個人事業主の退職金「小規模企業共済」で節税と資金繰り対策

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約18万貯まる!
<材料>

・「小規模企業共済」

<Point>

1フリーランス(個人事業主)には退職金がないので自分で退職金準備が必要

2月額1,000円~7万円の範囲で始められる「小規模企業共済」は、フリーランスの退職金代わりになる積立制度

3毎月の掛金は課税所得から差し引くことができるため節税になる。掛金の支払いが苦しくなったら減額も可能。また、掛金の範囲内で貸付も受けられる

420年未満で解約すると、受け取り金が掛金より少なくなるため注意

※(2015年7月から、20年間加入した場合の年間節税額。毎月5万円の掛金、課税所得金額を500万円で試算。住民税均等割は5,000円としている)

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「老後破産」などという言葉が取り沙汰されるように、国の公的年金ばかりに頼っていられない時代になってきました。老後資金の助けになるのは退職金ですが、フリーランス(個人事業主)の方は退職金がありませんので、自分でなんとかしなければなりません。

そこでお勧めなのが、月々1,000円から始められる「小規模企業共済」。簡単に言えば退職金の積立制度なのですが、ただの積立ではありません。掛金の全額を「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引くことができるので、節税になるのです。掛金は1,000円から7万円まで500円刻みで設定可能。事業の種類により加入できる条件は異なりますが、利用できるのは、おおむね従業員数が20人以下の小規模な企業の役員や個人事業主です。
受取方法も、一括・分割・一括と分割の併用から選ぶことができます。

「確かに老後も心配だけど、まずは事業を安定させないと・・・」というのが本音でしょう。ですが、「小規模企業共済」は、貯めるだけではありません。納付した掛金の範囲内に限られますが、病気や災害による入院で経営に影響が出た場合や、資金繰りが厳しくなった時に担保や保証人なしで貸付もしてくれるのです。退職金準備の制度としては個人型確定拠出年金もありますが、「小規模企業共済」はこの貸付制度があるのがメリットといえます。ちなみに2015年7月7日現在の一般貸付の利率は1.5%となっています。

但し、注意点があります。「小規模企業共済」は、20年以内に解約してしまうと、戻ってくる共済金が少なくなってしまいます。将来、共済金を受け取りたい年齢から逆算して、少額からでも早めに積立を開始した方が良いでしょう。掛金の支払いが苦しくなったら掛金を減額することもできます。逆に、事業が好調なときは掛金を多くして節税対策に利用するということも可能です。

では、一体どのくらい節税になるのでしょうか?一例として、毎月5万円の掛金で20年間加入した場合の節税効果を試算してみます。1年間の掛金の合計額は60万円ですが、所得税と住民税を合わせた節税効果は年間182,500円と、かなりの金額になります(前提条件として、課税所得金額を500万円で試算しています)。また、将来受け取る共済金は、掛金の約1.6倍になるという試算結果でした。これらは、運営元の独立行政法人中小企業基盤整備機構のホームページから試算できます。節税対策にも、将来の退職金としても活用するメリットは大きいですね。

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執筆者

福島佳奈美 ファイナンシャル・プランナー

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。 子育て中の2006年にファイナンシャル・プランナー(CFP®)資格を取得する。その後、教育費や家計見直し、女性のためのライフプランニングなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、活動を行っている。

福島佳奈美

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家族への給与で節税効果大!青色申告の「専従者給与」のメリットとは

フリーランス(個人事業主)の方は、経理や電話番、書類の整理などの事業のサポートを家族にお願いすることも多いですよね。

原則として生計を一にする配偶者やその他の親族への給与は必要経費とはなりませんが、一定の条件で経費として扱うことが認められています。それが青色申告の「専従者給与」です。個人事業の専従者になるには、生計を一にする配偶者やその他の親族(その年の12月31日現在で年齢が15歳以上)であり、1年を通じて6月を超える期間、事業に従事していることが条件になります。ですから、原則的に他に職業を持っている場合や昼間学校に行っている学生は専従者になることはできません。

前回、収入や必要経費について日々の取引をきちんと記帳して書類を保存していれば、特別に収入から最大65万円を控除できる青色申告制度について説明しましたね。今回の「専従者給与」も青色申告制度のメリットの一つで、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで、配偶者などの専従者の給与を、届け出た金額まで経費にすることができます。この届出書は
「青色申告承認申請書」と一緒に提出すると良いのですが、事業の途中から専従者を置いた場合にはその2カ月以内に提出します。ちなみに、白色申告でも最大で86万円を「専従者控除」として控除できます(表「申告方法による事業専従者の控除額」参照)。

「専従者給与」は経費として申告でき、節税メリットも大きいのですが、注意点もあります。専従者になると、事業主の控除対象配偶者や扶養親族にはなれませんので、給与の金額が少なすぎると節税面からは逆効果になってしまいます。
また、専従者給与が多くなると、専従者には所得税、住民税、社会保険料が発生しますし、事業主は給与から源泉所得税を天引きし、税務署へ納めなければならない…といった手間も発生します。

では、一体どのくらい節税になるのでしょうか?一例として、配偶者が青色事業専従者となり、給与を100万円支払ったケースを挙げてみます。この場合、事業主側から見ると、専従者への給料がそのまま経費となるので、事業所得が100万円少なくなります。一方で配偶者控除の38万円が無くなりますので、その分を差し引き、

(100万円-38万円)×所得税率=所得税の減少額(所得税の減税メリット)

となります。

事業所得が少なく所得税率が低い場合には、節税効果も限定的ですが、事業所得が多くなってくると所得税率も高くなるので、専従者の税や社会保険料の負担を考慮しても、節税効果は高まります。また、事業主側では所得税だけでなく、住民税、事業税にもメリットは広がります。但し、専従者給与は、仕事の内容に対して給与が多すぎると判断された場合、必要経費とは認められませんので注意して下さいね。

2015.7.01更新

フリーランス(個人事業主)になったら青色申告制度を利用しよう!

