新興国は戦々恐々!米国利上げで変わるマネーの潮流

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1かつて、米国の金融緩和により世界的な規模で“余剰マネー”が新興国へ向かった

2米国の利上げ転換で、マネーが逆流(新興国から米国などへ)する

3新興国では、株安、通貨安がさらに進む可能性。投資家は暫く慎重に構えるべき

世界中の投資家にとって、最大の関心事は“米国の利上げ”。米国は長く続いた金融緩和にピリオドを打とうとしていますが、これにより世界的な規模でマネーの流れが変わります(もうすでに、部分的な変化は出ています)。

特に影響を受けやすいのは、ブラジル、インド、インドネシアなどの新興国経済!大量のマネーが自国から流出するため、経済活動に悪影響が及ぶとして戦々恐々としています。今回は、こうした新興国の事情を解説しましょう。

まず、米国が超金融緩和状態にあった従来のマネーの流れを見ていきます。

2008年のリーマン・ショック後、米国の中央銀行であるFRBは、金融危機から脱出するためにかつてない規模の金融緩和を実施しました。これにより、世界的な規模で“余剰マネー”(「過剰流動性」とも呼ばれます)が生じ、このマネーが成長の期待される新興国に大量に流れ込みました。超低金利の米国や日本などから、高金利の新興国に向かって、投資マネーが向かうトレンドがはっきりしていました。

マネーの流入した新興国では、経済活動が活発となり、株価や地価が勢いよく上昇。通貨(ブラジルレアル、インドネシアルピア、トルコリラなど)も大量のマネー流入により通貨高となりました。日本の投資家にとっては、絶好の投資機会の到来です。新興国を投資対象とするファンド(投資信託)への関心が高まり、大量の投資マネーが新興国に向かいました。

ところが、今後実施される米国の利上げは、状況を一変させる可能性があります。米国の金利が高くなることで、新興国に投資をすることの意味(メリット)がどんどん薄れ、マネーの逆流(新興国から米国などへ)が本格化する可能性があります。

新興国経済や金融マーケットも大きな打撃を受けるでしょう。新興国の株式市場はもうすでに冷え込み、停滞感が漂っています。マネー流出もすでに進み、新興国通貨は軒並み通貨安の様相です。このように新興国の投資環境はすでに厳しい状況にあります。今後さらに株安、通貨安の進むことも予想され、景気の悪化も懸念されます。最悪の場合、金融危機に至る可能性も指摘されています。暫くの間、新興国投資は慎重に構えたほうがよさそうです。

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執筆者

小松英二 CFP®(ファイナンシャル・プランナー)/ 経済アナリスト

筑波大学卒業後、日本銀行入行。景気動向調査、対金融機関・対政府の金融取引などに携わる。 その後2007年4月にFP事務所を開業し、資産運用、相続対策を中心に相談業務、執筆活動を展開。 生活者向けセミナー、企業の社員研修、FP継続教育研修などの講師も務める。 帝京大学経済学部・湘北短期大学総合ビジネス学科 非常勤講師

小松英二

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インフレって遠い先?でも強い金融商品は知っておいて損はない!

日本経済は、長く続いたデフレーション(以下「デフレ」という)から脱却し、インフレーション(以下「インフレ」という)に向かおうとしています。

そもそもインフレとは、物価全般が持続的に上昇している状態を、デフレとは、逆に物価全般が持続的に低下している状態をいいます。今回は、日本が向かおうとしているインフレにおいて、金融商品の向き(強い)・不向き(弱い)を見ていきましょう。

まずインフレに弱い金融商品から。その筆頭は、現金や預金です。身近な存在である現金・預金が弱いというのはショックかも知れませんが、そのワケをお話しましょう。
現金、例えば1万円札は、持っていると表面に書かれている金額(1万円)の買い物ができます。そのとき、欲しかったポロシャツが9500円ですと、しっかり買えます(お釣りも500円受け取れます)。でも、同じポロシャツがインフレにより1万500円になったとすると買えるでしょうか?残念ながら買えません。インフレは値段が上がる状態ですが、お札側から見ると「お札のモノを買う力が弱くなること」に他なりません。

預金も同じです。インフレで多少金利が上がる可能性もありますが、基本的に低金利の可能性大。例えば100万円を3年定期預金(年利0.03%; 2015年7月末・某メガバンク)に預けると3年後には900円(税引き前)の利息が付き元利合計で100万900円の価値となります。でも、物価が年率2%で上昇すると、100万円で買えたモノが約106万円にまで値上がりしてしまいます。せっかく貯めたのに、買えなくなってしまいます。つまり、預金は目減りしてしまうのです。

