損益分岐為替レートを押さえれば、アナタも外貨預金の達人!

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<How to>

1円高が進んだ際、元本割れとなる為替レートを把握しておくと安心

2自分で計算しなくても、シミュレーションツールを使えばカンタン

※1NZドル=80円で、100万円を元手に金利3%のNZドル預金をし、5年後に1NZドル=100円になっていた場合の利益。為替手数料は片道40銭。税金は考慮せず

前回のコラムで、外貨預金で失敗しないためには、投資の時期を分けること、そして長期間運用を続けることだとご紹介しました。

長く預けていればその間の利息が付く分、為替が円高にふれても元本割れしずらくなるからです。ある程度高い金利であれば、長く持てばもつほど、損益分岐点となる為替レートは低く(円高に)なっていきます。

そこで、予め、損益分岐となる為替レートを把握しておいてはいかがでしょう。
損益分岐為替レートは、図2の式で計算できます。

具体的な例で見ていきましょう。

100万円を元手に、1NZドル=80円のときに、NZドル預金を始めるとします。
年利3%で、5年間預けた場合の損益分岐為替レートはいくらになるでしょうか。
為替手数料は片道40銭とします。

元手100万円で作れるNZドル預金の額は?
100万円 ÷ 80.4 ≒ 12,437.8NZドル
        ↑
(80円 + 為替手数料40銭)

年利3%で5年間預けた場合のNZドル建の受取額は?
12,437.8NZドル × 1.03^5 ≒ 14,418.8NZドル
             ↑
  (1年ごとの利息が元本に組み込まれて新たな利息を生む複利計算)

損益分岐為替レートは?
100万円 ÷ 14,418.8NZドル ≒ 69.4円/NZドル 
                   ↑
  (円に戻す際の為替手数料を考慮した場合、69.8円/NZドル)

つまり金利が3%あれば、5年間で100万円につき1981NZドルの金利がつくため、1NZドル=70円まで円高が進んでも元本割れしないということに計算になります。(話を簡単にするため、上記の計算では税金は考慮していません)

金利は経済動向とともに変わりますから、5年間変わらずに3%の金利を受け取れるとは限りませんが、一定の仮定をおいて損益分岐点を把握しておくことで、日々の為替の変動も余裕を持って見ていられるでしょう。

でも、自分で計算するのは面倒だと思いますので、実際に運用する際はこちらのシミュレータをお使いください。
⇒ http://pt-con.jp/tool(Life Architect~ライフプランツール~外貨預金)

損益分岐となる為替レートがわかるだけでなく、満期時の為替レートによる円での受取額も試算できるので、とても便利です(当ツールでは、利息にかかる税金は考慮していますが、為替差益にかかる税金は考慮していません)。

▼図2

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執筆者

和泉昭子 生活経済ジャーナリスト/ ファイナンシャル・プランナー

大学卒業後、出版社・放送局を経て、フリーのキャスターに転身。NHKを中心に、ニュース・情報番組を担当。95年CFP®(ファイナンシャル・プランナー上級資格)取得後、現職へ。 NHK「日曜討論」、TBS「朝ズバッ!」、日経新聞「家計のギモン」等、メディア出演や講演活動、個人相談などを通じて、マネー情報を発信。(株)プラチナ・コンシェルジュ代表取締役 http://pt-con.jp/

和泉昭子

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ドルコスト平均法で、失敗しない外貨預金

外貨預金は、円預金よりも相対的に高い金利が得られることが魅力ですが、最近は世界的に金利が下がっているため、為替差益を重視する傾向が強くなっています。

為替差益を得るためには預入時より円安になることが必要ですが、予想に反して円高に進んでしまうと、為替差損で元本割れすることにもなりかねません。
つまり、外貨預金で成功するか否かは為替の動向にかかっているわけですが、運を天にまかせるだけではなく、自ら元本割れの確率を減らす有力な方法があります。

それは、投資の時期を分けること。
一度にまとめて投資せず、何回かに分けて購入する、できれば毎回決まった額を積み立てる(=ドルコスト平均法)ことで、タイミングのリスクを分散するのです。

ここで、ドルコスト平均法の効果を説明しましょう。

リンゴを毎回1,000円ずつ買うとします。
リンゴの値段が100円なら10個買えますが、150円に値上がりすると6個しか買えません。逆に50円に値下がりすれば、20個買えます。
このとき、購入に充てる金額を毎回一定にすることで、「価格が高いときには少しだけ、安いときにはたくさん」買う仕組みが自動的に働き、平均単価を安くすることができるのです。

外貨預金に置き換えて見てみましょう。
下表は、赤文字のような為替レートで、毎回5万円ずつと毎回500ドルずつ、ドルを購入した場合の比較です。ご覧のように毎回5万円購入した場合は平均すると1ドル=98.3円、毎回500ドルずつ購入した場合は1ドル=100円となります。毎回5万円ずつドルを買ったほうが、平均単価が低く(円高に)なっているので利益が出やすいわけですね。

投資は、安いときに買って高いときに売るのがセオリー。
しかし、実際には値下がりしているときはもっと下がるかもしれないと思って買うことができず、値上がりするともっと上がるかもしれないと買い増ししがちです。そこで、毎回、円で一定額ずつ積み立てていくことによって、こうした心理的な影響を排除し、合理的な投資を行なえるようにするのです。

外貨預金で生活防衛!