会社をやめて独立し、フリーランス(個人事業主)になったら、稼いだお金はすべて自分のものですが、事務所の家賃から移動にかかる交通費、事務用品費、通信費などさまざまな経費がかかりますね。

そこで少しでも使えるお金を手元に残すためには「節税」も考える必要があります。といっても、あやしい方法ではありません。国からも認められている「青色申告制度」です。

ここで、簡単に所得税の説明をしますね。
会社員だと給料にかかる所得税は毎月の給料からすでに差し引かれていますが、フリーランスとして独立したら毎年確定申告をして、年間の所得に応じた税金を払わなければなりません。所得額に応じて所得税率は5%から45%まで幅があり、さらに控除額が決められています。例えば所得が300万円だと10%の所得税率になり、さらに97,500円の控除額を引いた金額を納めることになります(平成25年から平成49年までは別途復興特別所得税が課される。また、事業によって所得が290万円を超えると個人事業税もかかる)。

さて、気になるのは、「青色申告制度」でどうして節税になるの?ということですよね。

フリーランスのお給料ともいえる所得は収入(売上)から経費を差し引いたものですが、所得が高ければ支払う税金も増えることになります。そのため、少しでも支払う税金を減らそうと、収入をごまかしたり、経費を水増ししたりする行為が後をたちません。そこで、正しく申告してもらうため、所得額を計算する際、収入や必要経費について日々の取引をきちんと記帳して書類を保存していれば、特別に収入から一定金額を控除できる「青色申告制度」があるのです。

「青色申告特別控除額」は10万円または65万円。事業規模にもよりますが、定められた方式で記帳し申告すれば65万円控除をうけられ、その分が節税になるのです。青色申告制度を利用する場合は、その年の3月15日までか、事業開始から2か月以内に税務署に「青色申告承認申請書」を出す必要がありますが、申請書を提出していない「白色申告」は特別控除がありません。平成26年分からは白色申告でも記帳と書類保存が義務付けられましたので、最低でも10万円の控除が受けられる青色申告を選んだ方がトクです。

市販の経理ソフトを使えば、経理処理もそう難しくはありませんし、地域の税務署や青色申告会などで無料講習会も行われているので参加してみるのも良いかもしれません。また、「青色申告」には、特別控除の他にも、家族への給与を必要経費にできたり、赤字が出ても翌年以降3年間にわたって繰り越しできたり…といろいろなメリットがあります。コスト意識を持つためにも、独立したらきちんと記帳処理をして「青色申告制度」を利用し、節税メリットを受けることをおススメします!

2015.6.15更新

退職後の無保険に注意! 退職後は健康保険の任意継続か国保加入を

サラリーマンは会社を辞めると退職の翌日から健康保険が使えなくなります。

ちょっと風邪を引いたくらいでは病院に行かなくても済みますが、ひょっとして事故にあったり、大きな病気になったりした場合は大変!

特に子供がいる場合、病院にかかるのは日常茶飯事なのに、パパやママの健康保険が使えないと一大事です。

そこで退職後すぐに手続きをしておきたいのが健康保険の手続き。収入が少なければ親など家族の扶養に入ることもできますが、今回は扶養してもらう家族がいないという前提で話を進めますね。

独立や転職活動のため退職する場合はいったん会社員という立場を離れますので、通常は国民健康保険に加入することになります。国民健康保険の保険料は市区町村によって保険料率や計算方法が異なりますし、収入や家族構成によっても違ってきますので、実際の保険料は問い合わせて確認する必要があります。いざ、自分で直接払うことになって、その保険料の高さに驚くはずです。会社員の時は、一体いくら健康保険料を払っていたのか、給与明細に書かれてはいますが、覚えていない方がほとんど。天引きされているので負担感をあまり感じませんからね。

でも、保険証さえあれば自己負担3割で医療を受けられる日本の健康保険制度、実は世界に誇れる制度なのです。アメリカで病院にかかると、ものすごい金額を請求されますからね。日本の場合は「国民皆保険」が前提ですから、保険料が高くてもしっかり払っておきましょう。

国民健康保険加入の他に、前の会社の健康保険にそのまま残る「任意継続」という方法もあります。退職して独立しようとしているのに、前の会社の制度を利用できるなんて、結構おいしい話ですよね。退職した前日までに継続して2か月以上働いていることが前提で、退職後20日以内に健康保険組合や協会けんぽでの手続きが必要になります。退職後2年間は継続できますが(再就職して新しい会社の健康保険に加入したら資格を失う)、保険料は会社負担分を自分で支払うことになるため、会社員時代の約2倍となります。それでも、国民健康保険より安く済む場合もあるのでチェックしてみましょう。

バリバリ働くためには、体が資本です。健康保険の任意継続、国民健康保険どちらがオトクかしっかりチェックし、リスクに備えておきましょう。

2015.5.13更新

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