には、I字のストックをダブル(二本)で持つことをおすすめします。

登りは短めに、下りは長めに、長さの調節ができるものを用意しましょう。
フリックロックタイプのものならば、ワンタッチで素早く簡単に長さ調節ができるので、力が弱い女性にもおすすめです。

また里山登山編でもちょこっと紹介しましたが、手ぶくろは必ず用意しましょう。
ストックを掴む時に手が擦れたり、豆ができたりするのも防げます。

●厚手の登山用靴下
長丁場の登山には、大量の汗を吸い上げる吸水性と速乾性、フィット感、緩衝性などを考慮した、厚手の登山用靴下を履きましょう。
ちょっとお高いですが、土踏まずを持ち上げて足の裏の負担を和らげる高機能な登山用靴下もあります。
メリノウールを使用した防臭性のある素材なら、さらに快適に過ごせるでしょう。

●日帰り登山におすすめの山域

・日光白根山
(ロープウェイで2000m地点まで一気にショートカット。登山口には足湯も!山頂からの中禅寺湖、男体山などの景色も素晴らしい)
・谷川岳
(初心者にはロープウェイ天神平口からの登山がおすすめ。下山後は水上温泉、宝川温泉などの名湯が待っている!)
・霧藻ヶ峰・妙法ヶ岳
(霊験あらたかな三峯神社から秩父宮ゆかりの霧藻ヶ峰へは、途中妙法ヶ岳を経由しても往復4、5時間程度。もっと体力があれば雲取山日帰りも夢じゃない?)

●日帰り登山に必要な初期費用
・I字ストック2本…3,000〜12,000円
・登山用靴下…1,000〜2,000円

合計4,000〜14,000円(交通費、燃料費等をのぞく)

新しいこと、はじめる。登山編 vol.1

●登山を始めてみよう-里山編

普段から周りにしつこく「山はいいよ〜♪」と吹聴していたおかげで、最近やっと友人たちから
「登山に興味が出てきたんだけど、何を揃えればいいの?」とうれしい問い合わせがくるようになりました。

まずは入門編として近場の低山・里山に登るために最低限必要な持ち物と、心構えなどを紹介していきたいと思います。

●おしゃれは足元から、登山も足元から

とにもかくにも、最初は登山用の靴を買いましょう。
トレッキングシューズなどとも呼ばれる、ごついスニーカーのような見た目をしたもので、シューズのどこかに「GORE-TEX(ゴアテックス)」とか「OMNI-TECH(オムニテック)」とか「Waterproof(ウォータープルーフ)」などといった防水透湿性能をあらわす表記がされています。
登山靴があれば、ぬかるんだ道や雨の中でも足元が濡れず、快適に過ごすことができます。

防水機能だけであれば長靴で十分ですが、かいた汗を外に逃す「透湿性」も兼ね備えた靴でないと、発汗量が多い登山では蒸れて大変な目に遭います。
またスニーカーだと濡れた岩の上や木道を滑らずに歩くのに大変苦労しますが、グリップが効くトレッキングシューズがあれば安心して登山道を歩くことができます。

足首を覆う部分が短いローカットタイプのものよりも、ミドルやハイカットタイプの方が登山には適しています。
不安定な足場が多い山では、捻挫防止のためにも足首を固定するハイカットシューズがおすすめです。
しかしハイカットの靴は紐をきっちりと結び上げなければいけないので、着脱に時間がかかるという難点があります。
また足首の自由度が低いため、慣れない内は歩きにくいかもしれません。
当分のあいだ低山ハイキングしかしないのであれば、ローカットのトレッキングシューズでもOKです。
欲が出てきたらその都度適切なシューズに買い替えていけばよいのです。

靴選びに失敗したくない用心深い人は、靴屋さんではなくアウトドアグッズ店の店員さんに相談しましょう。
アウトドアの専門知識が豊富な登山用品店の店員さんに指導してもらえば間違いありません。

●天気が崩れそうな日は登らない

平地と違って山の天気はとても変わりやすいので、登山にはレインウェアが欠かせません。
ちょっと曇っているけど午後には晴れる、今は晴れているけど曇りの予報、そういう場合はレインウェアがあった方がより安全です。
レインウェアは雨だけでなく風よけのウィンドブレーカーとして、またちょっとした防寒着にもなります。

しかしレインウェアは上下一式揃えようとすると結構な出費になります。
登山靴同様に防水性だけでなく透湿性も兼ね備えたものがよいのですが、最安値でも1万円ちょっとします。
さらに耐久性、伸縮性、発色やシルエットが美しいオシャレなもの…
などと追い求めていくと4万、5万、6万…と天井知らずに値段は跳ね上がっていきます(涙)。