外貨預金は、為替差益や相対的に高い金利を得るという観点と同時に、長期的な資産防衛としても役立ちます。

長期的な経済の成長は人口動態の影響が大きく、特に現役世代の割合が高いほど成長が大きいといわれます。そのため、少子高齢化が進み、人口も減少している日本は、長期的には経済が低下していくとみられているのです。
そして経済力が弱い国の通貨は、原則として人気が薄れ、安くなっていきます。通貨が安くなると、輸出には追い風になりますが、輸入には不利になるのはご存知ですね。

具体的に、円とドルの例で見てみましょう。
2012年後半には1ドル80円前後でしたが、最近では120円台まで円安が進んでいます。その影響で、輸出企業の収益は上がりましたが、生活面では輸入品を中心にさまざまな物資が値上がりし、生活は苦しくなっています。
しかし、もし3年前にドルを買っていれば1.5倍の価値になっているので、物価が高くなってもそれほど困ることはないでしょう。
日本は現在も多くを輸入に頼っていますが、将来的には、資源や食糧以外の加工品まで輸入する機会が増えるかもしれません。そんなとき、外貨をもっていれば、その価値が上がっているので、リスクヘッジになるというわけです。

世界の準備通貨(政府や中央銀行が国際間の経済取引の決算や為替相場に介入するために持っている外貨)は、その6割が米ドル、2割強がユーロとなっています。そこで、通貨当局同様、皆さんもいざというときのため、米ドルとユーロを資産の一部として持っておいてはいかがでしょう。特にグローバル社会に生きる若い世代には、必要なことだと思います。

世界の中心的な通貨である米ドルは、貿易の決済にも使われ、他の通貨との換金しやすさから比較的値動きが安定しているといわれます。また、為替レートに関連する情報が入手しやすいことから、初心者でもチャレンジしやすい通貨といえるでしょう。
米ドルは年内の利上げが見込まれていることから、さらなる円安が期待される一方、既にかなりの円安が進んでいるのも事実。一度にまとめて投資するのは避けたほうがよいでしょう。

ユーロは、ヨーロッパ25カ国の共通通貨。ユーロが誕生するまでは、フランスではフラン、ドイツではマルク、イタリアではリラと、各国の通貨が利用されていましたが、通貨統合により経済の集合体としての力を発揮するようになり、今ではアメリカに勝るとも劣ない経済規模を誇っています。ここ数年、ユーロ圏の経済は低迷していますが、悪い時期から少しずつ積み立てていくことで、将来的にはここのところのドル円のような大きな利益が得られるかもしれません。

外貨預金で気になるユーロ!実は欧州の結束を担っている

外貨預金をするときに米ドル、豪ドルとともに気になる“ユーロ”。米ドルに次いで2番目に広く使われている通貨です。

ドイツ、フランス、イタリアといった主要国を始め、財政問題が報道されるギリシャでも使っています。外貨預金をする際には、ある程度その通貨のことを知っておきたいところ。ユーロとはどのような通貨か。その誕生の背景などをご紹介しましょう。

1999年1月に登場した歴史の浅い通貨です。以前は、ドイツはマルク、フランスはフラン、イタリアはリラといった具合に国ごとに通貨がありました。それら通貨の時代は、日本人が欧州を旅行するときに、国境を超える都度、次の国の通貨への両替が必要でした。今でこそユーロだけ持てば面倒な両替がなく食事や買い物もスムーズですが当時は不便でした。

そのユーロを用いる国は、1999年の導入時は11か国でしたが現在は19か国、人口3億2600万人の経済圏となりました。
ユーロ誕生の背景には長い歴史があります。欧州は、たびたび繰り返される戦争の舞台となってきました。第二次世界大戦後、戦争への反省から、国民や政治のリーダーの間で欧州の結束を強めようとする機運が高まりました。1950年代に、それまで戦争を繰り返してきたフランスとドイツの両国首脳の呼びかけで欧州経済共同体(EEC)が立ち上がりました。それを起源に輪が広がり、ユーロの誕生に至ります。

また、近年の欧州経済の地盤沈下も影響しました。米国や日本、アジアの新興国の経済成長の陰で、欧州各国の工業製品の輸出競争力は弱まります。そこからの脱出を目指し“経済統合”や“通貨統合”による競争力回復の道を歩んだのです。

その結果、ユーロの通貨別取引シェアは、米ドル(約4割)に次ぐ世界第2位(約2割)まで躍進しました。ところが、リーマン・ショック後は状況が一変します。ギリシャなど南欧諸国の政府の借金問題が深刻となり、欧州全体に停滞感が漂い始め、ユーロも勢いを失います。

現在、欧州は低成長、低インフレ経済に苦しんでいます。欧州中央銀行(ECB)も日銀と同じく大規模な金融緩和を開始しました。このところ、ギリシャ問題など暗い話が目立ちますが、それでも乗り越えた後の欧州の立ち直りに期待する声も少なくありません。

外貨預金の通貨選びに当たり、飛び込んでくるニュースは気になりますが、それに一喜一憂することなく、通貨の背景にある大きな流れも押さえておくとよいでしょう。

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