一方インフレに強い金融商品は、株式、株式投資信託、商品(コモディティ)などが挙げられます。ポイントは、インフレをポジティブに捉えて、企業や家計の活動が活発化することです。企業活動が活発になると株価も上がりやすくなりますので、株を保有していれば、現金・預金のような目減りを防ぐことができます。ただ、実際にインフレに強い金融商品を選ぶことは簡単ではなく、プロでも時間をかけて判断します。ここでは「株式などはインフレに強い」といった一般的傾向として押さえておきましょう。

「インフレ」がキーワードの一つとしてクローズアップされる時代。それに伴ってインフレ対策に向いた金融商品も増えてくると思われます。しっかりとフォローしていきましょう。

日本の財政赤字って大丈夫なの?【日本の財政問題 第1回】

ギリシャは財政悪化の影響から、ユーロ離脱も取り沙汰される事態に至りましたが、ユーロ圏諸国などの金融支援により一先ず落ち着いています。そんな中で気になるのが日本の財政!同じく財政事情の悪化している日本は大丈夫でしょうか。

日本の財政を巡っては、楽観的な見方から悲観的な見方まで幅広い見方があります。それだけ難しい問題といえますが、急速な高齢化で年金、医療といった社会保障関係の支出が急増する一方、税金などの収入が支出の約6割にとどまり、不足額を毎年40兆円前後の国債発行で埋めています。この状態はとても健全とはいえないでしょう。

平成27年度の国の支出予算は96兆円。年金や介護、医療などの社会保障関係(国の負担分)が32兆円(全体に占める比率33%)、中央と地方の格差調整のために使っている資金(地方交付税など)が15兆円(同16%)、借金の利息や返済の費用である国債費が23兆円(同24%)と3項目で支出の7割以上を占めます。

一方収入は、税収が54兆円(全体に占める比率57%)、国債発行による収入が37兆円(同38%)です。財務省は、国の借金残高が2015年3月末で約1053兆円であることを発表しましたが、単純計算で国民1人当たり約830万円の借金となります。

このような財政事情でも、すぐにギリシャのように国民生活を脅かす事態には至らないと見られていますが、財政健全化に向けた取り組みは大事。ポイントは消費増税と支出削減です。前者は消費税の8%から10%への引き上げ時期を2015年10月から2017年4月に先送りしましたので、当面は支出削減への取り組みが注目されます。

支出削減で鍵を握るのは、毎年1兆円近く増え続ける社会保障関係の支出。高齢化で医療、介護でますますお金がかかりますので、低く抑えられている高齢者の自己負担を増額すべきか否かが今後の検討課題となるでしょう。

また厚生年金などの公的年金においても国の負担額が重荷となっており、現在65歳の支給開始年齢を引き上げる検討が進む可能性もあります。実は欧米先進国の支給開始年齢は、イタリアの69歳、英国の68歳、米国・ドイツの67歳など、引き上げを決めている国が少なくありません。

高齢化スピードが最速の日本!公的年金の支給開始年齢の引き上げ議論は避けて通れないと思われます。検討が遅れるほど、若い世代や将来世代の負担が増します。今後の動きに注目したいところです。

増やしたければ分配金は受け取るな!

投資信託には、定期的(毎月、隔月、年4回など)に分配金を出すタイプ(以下、「分配型投信」という)と、分配金を出さずに同じ投資信託に再投資するタイプ(以下、「再投資型投信」という)があります。

前者は、早めにキャッシュを受け取りたい人に向いている一方、後者は、運用して少しでも多くリターン(儲け)を受け取りたい人に向いています。今回は、2つのタイプの特性を紹介しましょう。

まず分配型投信ですが、典型的な投資信託として毎月分配型投信があります。シニア層を中心に人気のある金融商品。主に、外国の国債・政府機関債、外国企業の社債などに分散投資をして金利収入を得て、分配金として投資家に還元します。預貯金がゼロに近い低金利局面においても、高い分配金利回りがセールスポイントとなっています。

でも、高く見える分配金利回りは、運用成績ではありません。運用で得られたリターンを分配していると思っている人も少なくありませんが、実は違います。それでは、どうして高利回りが維持できるのでしょうか。その辺のカラクリを見ていきます。

まず、「実際のリターン>約束された高い分配金」のケースでは、リターンをしっかりと投資家に分けることになりますのでスッキリしますし、これが望ましいパターンです。でも「実際のリターン<約束された高い分配金」のケースではどうでしょうか。この場合、投資家に支払う分配金がリターンだけでは不足しますので、投資家の投資資金(「元本」という)を取り崩して不足額に充てます。投資家から見ますと、自分の元本を分配金として受け取っているに過ぎませんので運用残高は減ってしまいます。実際にはこのケースが多くなっています。

一方、再投資型投信(分配せずに再投資するタイプ)ですが、何といっても運用残高の増えるスピードが魅力です。再投資により元本が増えますので、複利効果が期待できます。複利効果というのは、運用で得たリターンの再投資により「利息が利息を生む」効果のことです。

2つのタイプの選択は、投資目的が鍵を握ります。分配金をこれからの生活に使うなど、目先に目的があれば分配型投信です。シニア層は、こうした利用目的で取り組んでいる人が多いようです。一方10年、20年、さらにその先を展望して運用残高を増やしたい場合は、再投資型投信が良いでしょう。
このように特性と目的を関係づけて検討してみてください。

節約疲れのギリシャ!ユーロ離脱はあるか?