初期費用をそんなにかけたくなければ「天気が崩れそうな日は山へ行かなければいい」のです。
2〜3時間しか時間を要さない低山のハイキングで、一日晴天の予報が出ていれば、レインウェアがなくても問題ありません。
「簡易的な雨合羽をお守り代わりに持参する」。それで十分です。
万が一のことを考えて、雨合羽と防寒用にフリースぐらいは持って行きましょう。

●綿製品はNG!という登山ウェアの常識

登山ウェアの常識の一つに「綿製品NG」というものがあります。
発汗したり雨で濡れたときに綿素材だとなかなか乾きにくいからです。
ウェアがずっと濡れたままだと不快感が続くことももちろんですが、山の稜線上は想像以上に風が強いため、汗冷えしやすく、最悪の場合は低体温症になって死んでしまうこともあります。

山用のウェアには汗抜けしやすい素材や防臭効果のあるもの、速乾性の高いものなど、いろんな機能をもった素材が採用されています。
最近とくにネットショップなどでも猛プッシュされているのが「メリノウール100%」のウェアなのですが、お値段が少々張るので、初心者はまだ手を出さなくてもいい領域かと思います。

とにかく「綿ではなく、乾きの早い素材」とおぼえておけば大丈夫です。
上はスポーツ用のTシャツに防寒着用にフリースを一着、下は普通のタイツに綿素材以外のショートパンツ。
これぐらいを用意しておけば、低山ハイクなら事足ります。
また低体温症を防ぐためにも「濡れた衣類を着たまま山頂や稜線で長時間休憩を取らない」ことを心がけることも重要です。
低体温症が心配な人や汗臭いのが嫌な人は、着替えを持って行きましょう。

●飲み物、ハンカチ、帽子、地図、そしてザック

登山中は汗を大量にかいて喉が乾くので、飲み物の持参は必須です。
ジュースではなくお茶か水が最適でしょう。
また汗で失われた塩分補給のためスポーツドリンクでもいいのですが、水と塩飴などを組み合わせれば携帯性もバッチリです。

そのほかに汗をふくハンカチ、もしくはハンドタオルか手ぬぐい、日よけの帽子は日焼けのほかに熱中症、日射病対策にもなります。
日焼け止めクリーム、リップクリームがあれば下山後のヒリヒリも軽減されるでしょう。
さらに着替えを持参すれば、下山後には温泉に立ち寄ることができますし、スッキリとした気分で帰宅できます。

登山道では石や岩、木の枝などを掴んで登ることもあるので、手を保護する「手ぶくろ」があるとより登りやすくなります。
最初は軍手や100円くらいのノビノビ手ぶくろでも大丈夫です。
ストックやポールなどとも呼ばれる登山用ステッキがあると登り降りが大変楽になりますが、必須ではないので追々揃えていきましょう。

また熟練の登山者であっても道迷いする可能性はゼロではありません。登山用の地図は必携アイテムです。
「下山して家に帰るまでが登山」だということを忘れずに!

これらの荷物を詰めるザックがあれば、あとはもう山に登るだけです。

●超初心者におすすめの山域

私の地元・群馬県内であれば

・赤城山(神社めぐりや湖のボート遊びなどの周辺レジャーが豊富な百名山)
・水沢山(下山後のうどん屋めぐり、伊香保温泉の湯めぐりも楽しめる)
・妙義山(奇岩群などの絶景が楽しめるハイキングコース。岩稜地帯の縦走コースは最上級者向け)
・尾瀬トレッキング(鳩待峠〜尾瀬ヶ原コースか、大清水〜尾瀬沼、沼山峠〜尾瀬沼コース)

東京近郊なら高尾山、神奈川なら丹沢エリアの大山や、目の前に迫る富士山の眺望が美しい金時山、北関東では茨城県唯一の百名山・筑波山などがおすすめです。

●低山・里山登山に必要な初期投資費用

・トレッキングシューズ…6,000円(靴店のセールで購入)
・速乾性Tシャツ…1,200円(ファッションセンター○まむら等でも購入可)
・飲み物、お菓子、飴…500円
・コンビニ雨合羽…300円
・フリース、ウェア、ハンカチ、日よけ帽子、ザック、手ぶくろ…0円(もともと持っている物、もらった物など)
・地図…0円(観光案内所等で配布しているもの)

合計8,000円(交通費、燃料費等をのぞく)

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