ギリシャは、2010年の債務危機(外国からの借金が返せない事態)の時に国際通貨基金(IMF)などから多額のお金を借りましたが、現在その返済に苦しんでいます。

次々とやってくる債務返済期限を何とかやりくりしてきましたが、ついに7月13日、IMFへの返済を遅らせてしまいました(先進国では初めての事例です)。

結局、EU28カ国の基金EFSM(欧州金融安定メカニズム)からのつなぎ融資を受けて、一先ずしのいでいますが、返済はこれからも続きます。公的年金や公務員給与の削減、増税、公共サービスの削減などが続き、節約疲れから『ユーロから抜け出そうよ!』とする世論も高まっています。

ではユーロ(現在、19カ国が通貨ユーロを使用)からの離脱はあるのでしょうか?
そのメリットとデメリットを見ていきましょう。離脱すると昔の通貨「ドラクマ」に戻りますが、ユーロに比べて交換(両替)条件が極め悪いというのが大方の見方です。

まずメリットですが、ドラクマ安は外国人のギリシャ観光が格安となり魅力が高まります。輸出品(少ないですが衣料、果実など)の競争力も増します。日本人にとっても、アテネのアクロポリスなどの観光や、エーゲ海のクルーズを体験ができる格安ツアーの人気が高まるでしょう。観光産業を起点にギリシャ復活の道も開ける可能性があります。

一方デメリットですが、ユーロ離脱で国民生活の疲弊は深まると思われます。例えば、ギリシャの家計は自動車や住宅のローンを全部ユーロ建てで組んでいますが、返済のためには多額のドラクマが必要です。ドラクマ安が進めば進むほど生活を圧迫します。メリットもありますが、デメリットの心配もあり、決断できないのがギリシャの内情です。

現在のところ、ギリシャはユーロ圏諸国と対立しながらもユーロにとどまっています。それがギリシャにとって国益と判断したわけですが、今後もIMFなどへの借金の返済と窮乏生活は続きます。ギリシャにお金を貸しているユーロ諸国から見ると、人口1100万人のうち、公務員が約100万人(人口の約1割、働いている人の数からすると25%)といったギリシャの状態などをこのまま放置できるものでもありません。

次の借金返済のヤマ場は8、9月です。再びユーロ離脱問題が浮上する可能性がありますので今後とも注意が必要です。

ローコストで日経平均株価と同程度のリターンを狙う投資信託“ETF”

投資信託は、基本的に株と違って証券取引所に上場されていませんが、中には証券取引所に上場され活発に売買されている投資信託もあります。それが上場投資信託(Exchange Traded Fund)です。

頭文字をとりETFと呼ばれています。このところ人気が高まっていますのでその仕組みや特徴を見ていきましょう。

ETFは、株価指数などとの連動を目指す投資信託です。たくさんの個別株が入り、分散効果が効いた“株の詰め合わせセット”が上場されているイメージです。マーケットが開いている日中にいつでも売買できます。一般の上場していない投資信託は、当日の株式市場が閉まってから基準価額(株価に相当)が算出されますので、日中に買い注文を出してもいくらで買えたかは夕刻にならないと分かりません。

ETFとして認められるためには、公表されている株価指数や債券指数などとETFの価格が連動する仕組みが必要です。そのため、投資家にとっては値動きが分かりやすいといった特徴があります。また、株と同じく機動的に売買でき、一般の投資信託に比べて購入時の手数料や、運用期間中にかかる信託報酬が安い点は注目です。

現在、国内の証券取引所に上場されているETFは約170本。初心者にお勧めなのは、値動きが分かりやすい日本株式を対象とする株価指数連動タイプのETFです。主だったタイプを見ていきましょう。

まず、日経平均株価との連動を目指すタイプ。同指数は、1949年の東京証券取引所開設以来、継続しており、テレビ、新聞などでもお馴染み。東京証券取引所第1部に上場している約1800銘柄の中からトヨタやNTTなどの日本を代表する225銘柄を選定した株価指数です。

2つ目は東証株価指数(TOPIXと呼ばれる)との連動を目指すタイプ。同指数は1968年に始まり、東京証券取引所第1部に上場している全銘柄が対象です。業種別ETFなど選択肢が広がっています。

3つ目は2014年に始まったJPX日経インデックス400との連動を目指すタイプ。上場銘柄の中から、企業の収益性指標である「ROE」などを判断材料として400銘柄を選定します。ROEの向上は、アベノミクスにおける成長戦略の一つ。稼ぐ力のある企業に投資するJPX日経400型ETFは、注目度が高まっています。

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